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池大雅の妻、玉瀾〜江戸時代の理想的な夫婦像

池玉瀾(いけのぎょくらん、1727年 - 1784年)は、江戸時代中期に活躍した多才な文人画家、歌人、書家です。徳山玉瀾とも呼ばれ、文人画家、池大雅の妻としても知られています。

玉瀾は、祖母の梶子、母の百合と共に「祇園三女」として知られていました。この3世代にわたる女性たちは、和歌や詩作においてもその才能を発揮し、明治43年(1910年)には『祇園三女歌集』として彼女たちの歌が出版されました。現在も京都で毎年開催される時代祭では、玉瀾とその祖母梶子が江戸時代婦人列に登場し、彼女たちの生涯や業績が今日に至るまで称えられ続けています。これは、玉瀾とその家族が日本文化に与えた影響がいかに大きいかを物語っています。

母親と同じく和歌を詠む才能を持ちながらも、絵画や書道においても顕著な才能を発揮していました。彼女が絵を学び始めたのは、母親の茶屋の常連であり、有名な文人画家であった柳沢淇園の指導のもとです。淇園は彼女にとって重要な師匠であり、彼女の芸術家としての才能を見出し、彼女を文人画家、池大雅に引き合わせたことで、二人は結婚する運びとなりました。

池大雅と池玉瀾 伴蒿蹊『近世畸人伝 巻四』より

池大雅から、玉蘭は南画を学びました。このスタイルは、自然をシンプルで直接的な方法で描く中国の絵画から影響を受けています。また、玉蘭も夫に和歌を教えるなど、お互いに自分たちの得意分野を共有し合い、相手の芸術的才能を高めあいました。

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