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松本華羊《殉教(伴天連お春)》〜手枷をされたまま桜を眺める女性は誰?

今日の1枚は、松本華羊の代表的な作品「殉教(伴天連お春)」。これまで、この絵は日本人とイタリア人の混血である「じゃがたらお春」の物語を基にしているとされてきました。しかし、最近になって、作中の女性が身につけている着物に「朝」「妻」という文字が見られること、さらにその容貌が純粋に日本人的であることから、「遊女朝妻」の物語が描かれている可能性が高いと考えられるようになっています。

松本華羊は大正から昭和の初めにかけて活躍した女性の日本画家。彼女の画業は、池田蕉園の門下生となることからスタートします。さらに、尾竹越堂や尾竹竹坡兄弟の下でも学び、日本画の多様な技術や表現法を習得。画壇でのデビュー後は「華羊」という名で次々と作品を発表し、特に『青葉の笛』が文部省美術展覧会(文展)で入選し、彼女の才能が広く認識されるようになりました。

松本華羊《殉教(伴天連お春)》大正7年頃 福富太郎コレクション資料室

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