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ムソルグスキー『展覧会の絵』〜ハルトマンとの絆が生んだ名曲

ロシアの民族音楽家を代表し、『禿山の一夜』などで知られる作曲家のモデスト・ムソルグスキー。当時、彼の革新的で独特な音楽スタイルは、当時の音楽界では理解されにくく、批評家からも多くの否定的な評価を受けていました。

後に彼の代表作となる『展覧会の絵』の副題は「ヴィクトル・ハルトマンの思い出」。

ヴィクトル=エドゥアール・ハルトマンとは、サンクトペテルブルクのドイツ系家庭に生まれた芸術家であり建築家。ロシアの伝統を大切にしながら革新的な作品を生み出した先駆者であり、その芸術的遺産は後世に大きな影響を与えました。

ヴィクトル・ハルトマン、キエフ市の門の設計図(《展覧会の絵》の「キエフの大門」に関連)

建築家としてのハルトマンは、1862年に落成したノヴゴロドのロシア建国1000周年記念碑のスケッチなどを手がけました。また、イワン・ロペトとともに、伝統的なロシアのモチーフを作品に取り入れた最初の芸術家の一人でもあります。

1869年には、ロシア皇帝アレクサンドル2世の暗殺未遂事件を記念してボガティリ門(キエフの大門)の設計コンペに参加しました。1870年にウラジーミル・スターソフが彼をミリイ・バラキレフの仲間に紹介して以来、ロシアの民衆の中に芸術の原点を見出そうという同じ考えで意気投合し、ムソルグスキーと親しい友人となりました。

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