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臨海部と都心部を結ぶ大動脈が完成!  豊洲・溜池間の所要時間が最大で1/3に短縮‼                   ~環状第2号線(築地・新橋間)の開通による効果~

■はじめに

 建設局では、都市の機能強化や経済活動の活性化、防災性の向上に寄与する道路ネットワークの整備を推進しており、区部においては、都心に流入する交通を分散し渋滞解消を図るため、放射・環状方向の骨格幹線道路の整備を重点的に進めています。
 その一つである東京都市計画道路幹線街路環状第2号線(以下「環2」という。)のうち、築地から新橋までの本線トンネル約1.4kmが令和4年12月に開通し、臨海部と都心部を結ぶ大動脈が完成しました。
 本記事では、この開通による「効果」について紹介します。

■環状第2号線とは

 環2は、江東区有明を起点とし、中央区、港区などを経て千代田区神田佐久間町を終点とする全長約14kmの都市計画道路です。

図1 環状第2号線 全体図

 そして、令和4年12月の築地~新橋間の本線トンネル開通により、当初の都市計画決定から約76年の歳月を経て、環2の全線開通が実現しました。  
 以下に、開通した築地~新橋間の道路構造を示します。(図2~4)

図2 築地~新橋間の平面図
図3 築地~新橋間の縦断図
図4 築地~新橋間の横断面図

■開通による効果

 環2は、以下のような整備効果が期待されていました。
   ➢  臨海部と都心部を結ぶ交通・物流ネットワークの強化
   ➢  並行する晴海通りの渋滞緩和など地域交通の円滑化
   ➢  臨海地区の避難ルートの多重化による防災性の向上

 開通から6か月後の令和5年6月に、環2のほか晴海通りなど周辺道路の交通量及び渋滞長、主要地点間の所要時間などの調査を実施しました。
 また、地域の住民や道路を利用する事業者に対するアンケートも実施し、開通による効果の確認・検証を行ったところ、以下のようなストック効果※が得られました。

① 臨海部と都心部の所要時間が短縮!(図5参照)

  豊洲市場前交差点(臨海部)と溜池交差点(都心部)との間の所要時間 
 が従前の晴海通りを通行するルートと比較して、最大で3分の1に短縮
 れ、臨海部と都心部の連絡が飛躍的に強化されました。

図5 調査位置及び所要時間

② 並行する晴海通りの交通量が減少!(図5及び図6参照)

  従前、臨海部と都心部を結ぶ主要路線であった晴海通りにおいては、環
 2開通前に特に混雑していた築地四丁目交差点付近及び勝どき駅前交差点
 付近の交通量が約2割減少しました。
  さらに、図6に示すように、環2開通前に最も長い渋滞長を計測してい
 た勝どき駅前交差点において、同時間帯の渋滞長が0mとなり、渋滞が大
 幅に緩和されました。(※渋滞が確認された時間帯もあり)

図6 晴海通り交通状況の変化

③ 交通の転換による渋滞解消!

  築地~新橋間の本線トンネル開通に至るまで、整備効果を早期に発現さ
 せるため、段階的に整備を進めてきました。 
  まず、平成30年11月に旧築地市場内に暫定迂回道路を整備し、豊洲~築
 地間を開通させました。その後、本線工事を進めるため、段階的な切り回
 しを経て、令和2年3月に滑らかな線形の地上部道路に切替え、東京2020大
 会時には築地の車両基地と晴海の選手村を結ぶ動線となりました。

  地上部道路を通行していた期間、写真5のように新大橋通りとの交差点
 (旧青果門前交差点)では都心部へ向かう車両により最大で約760mの渋
 滞が発生していましたが、開通後は、これまで地上部道路を通行し都心部
 へ向かっていた交通が本線トンネルに転換されたことにより、写真6のよ
 うに大幅に渋滞が緩和されました。

④ 道路利用者が整備効果を実感!

  図7のとおり、アンケートの結果から、多くの方が「到着時間の短縮」
 や「防災性の向上」などの効果を実感していることが分かります。

図7 アンケート結果

 その他、いただいた意見の一部を紹介します。
 ・環2のトンネルに向かう車がとても増え、晴海通りの渋滞が緩和されま 
  した。【地域住民】
 ・配送時間が短縮されました。【豊洲市場関係者】 
 ・トンネル開通により、東西の移動が楽になり、活動時間の短縮に繋がっ  
  ています。【消防署】
 ・晴海通りの渋滞が減少し、運転がとてもスムーズに出来るようになっ
  た。【バス会社】
 ・トンネルは信号がないため、乗車時間を短縮でき、営業の回転が速くな 
  り、業務の効率があがった。【タクシー会社】
 ・スムーズになったが、走行運賃が下がりました。【タクシー会社】

■おわりに

 道路整備は一朝一夕に進むものではありませんが、ひとたび完成すれば、絶大なストック効果を永続的に発揮し、都民に様々な恩恵をもたらします。
 今回紹介した環2以外にも、平成18年5月に全線開通した環状第8号線、令和元年6月に開通した放射第5号線、環2と同じく令和4年12月に開通した環状第5の1号線(千駄ヶ谷区間)など、これまで整備されてきた幹線道路は、多くの方に利用され、絶大なストック効果を発揮しています。
 建設局では、引き続き、東京の持続的な発展を支える重要な都市基盤である骨格幹線道路の整備を推進していきます。