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『男はつらいよ47 拝啓車寅次郎様』と『ルパン三世』1-21「ジャジャ馬娘を助けだせ!」/世文見聞録47

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第47作『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』(前半部)

木暮林太郎:満男も無事に就職して、実家に「食費」を収めたりしている。スーツ姿を見るとやっぱり学生時代とは違うね。大人の顔になっている。

川口世文:「光陽商事」というクツの卸会社に勤めたことが結構重要だね。「モノを売る」仕事に就いたことで、寅の気持ちがより理解できるようになる。

木暮:くるまやの茶の間で“鉛筆を売る”シーンね。

川口:思えば博はモノを売る仕事じゃないし、くるまやは団子を売っているけど、外に売りに出ていかない。つまりテキヤとしての寅の“凄み”と“悩み”がいちばんわかる存在に満男がなったわけだ。

木暮:なるほど。満男がそういう存在になったからこそようやくああいうシーンを語ることができたのか。

川口:今回、寅に関してはあのシーンに尽きるかもね。

木暮:かたせ梨乃演じるマドンナは結局のところ幸せな奥さんだからな。あれ以上、寅と関係が深まる可能性はなかった。むしろ話の主眼は牧瀬里穂と満男のほうか?

川口:後藤久美子の泉とは正反対の性格設定で、満男と結婚してうまく行くのは“菜穂”のほうだったと思う。

木暮:もれなく“そそっかしい兄貴”もついてくるし(笑)。そういう世界線もありだったかもしれないな。

川口:実際には次作でまた泉が出てくるわけだけど、仮にその次の作品ができていたら、菜穂も再登場したんじゃないかな?

木暮:泉と満男と菜穂の“三角関係”を描いたってことか?──それはそれで見たかったけど、どう決着させたんだろう?

川口:さあ、それはわからない。でも、今回のサブタイトルは「満男の縁談」でもよかった気がする。

木暮:すっかり老けてしまった“谷よしの”に寅さんが“心づけ”を渡すシーンに妙にジーンと来てしまった。

○『ルパン三世パート1』第21話

川口世文:『カリオストロの城』の原型の一つなんていわれているけど、もしその後『カリ城』が作られなかったら、ほとんど評価されなかった作品じゃないだろうか?

木暮林太郎:今回はやけに厳しい評価だな。

川口:あくまで子供のころに観た感想としてだけどね。何だかルパンらしくない印象が強かったんだよな。ほかの子供向けアニメならありそうな話なんだけど、ルパンでやってほしくはなかった。

木暮:そもそも娘を「連れ帰す」のが主眼だからね。確かに違和感があったかもなぁ。クラリスと違って、結局ルパンは何も「盗んで」いないしね。

川口:リエが“心を盗まれた”とまではいえないよな。あとはルパンの「義賊化」が多少鼻についたのかもね。

木暮:ルパンがうっかり落とした「写真」を見て、彼女が自分の父親の正体を知るシーンがなかったら、むしろよかったのかな?

川口:当時はそれでは受け入れらなかっただろうけど、今ならそのほうがよかったかも。ルパンはジョージ滝川からリエを“盗んだ”のだが、銭形に追い詰められて解放した。最後までリエはルパンを悪人だと思っている。

木暮:ルパンが本当は何をやろうとしていたのか視聴者にだけわかる?

川口:そうだね。あの写真は次元が持っているとかね。

木暮:それにしてもルパン二世の相棒が日本人で、金庫破りのケン牧田というのは意外だった。ルパン二世は自分で金庫を開けなかったのかな?

川口:同じ相棒でも次元とは全然違うもんな。彼もまたガンマンだった設定にして、“未来の次元”を想像させても面白かったかも。

木暮:そういう意味で途中で次元と別れてしまったのも少々残念だった。


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