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自転車が安全・安心に利用できるみちを目指して~自転車通行空間整備の取組~

 自転車は、誰もが気軽に利用でき、健康や環境にも優しく、コロナと共存する生活の中でも有効な交通手段です。また、自転車を活用したシェアサイクルや宅配サービスなどの普及に合わせ、その利用は拡大しています。
 一方で、昨年度の都内全ての交通事故に占める自転車関連事故の割合は4割を超え、全国と比べて高い状況になっています。
 このため、都内において誰もが安全で快適に自転車を利用できる環境の創出が一層重要となっており、建設局では「東京都自転車通行空間整備推進計画」(2021年5月)に基づき、自転車通行空間の整備に取り組んでいます。

1.自転車通行空間とは

 自転車通行空間とは、限られた道路空間において歩行者、自転車、自動車がともに安全で快適に通行することを目的として整備した、自転車が通行する部分のことです。
 自転車通行空間の整備は、「自転車は『車両』であり、車道通行が大原則」という観点に基づき、「普通自転車専用通行帯(自転車レーン)」等の車道を活用した整備形態を基本として実施しています。
 一方、道路構造や交通状況等により車道を活用した整備が困難な箇所が少なくありません。このような状況や前後区間の整備形態との連続性を踏まえつつ、車道での整備が困難な場合には、歩道を活用した「暫定形態」として自転車歩行者道(構造的分離、視覚的分離)の整備をすることで、早期の連続した通行空間の確保に努めています。

2.都内における自転車利用の現状

 東京都内の自転車保有台数は、全国で最も多く(約820万台)、自転車が高密度(面積当たり約3,700台/km2)に利用されている地域です。
 また、新型コロナウイルス感染症拡大以降、都内の自転車利用は増加しています。建設局が実施した調査では、感染症拡大前後の自転車交通量が東八道路(三鷹市)において36%、明治通り(渋谷区)において13%増加しています。

 一方で、都内における自転車が関連する交通事故は近年1万件/年程度であり、全ての交通事故に対する自転車関連事故の割合は4割を超え、全国の約2倍です。

3.都道における自転車通行空間整備

これまでの整備

 建設局では、2012年10月に策定した「東京都自転車走行空間整備推進計画」に基づき、自転車交通量が多く事故の危険性が高い区間等で整備を進めてきました。また、2015年4月には東京2020大会会場や主な観光地の周辺7地区において「自転車推奨ルート」を設定し、国や区市と連携した面的な整備も進め、その結果、2020年度末までに約320㎞の自転車通行空間を確保しています。

新たな計画に基づく整備

 2021年5月には、「東京都自転車通行空間整備推進計画」を新たに策定しました。本計画では、自転車ネットワークの将来像として、「広域的ネットワークの形成」など4つの整備方針に基づき、2040年代までに約1,800㎞の自転車通行空間の整備を目指すこととしています。

 本計画ではさらに、「既存の自転車通行空間との連続性」、「国道、区市町村道の自転車ネットワーク計画路線との連続性」、「自転車交通量や事故の発生状況」の3つの視点に基づき、2030年度までに約250㎞の区間を「優先整備区間」と位置付け整備を進めることとしています。
 この他、無電柱化事業や都市計画道路の新設・拡幅事業に合わせた整備にも取り組んでいきます。

4.自転車通行空間確保に向けた工夫

 整備にあたっては、限られた道路幅員の中で、自転車等の交通量や沿道状況等を踏まえ、車線構成の見直し(道路空間の再編)による通行空間の確保や、駐車枠(時間制限駐車区間に設置されたパーキング・チケット式の指定駐車場所)との併設などの工夫に取り組んでいます。
 井ノ頭通り(武蔵野市)では、車線構成の見直し(道路空間の再編)により自転車レーンを整備しました。

 白山通り(文京区)などでは、地域の道路事情に配慮し、自転車レーンと駐車枠を併設した整備としました。整備にあたっては、駐車枠を自転車レーンの車道側に設置し、自転車と自動車の通行を可能な限り分離する形態を採用しました。

5.さいごに(おすすめのサイクリングコース)

 最後に、東京都建設局、国、区の取り組んでいる自転車通行空間をすべて体験できるミニサイクリングコースを紹介します。
 それは、日本の表玄関・東京駅と再開発事業の進む・六本木・虎ノ門地区を結ぶ約3kmのルートです。周辺には皇居や日比谷公園、愛宕神社等の観光スポットが数多く点在しています。また、自転車シェアリングのポートも数多くあり、手ぶらで行っても、気軽に自転車を利用することができます。
 2022年も10月、スポーツに最適な季節となりました。都心でサイクリングを楽しんで、心と体をリフレッシュしてみませんか。