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ドガ『エトワール』〜ドガがトップダンサーと一緒に描いた深い物語性

エドガー・ドガは、バレエをテーマにした作品が多く、特にバレエの練習風景や楽屋、舞台袖など、一般には入ることのできない裏側の場面を描きました。ダンサーたちはしばしば練習中や休憩中の自然な姿で表現され、その生命力や精神性が強調されています。当時「小さなネズミ」と呼ばれていたバレエダンサーたちの日常をありのままに表現しました。

エドガー・ドガ『エトワール』1878年頃 オルセー美術館

この作品に描かれたのは、カタルーニャ出身のバレエダンサー、ロゼッタ・マウリ。作品名の『エトワール(星)』はパリ・オペラ座で、特に優れた主役級ダンサーにのみ授与される栄誉ある称号です。『エトワール』の称号を持っている彼女の卓越した舞踊技術は、エドガー・ドガやエドゥアール・マネといった多くの著名な印象派の画家にインスピレーションを与えました。ドガは彼女の姿を『エトワール』や他の作品に描き、その舞台裏や舞踊の瞬間を捉えました。

ドガは裕福な家庭に生まれ、パリ・オペラ座の定期会員として特権を持ち、その裏側を自由に見ることができ、バレエダンサーたちが普段どのように過ごしているかをリアルに描くことができました。また、ドガは人間の動きや構図に深い興味を持っており、バレエダンサーの複雑でエレガントな構図が彼の創作意欲を刺激しました。彼女らの動きや表現の繊細さは、ドガの絵画技術の向上にも役立ち、動きや光、影、衣装の質感などを詳細に捉えることができる理想的な題材となりました。

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