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『法律事務所×家事手伝い1 不動正義と水沢花梨と最初のスイーツ』最終読本

Amazon Kindle電子書籍『法律事務所×家事手伝い』シリーズの「最終読本」をお届けします。

「最終読本」などと大げさに謳っているのは、万が一、シリーズ全体が完結する前に作者が死亡、あるいは執筆不可能になった場合のことを真剣に憂慮して、その時点までに決まっていた“物語の先”をきちんと書き残しておこうという目的を設定しているためです。

 そういう意味では究極のネタバレを書いていきますので、『法×家事』シリーズに関して「これ以上読むものがない!」と禁断症状の陥った方以外にはあまりオススメしません。あえて「有料コンテンツ」にしているのも、そういう理由からです。

 何よりこれは作者自身にとっての備忘録でもあるので、発売後も随時、ブラッシュアップしていく予定です。

 各巻ごとに一つの記事を書いていきますが、内容的にはキャラクターごとにまとめていきます。

 キャラのイメージがブレないように、基本的には実在する俳優を念頭に置いて“あて書き”をしているので、まずはどんな俳優を選んだのか? それを公開します。

 そして、そのキャラクターがシリーズの最後はどうなる(予定な)のか?この二つが最大のトピックであり、ネタバレポイントであり、「有料コンテンツ」としての目玉になります。

 作品自体の「メイキング」として、すでに「副読本」シリーズを二冊出していますが、ここではできるだけ内容を重複させず、また旧来の登場人物のコメンタリースタイルはあえて避けて“実録”風に書いていきます。

 まずは記念すべき第1巻『不動正義と水沢花梨と最初のスイーツ』のイントロダクションからはじめます。「5.主要キャラクターの設定について」から先が「有料コンテンツ」です。では、ごゆっくりお楽しみください。

1.イントロダクション

「身長190cm、40歳、“家事手伝い”で何が悪い?」
 弁護士事務所という「家事」を手伝う不動正義と、義理の妹・水沢花梨。彼らの奮闘やら失恋やらを描いたホーム(法務)&ハートフル・ストーリー第1弾!

<あらすじ>
 弁護士事務所という「家事」を手伝う不動正義ふどうまさよしは、とある刑事裁判を傍聴してレポートを書くことになった際、知り合ったばかりの榊原初美さかきばらはつみが、偶然同じ裁判を傍聴していることに気づく。
 正義が持参していた古文書『水蜜六』に出てくる「紅赤丸」という和菓子を初美に作ってもらうことになるが、彼女が正義に近づいてきたのには別の理由があった。
 簡単に終わるはずだった仕事を「無意識」にややこしくしていく正義。
 だが、「無自覚」な彼は、初美をさらなる事件へと動かし、義妹の水沢花梨みずさわかりんが新たな一歩を踏み出す状況を自分自身が作り出していることに気づかない……。

<ゲストキャラ>
・榊原初美……埼玉県川越市の和菓子職人

<ゲストフード>
・〈紅赤丸〉……川越特産「紅赤さつまいも」を使ったスイーツ

<おまけ>
・スピンオフ『三毛猫の女房』第1話「夏越圭介と水沢花梨と三匹の猫」

2.(コメンタリーではない)メイキング

 まずは当時の日記・メモ・ノートなどをひっくり返して、製作過程を追っていくことにしよう。 

○執筆過程

 日記などを参照して整理すると、以下のようになる。第1巻の執筆は2011年の春だった。

・2011年3月26日……発案

 当時はまだスマートフォンを持っていなかったので常時持っていたメモ帳に書きつけたのが、下記のような言葉だ。それまでに何かしら自分のなかで考えてはいたのだろうが、唐突にこれだけのアイディアがまとまった。 

ファミリービジネス
・210~300枚 8章 ノベライズ風
・47都道府県 → 時代(隠密)+現代(裁判所)
・血のつながらない兄妹 → 出戻り・さらに娘がいる
・コンテクスト最大の小説 → 50冊
・2010年・1930年・1850年 3つの時代
・1970年生40才 → 5代目 → 正の字
・1850年 → 改名 → 不動
・不働(風土雨)
・仕度人
・不動正義
・不動美里・汐里 → 家でスイーツ屋をやろうとする
・“水蜜録”

 このメモを書いただけで、
・2011年3月27日……プロット執筆(A4で7ページ分)
・2011年3月28日……本文執筆開始

※同時に『男はつらいよ』シリーズ(ほとんどが初見)をレンタルDVDで観はじめる。
・2011年4月5日……最初の原稿完成
 という、今から考えれば恐ろしいペースで書いた。
 もっともそこからの追加や推敲に時間がかかり、結局4月いっぱいかかってしまった。

・2011年4月11日……雑司が谷取材(法明寺のお花見が中止だった)
・2011年4月20日……『SP』のサントラ盤購入
・2011年4月28日……川越取材(芋の和菓子を4種類買った)
 ある程度、本やネットで事前調査をして先に原稿を書いて、答え合わせをするように現地取材に行くのが、当時からのスタイルだ。

『男はつらいよ』の“柴又”に相当するホームグラウンドを決めたかったので、門前仲町などいくつか候補を考えたが、子供のころに行ったことがあり、今でも比較的アクセスしやすい場所として“雑司が谷”を選んだ。都電荒川線が通っているのも魅力的に感じた。

『SP』のサントラ盤の購入時期をわざわざ記したのは、このころ執筆中のBGMとしてこのドラマのサントラをヘビーローテーションでかけていたからだ。東日本大震災直後でもあったので、何かテンションが上がる音楽が必要だったのだろう。

「電子書籍」にするアイディアはこの時点ではまったくなく(AmazonのKindle端末が発売されるのは翌年のことだった)、発表する場も応募先も考えずに、いきなり全50冊の「コンテクスト最大の小説」を書きはじめたのだからどうかしている。

 さらに、
・2011年4月30日……「2」のプランをまとめる
・2011年5月1日……「2」の執筆開始

 という速さでひたすら話を先に進めている。そもそも “転職活動中”だったこともあり、状況がそれを許してくれていたのだ。

○最初の最初

 実は『法×家事』第1巻の最初の原稿は次のような文章ではじまった。まるで「時代小説」のようだが、「時代小説」なのである。当初の構想では毎回、主人公不動正義の“夢”として描くつもりだったが、「時代小説」らしい雰囲気を出すのが大変なのでやめてしまった。とはいえ「こしらえ」(前述のメモにあった「仕度人」のこと)の設定だけは残っている。

 川越の宿場を離れて、街道筋を江戸に向かう夫婦者らしき男女の影がある。いずれも町人の旅装束で、漆塗りのかごを背負った男は儀助、白木の杖を持っている女はお糸といった。

 二人は心持ち歩みを早めているが、傍目にはそうとは感じられなかった。夫婦がいたわり合いながら、黙々と歩いているようにしか見えなかった。

 男がそれとなく後方に目を向けた。それから女に向かってかすかにうなずく。それだけで女には身に迫る危険の度合いがつかめているようだった。

 実際、二人は夫婦ではなかった。お互いの本当の名前さえ知らない。だが、一緒に旅をすることは、これまでに何度かあった。その度にそれぞれの姿も商売も呼び名も異なっていた。

 江戸時代後期、「関東取締出役」、俗に「八州廻り」と呼ばれる役人が関東一円の治安を担っていた。しかし、世の習いで権力は腐敗を招く。そこで、勘定奉行の配下に密かに置かれた三人の目付け役が「廻方目付」であり、彼らの手足となって、各地で情報収集する役を「拵え」と呼んだ。

 二人はいずれもその「拵え」である。彼らは身分を隠して行動するため、商人や夫婦に姿を変えている。今も彼らは武蔵の国の北辺にある、とある郡代の動きを調べて、その結果を報告に江戸に急ぐ途中だった。

 気配が濃くなってきた、と儀助は思った。しかし、焦りは微塵も表情には出さない。街道は今、深い森を抜けようとしている。木々を透かした日差しはすでに傾きつつあった。不吉なことに彼ら以外に往来の姿はなかった。

「気をつけろ」
 と、儀助はお糸の腕に触れて、少し脇に押しやった。森の出口に大きく迂回した場所がある。左右の木々が距離を詰めた、森の「喉」とでもいうような場所である。

 儀助が先に出た。目に見える兆しは何もなかった。だが気配は確実に濃くなっている。

 ふいにお糸が声を上げた。
 一瞬、そちらに気を奪われる。
 同時に儀助の背後の空気が動いた。
 来たな──。
 腰に手を伸ばしながら、慌てて振り返る。
 しかし、対手の方が一挙動、素早かった。

 あらためて読み直してみると、自分でもちょっとつづきが読みたくなるが、ここに出てくる「儀助」と「お糸」はおそらく不動家とは関係がない。
 不動家の初代(幕末あたりに生まれた人で、“初之助”とか何とか名前を設定した記憶があるのだが、そのメモがまだ見つかっていない)の物語は別に書きたいアイディアがある。タイトルは決まっていて『花のお江戸×公事くじ手伝い』である。

○初期タイトル案

『法律事務所×家事手伝い』に決まるまでにはいくつものタイトル案を考えた。それまでの仮題は「ファミリー・ビジネス」で、英語名は今でもそれにしているし、個人的に略称として「FB」(『ダイバース』の場合は「FBD」)をよく使っている。

・ファミリー・ビジネス
・失恋×法律事務所
・LOVE AND LAW
・シット・バイ・ミー
・ファミリー・イン・ロー
・ソウル・ビジネス
・ウソベン
・非・弁護士
・弁護士じゃない
・弁護士家事手伝い
・正義の話をしよう
・セイギとカリン
・セイギの背中
・ハダシの正義
・不動のセイギ
・みんなのセイギ

 これ以外に「六法プラス1」などもあった。
 このうち「失恋×法律事務所」と「弁護士家事手伝い」を合体させて今のタイトルになったわけだ。
「LOVE AND LAW」はのちに「ラヴ・アンド・ロー」としてサブタイトルに使ったが、一時期、磯川勉を主人公に独立した作品を書こうとして、そのタイトル案としても検討していた。

・2011年9月25日……『法律事務所×家事手伝い』メインタイトル決定
 これはしっかり日記に記録していた。「×」の部分はあえて読まないのが正式である。

○初期の表紙案

 イラストレーターの山脇豊さん(この方とは一度だけ顔を合わせたことがあるが、直接話したことはなく、フェイスブックでのお付き合いしかない)による表紙デザインに固定する前に、知り合いの有限会社ウニコに依頼した表紙デザインが1巻から4巻(現行の5巻)分まで存在している。
 そのときの「作業依頼書」がこんな感じ。

○「法律事務所×家事手伝い1・2」の表紙案
・タイトル「法律事務所×家事手伝い」
・加えて、巻数表示と副題と著者名が入る。
・画像のサイズ タテ1024×ヨコ724
・画像の下部5分の1ぐらいの範囲は「価格表示」が入るので文字は入れない。
・イメージカラー(どこに使ってもよい)
①明るい朱色。プラムのような赤
②「どら焼き」の皮のようなこげ茶
 
人物(シルエットだけでもよい)
(1)男性
・身長188センチ、上半身は白いTシャツ、下はカーゴパンツにデッキシューズ。
・靴下を履いていない。
・顔が必ず数字で隠れる。
・①では車にもたれて、女性たちの方を見ている。
・②では液晶テレビを両手で抱えている。
 
(2)女性
・身長154センチ。「西山茉希」が髪を短くした感じ。年齢は30代前半。
・①では車に背を向けて、娘の方を見ている。
・②ではテレビ画面に映った女性を解説しているようなポーズ。「天気予報」的。
 
(3)女の子
・小学校二年生。身長120センチ。ポニーテールにしている。私服姿。
・①では母親の女性を向き合って立っている。
・②ではテレビの電源ケーブルで遊んでいるような自由な仕草
 
その他
(1)車
・車種は「ハマーH1」で、車体は黒。デフォルメしてもらってよい。
・ハマーH1の車高は190~200センチあるようなので、男性の背丈より高い。なので、正確には男性はボンネットの脇に立っている。

「(2)女性」(つまり、水沢花梨のこと)のイメージで「西山茉希」さんを挙げているのは、あくまでイラストを描く上での参考イメージとしてだ。

3.いつから「伏線」を張っていたか?

 後々使えそうなアイディアは仕込んでおいたが、実際に使うかどうかも、どのように使うかもわからないままのものも多かった。思わせぶりに“にぎやかし”として書いたものもある。少なくとも第1巻を書いた時点で、どの程度の認識だったのか、思い出せる範囲で記録しておこう。

○石蔵と『水蜜六すいみつろく

 未だに「土蔵」と「石蔵」の区別がついていない。壁面を石造りの化粧板で覆っているから石蔵──その程度の認識で書いた。

 考えに煮詰まった正義が自室以外に何となく一人で過ごす場所として設定したもので、単に「物置」と書いたのでは雰囲気がないので、後から由来を付け加えられるように“蔵”にしてみたのだ。

『法×家事ダイバース2』で明かされるような仕掛けがあることは、第1巻を書いた時点ではもちろん、想像もしていなかった。

『水蜜六』についても描写がかなりあやふやだ。この時点でいかに緩く設定していたかがよくわかる。そもそも「風土記」がキーワードになっていたように、毎回正義がこの古文書に導かれて全国(47都道府県)を旅する展開になったら面白いだろうなとは思っていた。

 実際、関東地方は何となく制覇できたが、そこから次の展開はうまくいっていない。

 前述した「時代小説」のパートの名残でもある。これを書いたとされる「不動洒落斎しゃらくさいは筆名で、最初に「不動」姓を名乗った“公事手伝い”が執筆したことにしたら面白いのではないかと考えていた。

 正直なところ三色の「丸」の記述を含め、このネタはまだ寝かしてある状態だ。いずれ本格的に「時代小説」執筆に目覚めたときのためにとってあるのだ。

 石蔵を立てた不動三吉──不働者はたらかずと最初に呼ばれた男については、この時点ではまさしくそれだけの設定だったが、近年になって彼が何をしていたかが作品に深くかかわってくる予感がしてきた。それについて何を考えているかは別の機会に説明しよう。

○ハマーH1

 大男の不動正義がいかにも乗りそうな車として設定した。かなり旧式で必ずしも使い勝手がいいというわけではない。なのにどうして買い換えないのかは第6巻で説明したが、この時点ではまったく考えていなかった。

 そもそも最初の持ち主だった月川ひかり、その妹のかほり、さらにその下のひびきの三姉妹の設定は、第1巻を「マイナビ出版」から発売するに当たって、少し増量するために書いた“おまけ小説”『三毛猫の女房』忌野いまわのキワコ(=かほり)を登場させてから思いついたものなので、初稿の執筆から二年ほど経ってからになる。彼らについての詳細も別の機会に説明しよう。

○榊原初美の金沢行き

 これについても何も深く考えていなかった。榊原初美と正義は第6巻で金沢で再会することになるが、その話自体が当初は予定になかった。初美を再登場させるつもりはなかったのだ。ここではむしろ「そこそこ遠くに離れてしまう」という意味合い程度で金沢を選んだ。金沢は“日本三大菓子処”の一つだから、彼女には相応しい場所に感じられたのだ。

 のちに磯川勉の故郷を同じ“日本三大菓子処”の一つである松江に設定したのも、そこに川越と京都加えて、石蔵の仕掛けの謎解きに使ったのも完全に後付けだが、何となく後から使えそうだなと思う気持ちがなかったかといえば嘘になる。

“無意識に伏線を張っていた”などといえば聞こえがいいが、所詮、この程度のいい加減で緩い設定なのだ。

4.書き直したいところはどこか?

 第1巻については未だに、まったく別の話と差し替えたい気持ちに襲われることがある。それくらいつたなさを感じている。実際、第3巻は当初、もう一度シリーズを頭から書き直す目的で書き、結局、三つ目の話として組み込んでしまった。理由はいくつかある。

 一つはやはり「東日本大震災」(自分が被災したわけではないが)を経験したあと、憑かれるように一気に書いた勢いをそのまま残しておきたいと思ったことだ。稚拙さも含めて、もはや今の自分には書けない作品なのだ。

 もう一つの理由は全50冊の「コンテクスト最大の小説」を書くには、第1巻が“傑作”である必要はない、むしろ“傑作”であってはならないという妙な確信を持っていることが挙げられる。

 1冊目が“傑作”になってしまうと、その後につづくすべての作品がそれとの比較になり、全体としては尻つぼみ、もしくはマンネリになってしまう。それを意識的に避けたかった。

 電子書籍の効用は、必ずしも第1作がヒットしなくても低コスト(作者の負担を除けば)でシリーズを継続させられることだ。「ヒットするまでつづける」という“弱者の戦法”が使えるのだ。そのことが確信の裏付けになっていたともいえる。

 とはいえ、毎回「次こそ“傑作”にするぞ」と意気込んではいるのだ。その積み重ねが全50冊という長丁場において最低限、最後まで読み終えた読者に損はさせなかった、という結果に終われば一応の成功だと考えている。

 などといいながらも第1巻に関して、せめてここだけは書き直してもいいかなと思う点はいくつかある。

○「×」の多用

 同じ章のなかで「場面転換」を描くのに二通りの方法を使っている。単に時間が経過した場合は“一行開け”、人物の視点が変わる場合は「×」でいったん区切っている。ちなみに「×」を使っているのはタイトルの『法×家事』に合わせているからだ。

 それにしても第1巻では「×」が多すぎる。ドラマのカットバックのように、視点を変えてはすぐに戻したりもしている。正直、この辺は拙い書き方だなと感じる。

○ミステリー要素

 このシリーズは基本的に「コメディ」なのだが、広義の「ミステリー」ということにしておいたほうが売れそうだし、「法律事務所」と謳っている以上、そういう期待はあるだろう。さらには自分でもどの程度のミステリーが書けるのか挑戦してみたい。こうした中途半端な姿勢が中途半端なミステリーを産んだことは反省している。

 実際、2巻目以降はミステリーと呼ぶにはおこがましいが、Kindle小説としてカテゴリー申請するときは必ず「ミステリー一般」(加えて「大河小説」)にしている。

 今では「登場する人物に関して何らかの“謎”が提示されれば、殺人など起きなくても“広義のミステリー小説”だ」と開き直っているが、新規に読もうとする読者の大半の期待を裏切っていることは間違いなさそうだ。

○大庭ちづる

 実は出所後の大庭ちづると残された長女(名前も未来みくと決めていた)が登場する「後日談」を書いたことがあるが、とある事情からボツにしてしまった。(その辺のいきさつは、いずれ加瀬又三郎について語るときに説明することになるだろう)

 あの“みどりちゃん”ですら再登場させたのだから、当然書いてしかるべし──というか、書かないと“本人”に申し訳ないと思ったのだが、結局、うまく決着しなかった。

 一度書いた登場人物は、たとえチョイ役であっても自分のなかに生きつづけている。それが新しい展開を産み出すこともあるが、シリーズの足枷あしかせになる危険性もある。何とかそれを「大河小説の醍醐味だいごみにまで昇華させるのが最大の目標の一つである。

5.主要キャラクターの設定について

※注意:ここからがネタバレポイント①になりますが、キャラクター設定の裏話なので、すでに本編を読まれた方なら安心して読んでいただけます。

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