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WBCでの村上宗隆選手を観ていて感じたこと

第5回WBC(World Baseball Classic)で、日本代表は3度目の優勝を成し遂げた。日本代表の戦いについて感じたことは、代表に選出されるレベルの選手であれば、米国代表であっても力勝負で対峙できるようになりつつあるということである。


ここではいちスワローズファンとして、スワローズから選出された選手について記してみたい。


先ずは、村上宗隆選手について。


WBCの戦いを終えての村上選手に対する個人的な印象は、改めて強い運を兼ね備えていることを見せ付けられたというものである。


プロ野球選手は実力の世界と称されるが、個人的には超一流の域に達する選手の場合には実力に加えて、強い運も必要だと思っている。


春季キャンプからWBC日本代表に合流した村上選手だが、練習試合から大会中に至るまで期待に充分応えたとは言い難い。仮に日本代表が優勝できなかったら、その原因として村上選手の不振が槍玉に挙げられた可能性が高い。


プロは結果を出せなかった場合に、批判されるのは世の常ではある。だが、日本では国際大会で結果を出せずに敗退した場合には、戦犯と称して執拗にミスを問題視する。WBCであれば、今大会の中継権を持つテレビ局で第3回(2013年)の内川選手の盗塁死と第4回(2017年)の松田選手が打球をファンブルしたシーンの映像を流して、ミスが命取りになるといった紹介をしていた。北京五輪でのGG佐藤選手のプレーも未だに語り継がれている。今回のWBCで日本が優勝できなかったら、村上選手も俎上に上げられただろう。


だが、村上選手は準決勝のメキシコ戦で逆転サヨナラ打を放ち、決勝の米国戦では同点本塁打を放った。村上選手の成績は振るわなかったものの、時間が経過して第5回WBCを振り返る際には米国ラウンドにおける村上選手の活躍がクローズアップされるだろう。


第2回WBCで不調を極めていたイチロー選手だが、決勝戦で勝ち越しタイムリーを放って日本代表を優勝に導いた立役者として語られている。村上選手もこうした印象で語られるようになると思う。


村上選手が活躍するまでの流れは、選ばれた選手としか例えようがないと思う。


準決勝では3打席連続三振を喫し、4打席目を迎える場面では山川選手がベンチ内で代打出場の用意をしていた。だが、直前に吉田正尚選手が同点スリーランを放ったからか、栗山監督は村上選手をそのまま打席に立たせた。結果は凡退だったが、試合後に村上選手はこの凡退に手応えがあったとコメントした。村上選手は次に回ってきた9回の無死一、二塁の場面で逆転サヨナラタイムリーを放ったが、一部報道では送りバント要員で牧原選手が準備していたことが報じられた。だが、栗山監督が村上選手を打席に向かわせ、思い切り打たせる決断をした。


仮に7回に吉田正選手が本塁打以外で繋いでいたら、村上選手の代打で山川選手が起用されていたかもしれない。9回も牧原選手がバント要員で起用されていた可能性があった。


7回に吉田正選手が同点弾を放つ確率に加え、9回に村上選手が逆転サヨナラ弾を放つ確率も低かった筈だが、結果的には僅かな確率を乗り越えたのだから、村上選手には強い運を有している。


WBCで明らかになったのは、現段階での各国代表の投手が投じる動く球への懸念である。決勝戦での同点本塁打は余り癖のないケリー投手から放ったものである。


その為、WBCを終えて、MLB各球団の評価が更に上がったかと言えば疑問符が付く。仮に準決勝で村上選手が代打を送られ、途中で退いていたら、MLBからの評価が大きく下がった可能性があった。だが、米国ラウンドでの活躍により、MLB各球団の評価が下がることは免れたのではないだろうか。


村上選手は2025年のシーズン終了後に、MLBへポスティング移籍する可能性が極めて高い。村上選手としては一刻も早くMLBでプレーしたいという思いや憧れがあったかもしれないが、日本代表で大谷選手や吉田正選手を目の当たりにして、今のままではMLBでは厳しいと感じて、良い意味でNPBでしっかりと活躍してからMLBへ行きたいという思いになったのではないだろうか。


村上選手は最年少三冠王となり、NPBでは更なる高みを目指し難いと感じても不思議ではない。だが、大谷選手の打撃練習や活躍を近くで見て、上には上がいるという現実を突き付けられただろう。それでも、村上選手は大谷選手に追い付き追い越したいという向上心がある。不振で苦しみ抜いた状況下でも、周りの励ましや心配に甘えるのではなく、そろそろ打てよと言ってくれと自らをより厳しい状況に追い込もうとした。その立ち位置を自ら選ぼうとする心意気は凄いと思う。


個人的には村上選手にとってWBCの経験が、良い意味で自らを奮い立たせる原動力になる可能性が高いと思う。今の村上選手であれば、2年連続三冠王を獲得するくらいの圧倒的な成績を叩き出しても満足感には浸らないだろう。


いちスワローズファンとして、WBCの経験を経て村上選手が更なる高みを目指すことは、スワローズ初のリーグ3連覇を成し遂げる確率を高める要因となると思っている。

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従来はフリーブログでしたが、今後は対象読者を限定する形で運営します。商業メディアでは深掘りされにくい印象のあるスワローズに関して、自分なりの私感を記せればと思います。新規の方はAmebaブログの過去記事(https://ameblo.jp/yuujin0929/)に目を通した上で、読んでみたいと思っていただけるようであれば幸いです。

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