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スポーツエリートへのリベンジ 【Recruit Blog 2024 #6】 原唯稀

大学の4年間とは何をすべき時間なのだろうか。大学生の一番の特権は、時間が与えられており自分でどこに使うかすべて決められること、そしていくらでも失敗できることだ。自分という人間にとことん向き合い、理解し、失敗という財産を積む。それが大学生という時間だと思う。

僕は今まで面倒な道を避けて過ごしてきてしまった。いわゆる安牌を取ってきた人生で享受した環境に甘んじてきた。レールに乗った人生からひとり立ちしたい、そんな自分が選んだのがWARRIORSだった。

なんでアメフトを始めたの?サッカー少年だった僕はよく聞かれる。僕はいつも一番に人が良かったと答える。尊敬できる人が多く、この部活に入れば自分の理想とする姿に近づけると思った。今思えばこれも、自分をレールに乗せたら環境任せに自己成長するものだと甘えていたのだろう。

だがこの選択は悪くなかった。運が良いのか悪いのか、環境任せに勝手に自己成長できるほど人生は甘くなかったのだ。この1年間、何度も不甲斐ない自分に失望し、できない自分を知った。ただいずれこの自分を知ることになるならこの1年間で知れて良かったと思う。これからもまだまだ失望するだろうが、その度に一方で早く知れてラッキーだったと思うだろう。結果、良い環境はやはり必要だと思う。言い換えると自分の選ぶレールに乗ることは必要だ。どうせ死に物狂いで自分で進まなければいけない。

たとえば、自分が100%満足のいく一日を送ったことはあるだろうか。受験時代、1年間目指し続けたが結局100点の一日は過ごせなかった。大学生はやらなければいけないことが少ない。そんな中で100点の一日を送ることははっきりいって高校の時よりも数倍難しい。タスクとなる舞台を探さなければいけないからだ。バイト、部活、遊び、勉強。その一つとしてWARRIORSほど素晴らしい環境はない。スタンダードも上がるし、100点の一日にチャレンジし続けることができる。これまで散々、自分を知るとか自己成長とかカッコつけたことを言ってきたが、はっきり言ってそんなものは特大な付録に過ぎない。それだけでは奥底の自分に打ち勝てない時が来る。

辞めたくなることもあった。そんな時続けるという選択肢を取ってきた理由はきっと自己成長だけではない。結局はロマンがあるからだ。スタジアムで活躍する自分がかっこいいと思ってるからで、世間が注目し、憧れるスーパースターになりたいからだ。

これからもWARRIORSの部員から飽きるほど聞くだろうが、「東大がスポーツで日本一を取る。」こんな夢物語のような話に魅せられているのだ。少し挑発的な言葉で言うと、人生をアメフトに捧げてきた奴らを真っ向から叩き潰して完膚無きまでの勝利感を味わいたいからだ。世間から注目を浴びたいからだ。きっと心が幼いのだろう。

だが、負けても東大だしなんて思ってしまうかっこ悪い自分にはなりたくない。本気で涙を流せるほど努力した自分でありたい。矛盾しているようだがそうでないとまず同じ土俵に立てない。高校2年生の冬、引退試合となってしまう試合で自分は相手の強さにどこか諦めてしまって何もできず試合が終わってしまった。中高5年間で一番の大敗だった。呆然としているだけで涙も出なかった。試合後輪になった仲間たちにふと最後だと思い出して、一人ひとりと抱き合った。その時初めて涙が出た。今さら5年間が込み上げてきて自分の不甲斐なさに心が潰されそうになった。「負ける理由はいくらでも見つかる。」先日監督がおっしゃっていた言葉だが、その通りだ。だからこそやりがいがあるのだ。だが東大であることを負けていい理由にしたくない。そのために努力できる程の環境がある。東大に来た運動部出身の人はその道で負ける経験をしてきた人が多いだろう。大学でもう1回スポーツエリートに挑める機会が回ってきたのだ。悔いのないようにやりきりたい。

僕の大好きなMr.Childrenの代表曲、終わりなき旅という曲にこんな歌詞がある。

「難しく考え出すと結局全てが嫌になってそっとそっと逃げ出したくなるけど高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな」

日本一という限りなく高い壁を登った先の自分はどんなに成長しているだろうか、そう思う一方でこう思う。日本一という壁を登ったらどんなに気持ちいいんだろうか、どれほどの幸福感を得られるのだろうか。

(2年 原唯稀)

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