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『新・男はつらいよ』と『ルパン三世』6-3「大陸横断鉄道(嘘)の冒険」/世文見聞録4

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○『新・男はつらいよ』(前半部)

木暮林太郎:今回の前半部はとても30分じゃ収まっていないよな。完全に「2話構成」という感じだった。

川口世文:テレビシリーズの演出家が監督をしているからかな。慌ただしく前作の翌月には公開しているし。

木暮:なるほどそうなのか。2時間ドラマのノリだね。

川口:監督もローテーションでやるのがいわゆるプログラムピクチャーだから、一度はそういう路線になった。

木暮:主題歌の歌詞がいつもと違うのは、これ以後、毎回変えていくつもりだったのかな?

川口:「どうせおいらは底抜けバケツ」だろ?──ここまで違うのはこれだけじゃないかな?

木暮:今ならスケールアップして本当にハワイに行っちゃうんだろうけど、「行かない」ほうが面白いっていうのがこのシリーズの良さなんだとわかったよ。まあ、実際に予算も時間もなかったんだろうけど。

川口:寅さんの財布に100万円入っているのと、おばちゃんのあの“オレンジ色のタイツ”が見られただけで、海外ロケなんかしなくても十分面白い。

木暮:寅さんが新調した日の丸風の白いジャケットとかね。それ以前に競走馬の名前の「ワゴンタイガー」で十分笑ったよ。ハワイに行けなくて居留守を使うとらやに入ってきた泥棒が財津一郎で、これもツボにハマった。

川口:あれはさくらにまで秘密にしているんだよな。泥棒に足元を見られて、やむなく一万円渡して帰らせる。ここでしっかり「つらい」というタイトル回収。

木暮:そして、例によって「一カ月後」。

川口:この作品では、戻ってきた寅さんがとらやに「入りにくい」とか、二階の部屋がマドンナの部屋になっているとか、さくらと博の家とか、どんどん新しいネタが出てくるんだけど、それは全部後半の話なんだよな。

木暮:だから我慢か……って我慢する意味があるのか?

○『ルパン三世パート6』第4話

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木暮:単独エピソードだと伸び伸び楽しくやっていて、こっちもリラックスして観れる。

川口:今回はニューヨークの話ってことなんだよな? クイーン警視が出てくるし、いずれはポワロとかも登場してくる伏線か?

木暮:それはそれでいいんじゃないか? 単独エピソードのほうは何でもありで。日本を舞台にして明智小五郎か金田一耕助との対決もありうるかもしれないし。

川口:確かにそこまで何でもありになれば「緑ジャケ」っぽくなってくるかもしれない。今回だって、そもそも時代設定がいつなのかよくわからない描き方だし。

木暮:「大陸横断鉄道(嘘)」の(嘘)って何だろうと思ったけど、あのアイディアがいいね。一応“鉄道侯爵”を殺すトリックにも使われているし、クライマックスのお膳立てにもなっている。

川口:「ミステリー」というテーマから外れていない。

木暮:ルパンが乗ったポニーとか、次元と五エ門の二人乗り自転車とか、視覚的にいちいち変化がついている。

川口:それをいうなら不二子がライダースーツみたいな服からメイド服に早変わりする、あのアイディアだよ。

木暮:そうだな……あれは脚本で指定されていたのかな? 絵コンテ段階のアイディアのような気もするな。

川口:金庫の開け方とか酸素ボンベとか、小ネタも光っていた。脚本家「辻真先」の面目躍如というところで、次回の予告を観ると、早くも「押井守」の名前が……。

木暮:そもそも次回予告に脚本家の名前が出るというのも珍しい。期待値は上がるけど。

川口:ワンシチュエーションでやるみたいに見えるけど『ダイナー』って蜷川実花の映画みたいな感じかな?

木暮:いやいや、どう観てもこれは『立喰師列伝』シリーズの最新作だろ(笑)


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