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老後の為に知っておくべき後見制度

東京のカフェで朝活!
本日もカフェで自習勉強しました。

権利擁護

日本には判断能力が低下した人達の権利を擁護するための機能がいくつかあります。

① 日常生活自立支援事業
② 法定後見制度
③ 任意後見制度

日常生活自立支援制度は1999年、後見制度は2000年にできた制度で、どちらも福祉サービスが措置から契約に変わった頃にできた制度です。

契約制度になったことで、「自分でサービスを判断する必要がでてきた」

しかし、当の本人に判断能力が不足している。

その問題を解決するために生まれたのが、これらの制度という訳です。

日常生活自立支援制度

この制度は、厚生労働省が所轄している制度で、法律は社会福祉法をもとに作られています。

対象者
対象となるかたは、「認知症、知的障害、精神障害等の理由により判断能力が不十分な方であり、かつ、本事業の契約内容について判断し得る能力を有していると認められる方」です。

もう一度書きます。

認知症、知的障害、精神障害等の理由により判断能力が不十分な方であり、かつ、本事業の契約内容について判断し得る能力を有していると認められる方」が対象です。

判断能力が不十分だけれども、契約内容について判断し得る能力を有している人が対象。

つまりどんな人よ?

とツッコみたくなる表現ですが、福祉現場にいると、なんとなくこの人達が対象なんだろうなと分かるのが不思議です。

援助者
援助してくれる人は、 市区町村社会福祉協議会の職員(専門員、生活支援員)です。

専門員:原則、社会福祉士か精神保健福祉士で研修を受けた者とされています。

生活支援員:身体的・精神的に障がいを抱えた方の生活を支援する仕事で、未経験や無資格でも働くことが可能です。

ここでも出てきましたね社会福祉士の働き口。

主に専門員が計画の策定、状況把握を行い、生活支援員は計画に基づいて具体的な援助を行う人のようです。

支援内容
では何ができるのか?

手続支援のみ:福祉サービスの利用援助、病院入院契約、施設の入退所契約
対応可能:日常生活の金銭管理、年金の受領に必要な手続き、通帳や銀行印の保管

基本的には契約手続きの際の支援、それ以外には金銭や銀行・通帳の管理を行ってくれるそうです。

こういう制度があると安心ですね。

しかし、契約内容について判断し得る能力が不足した場合、対象から外れてしまいます。

そこで登場するのが成年後見制度という訳です。

成年後見制度

成年後見制度は、日常的な金銭に留まらない全ての財産管理や福祉施設の入退所等の生活全般の支援(身上監護)に関する契約等の法律行為を援助ができる制度です。

かなり強力ですね。

所轄は法務省、法律は民法をもとに作られています。(任意後見に関しては任意後見契約に関する法律のようです)

対象者
認知症、知的障害、精神障害等の理由により判断能力が不十分な方(補助・保佐)及び判断能力が全くない方(後見)となっています。

さて、ここで補助・保佐・後見というキーワードが出てきました。

ここら辺が少しややこしいので、任意後見制度と法廷後見制度に分けて書こうと思います。

法廷後見制度

法廷後見制度は、本人の判断能力が十分でない方のために家庭裁判所が適切な支援者を選ぶ制度です。

つまり、事前の取り決めのない緊急措置となります。

ただし、その際の判断能力の違いにより後見人ができる内容が変わります。

それが補助・保佐・後見という3つのキーワードです。

補助:判断能力が不十分
保佐:判断能力が著しく不十分
後見:ほとんど判断できない

その判断能力と本人の同意のうえに、代理権、同意見、取消権が付与されます。

代理権:本人の代理を行える権利で、「後見人」には当然代理権がありますが、「保佐人」「補助人」は本人の同意があれば代理権が付与されます。ただし婚姻や医療同意については代理権が及びません。

同意権:本人が法律行為を行う時に「補助人」「保佐人」の同意が必要になるという権利です。例えば貯金の払い戻しなどは保佐人の同意がなければできません(ただし、「後見人」の場合はそもそも本人の判断力がないので同意権そのものがなく、取消権で対応することになります)。

取消権:本人の行った行為を本人または後見人が取り消せる権利です。保佐人の同意が必要な行為を同意なく行った場合などは取消権の発動ができます。ただし、「日用品の購入」と「婚姻や遺言など本人にしかできない行為」は取消権が及びません。

法廷後見制度の流れ

① 家族などが家庭裁判所に申立(4親等以内の親族などに限る)
② 家庭裁判所による審問や調査
③ 本人の判断能力を鑑定
④ 支援内容の決定

これが大まかな流れですが、法廷後見人は誰が選ばれるのか。

これは家庭裁判所が弁護士や司法書士などの国家資格を持つ専門家などを任命します。

法廷後見人の報酬は被後見人の財産に応じて決まるようです。

例えば、被後見人の財産が1,000万円以下の場合、月額報酬は約2万円が相場のようです。

さて、この法廷後見人にどこまでお任せするか、、制度を知ると実際のところを知りたくなります。

判断能力が不十分つまりは補助の場合、どこまでお願いするか本人の同意を取る必要ありますが、縁もゆかりもない専門家にいきなり「はい、お願いね」とは言いづらい気がします。

むしろ、家族などが申し立てをし、決めるという流れから、本人の同意なしにことが進む可能性を考えると難しい気がします。

更には、家庭裁判所が選んだということで、結果的に、家庭裁判所に対して、なんであんな奴を選んだんだとクレームがきそうな気がします。

そういう諸々の事情を考慮し、家庭裁判所が選任した職権は解任できるようになっているようです。

任意後見制度

法廷後見制度と異なり、まだ十分判断能力がある時に後見人を定めておくのが任意後見制度です。

これは、自分が信頼できる人を後見人に定めておき、判断能力がなくなった時に発動するという制度になっています。

法廷後見人と違い専門家でなくても大丈夫です。

ただし、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任します。

※後見人が悪さしないよう、チェックする役割です

任意後見制度の流れ

① 任意後見人になってほしい人と契約を締結
② 公証人役場で公正証書を作成
③ 法務局に登記
④ その後、認知症の症状が出てきたら4親等以内の親族か任意後見人が家庭裁判所に申し立て
⑤ 家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任
⑥ 任意後見人の仕事を開始

後見制度の注意点

本人の判断能力が不十分で高額な商品を買ってしまったという場合、取り消すことができます。

ただし、「日用品の購入」と「結婚、離婚、子どもの認知、遺言などの法律行為」は取り消せないようです。

この内容をみて「我らがパラダイス」を思い出しました。

「我らがパラダイス」では認知症のおじいさんと施設で働いていた人が電撃結婚。

後見人(?)の弁護士先生が「結婚は不当だ、不当だ」と騒いでいました。

結婚すると、相続権が発生します。

「いつか我がもの」と思っていた親族からすればビックリ仰天な話です。

しかし、「日常生活に関する行為」は後見人といえど取り消せないんですね。

後見行為はどこまで続くのか

・成年被後見人宛ての信書等の郵便物の転送
・成年被後見人の火葬契約
・成年被後見人の住居用不動産売却

この3点は家庭裁判所の許可が必要になります。

ここで発生する疑問は、被後見人がなくなったらどうなるのかという問題です。

この点については火葬契約までを後見人の仕事として家庭裁判所の許可を得て行い、葬儀の施行は後見事務の範囲外とされています。

少しモヤっとしました。なんで葬儀の施行は範囲外なのに、火葬契約は許可を得たら行えるのか。

典型的なのはご本人の相続人と連絡が取れない場合やご本人の相続人が遺体の引き取りを拒んでいるなどのケースだそうです。

なるほど。どちらも通常はやらなくて良いんですが、誰も引き取りがいない場合、火葬か埋葬だけはやってちょうだいという事なのですね。

後見制度について勉強になりました。
有意義な時間をありがとうございます。

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