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『男はつらいよ15 寅次郎相合い傘』と『ルパン三世』6-15「祝福の鐘に響けよ、銃声」/世文見聞録16

今週も川口世文と木暮林太郎が、彼らの大好物の「ビッグストーリー」である『男はつらいよ』シリーズと『ルパン三世シリーズ』について語ります。

○第15作『男はつらいよ 寅次郎相合い傘』(前半部)

木暮林太郎:はじめにいっておくけど、今回ばかりは前半で区切ることができなかった──全部観ちゃったよ。

川口世文:海賊タイガーが出てくる夢のシーンを除くと、ほぼ全編つながっているからね。いつもの落語の“まくら”みたいな前置きエピソードが全然ない。

木暮:江戸川が出てきたと思ったら、サイレント喜劇はなくて自転車に乗っているさくらだしね。しかも、早々にリリーがとらやを訊ねてくる。

川口:とらやの面々と違って、寿司屋の亭主と別れたリリーは自由に動けるから、いずれ旅先で出会うんだろうと想像がつくんだよな。

木暮:一方で寅さんはすでに「パパ」と知り合いになっているから、こっちも話の展開が早い。函館のラーメン屋台でリリーと再会したときの表情がよかったな。

川口:安宿で三人で川の字になって寝たり、駅のベンチで一晩明かしたり、札幌で「万年筆」を売ったり、話がどんどん進んでそのまま中盤に入ってしまう。ここまでシームレスな展開ははじめてかもしれないな。

木暮:あらためてリリーを紹介する必要がなかったからかもね。船越英二演じる「パパ」もいきなりキャラが立っていたし、三人のシーンは何だか“フランス映画”みたいな雰囲気だった。1クールのドラマにしても十分成立しそうな気がする。

川口:その後、小樽でパパと初恋の人の再会があって、唐突に寅とリリーのケンカがはじまる。ここで前半終了──強いていえばここが区切りどころだっただろうな。

木暮:確かにそうなんだけど、寅さんがガッカリして帰ってきて、それを追いかけるようにリリーもやってきて、後半の展開もすぐに立ち上がっちゃうんだよ。

川口:その後、寅の“アリア”あり、メロン騒動もありで、今回は感服……というか“完敗”だったなあ(笑)

○『ルパン三世パート6』第16話

川口:再び次元が主役のエピソード。今回のシリーズの前半と後半は完全に独立しているみたいだな。来週はまた五エ門の話になって、同じような構成を二周することになりそうだ。

木暮:おまけに今回はまたフランスが舞台なのに「第5シリーズ」とも特に関係なかった。アルベールぐらい出してやればよかったのに。

川口:声優にお金がかかるからじゃないの?(笑)

木暮:個人的な好みの問題かもしれないけど、いちばん残念だったのはミレーヌという女性のキャラデザインに魅力を感じられなかったことだな。

川口:あれはわざとじゃないかな? 実は全部お見通しだったって、彼女の意外な面を強調するための。

木暮:それにしてもあんなに大切な「マルセイユの涙」を簡単に手放すものか?

川口:女心はわからない(笑)……それぐらい次元が忘れられなかったってことだろ?

木暮:それならせめて、次元が宝石を彼女に返す展開にしてほしかった。

川口:確かにあの行動はよくわからなかったな。それより結婚式で神父さん死んじゃって大丈夫だったのかな?

木暮:そこは心配するところじゃないと思うけど、もうちょっとスマートにやってほしかったね。次元にそれを期待するのは間違いか?

川口:そんなことないだろ。「エピソード0」ではちょっと捻った対決をやっていたし、マグナムにひびが入った話もあったじゃないか?

木暮:今回はそういう捻りをやりたくなったのか、いよいよアイディアが枯渇してきたのか……。

川口:そういうときもある。まあ、来週に期待しよう。

木暮:斬れ味のある“コメディ”にしてもらいたい!


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