湘南がイメージの原点なのかもしれない 〜松本隆と森山大道の共通項〜
こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。
“湘南” といえば、多くの人がおおよその場所をイメージできると思いますが、江ノ島から少し東側へ移動すると三浦半島へ辿り着きます。
その三浦半島の付け根の西側。住所は神奈川県三浦郡葉山町。
葉山御用邸が有名な葉山ですが、この付近から遠くに江ノ島を眺めることができる海岸がいくつかあります。
そのうちのひとつが森戸海岸です。
この海岸を舞台にして歌の歌詞に乗せたのが、はっぴいえんどのドラマーであり、作詞家の松本隆氏です。
この記事によると、例えば、ラッツ&スターの『Tシャツに口紅』は、森戸海岸の海に突き出た防波堤が舞台だそうです。
そこから少し南下して葉山御用邸の裏にあたるのが一色海岸、更に南へ行くと長者ヶ崎海岸ですが、大滝詠一の『雨のウエンズデイ』という曲に出てくる「壊れかけたワーゲン」というのは、「バンドメンバーの愛車のワーゲンで、現実には長者ヶ崎の駐車場が舞台だった」そうです。
若い頃はこのあたりで遊ぶことが多く、その時のことをモチーフに、イメージを膨らませて歌詞の世界観を作り上げていたとのこと。
松本さんは、作詞家としてブレークすると次から次へと作詞の依頼が絶えず、どこにも遊びに行くこともできず、唯一の楽しみが夜のドライブで、都内から湘南まで来て海岸沿いの駐車場に車を停めて、海を眺めていたそうです。
湘南の海が数々の歌の舞台になり、多くの人々の心に宿っているなら、やはり同じ湘南で若い頃を過ごし、その後世界的な写真家となる写真家・森山大道氏と共通するものを感じます。(ちょっと強引?笑)
森山氏は大阪から上京し、VIVO解散直後の写真家・細江英公氏に師事。その後、結婚を機に独立し逗子に移り住みます。
その後、当時雑誌の編集者だった中平卓馬氏と知り合い、たまたま近所に住んでいたことから急速に親しくなり、お互い仕事がない20歳代中頃は、毎日のように会っていたそうです。
夏になると長者ヶ崎の海岸から少し沖合にある岩まで、写真集や写真雑誌をビニール袋に入れて泳いて渡り、それを見ながら2人で当時の写真家たちを罵倒したりして、写真について語り合ったと森山氏は回想しています。
それが原動力となり、森山氏も中平氏も写真界に大きな影響力を及ぼすような存在になりました。
松本氏も森山氏も、湘南という地で一番アクティブな時期を過ごしたことが、一方では歌詞で、一方では写真で、それぞれ表現される世界観は正反対かもしれませんが、共に “イメージの世界” を作り上げたことが共通点として挙げられると思います。
あくまで “イメージ” なので、具体的、解像感あるようなくっきりとしたものではありませんが、言語や映像を通じて多くの人の心に届けることができるということは素晴らしいことです。
自分が体験したことではないのに、 “イメージ” が過去の自分の経験や何かを通じて知っていることと結びつき、そこから想像・空想できることはおそらく人間だけの特権ですが、 “湘南” が実は多くの日本人の「イメージの故郷」なのかもしれないと考える今日この頃です。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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