見出し画像

ハッカソン初心者でも大丈夫! チーム開発における実践テクニック

\ 都知事杯オープンデータ・ハッカソン2024のエントリー受付中!/
締切りは7/26(金) <
こちら>からエントリーをお待ちしております!

都知事杯オープンデータ・ハッカソン第二回募集イベントは、サービス開発部門にスポットライトを当て、数々のシビックテック(※)プロジェクトで活躍してきたエンジニアのお二人にお話を聞きました。

実際の開発事例をもとに、ハッカソンでの開発手法や様々なポジションの方との連携のコツなどを紹介いただいています。お二人の豊富な経験に基づくお話は、エンジニアだけでなく、ハッカソンに参加するすべての方にとって役立つヒントばかりです。ぜひご覧ください!

※ シビック(市民)とテクノロジーをかけあわせた造語。市民がテクノロジーを活用して、行政の問題や社会課題を解決する取り組みのこと。

オープンソース・オープンデータの可能性

osokenさん

まず登壇いただいたのは、大手電機メーカーに勤めながら、シビックテックにも約10年携わってきたというosokenさん。「オープンソース・オープンデータでサービスを開発すること」と題し、主に東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトでの経験についてのお話がありました。

osokenさんは、このプロジェクトの立ち上げからリリースまでの重要な時期に深く関わり、主要技術の決定、サイトの全体設計、初期開発、そしてコード改善とレビューを担当しました。

最も印象的だったと語ったのは、オープンソースで開発したことにより、東京都向けに開発したサイトを多くの地域に簡単に展開できた点についてでした。多い時期には、60もの自治体でこのサイトの派生版が作られました。この経験から、ひとつの地域の課題は他の地域でも共通していることが多く、オープンソースソフトウェア(OSS)での開発が「自分の地域でもこれが欲しい」という思いをつなぐ役割を果たすと実感したと言います。

また、数々のシビックテックに参加して感じたのは、オープンデータでの開発は、「新しい形での行政との関わり方」であるとのこと。これまでは、情報公開や情報発信の全てを行政が担っていたところ、オープンデータを活用することで、市民自身の手で情報をわかりやすく届けられるようになり、さらに今後は他分野でもその役割が広がる可能性もあるということでした。

このようなお話はエンジニアの方だけに限られるわけではありません。新型コロナ対策サイトの開発では、翻訳作業やデータ加工など、様々なスキルを持つ方々に貢献していただきました。オープンソースで開発することで、コードを書くことだけでない関わり方があるということがわかりました。

自分たちの地域の課題を自分たち自身の手で解決することで、周りの地域にも役立ち、それが広範囲にわたる課題解決に繋がります。オープンデータ、オープンソース、そしてシビックテックがもたらす可能性を強く感じたプレゼンテーションでした。

初めての人との、持続可能な開発のコツ

りょーまさん

続いて、りょーまさんからは、「即興コラボレーションでプロダクトを持続的に作るためのコツ」と題し、ハッカソンでの実践的アドバイスのお話がありました。

国内では地域ポイントや気候変動対策プロジェクト、そして海外で多くのオープンコラボレーションでの活動経験もお持ちのりょーまさん。出会ったばかりの多様な方々と何度もプロダクトを作る経験をしたことで、「こうすると、新しい人とつくっても、大体うまくいく」というコツがわかったと言います。3つのポイントにまとめて紹介がありました。

1つ目は「コラボレーションインフラをテコにする」こと。プロジェクトの概要や参加・貢献の仕方を文書化し、新しく参加した人がすぐに取り組める仕事を用意しておくことが大切だと言います。これにより、プロジェクトリーダーは自分の作業に集中しつつ、新メンバーもスムーズに参加できる環境が整います。

2つ目は「ペースメーカーを作って継続開発する」こと。ハッカソンなどのサイドプロジェクトでは、最初は勢いよく進むものの、徐々に停滞しがちです。これを防ぐため、りょーまさんは定期的な作業時間を設けたり、小さな成果発表の機会を作ったり、さまざまな工夫を重ねたそうです。「毎週決まった時間に集まって作業する」「3ヶ月程度を1サイクルとして大きめの目標を設定する」といったアイデアも紹介されました。

3つ目は「最初から最後までの体験をつくる」こと。他のサービスを参考にして作り始めると、たくさんの機能に手を付けてしまい、結果的に成果が出ないことがあります。そこで、まずコアとなるコンセプトを定義し、誰に届けたいのかを明確化することを勧めています。そのうえで、ノーコードツールやAIを活用して、一連の体験を開発し、周りの人に使ってもらうのです。開発者自身で「体験を届ける体験をする」ことが重要と強調しました。

新しいメンバーを増やしたいのに対応する時間がとれない、最初は勢いよく進んだのに仕事やプライベートによってプロジェクトが滞る…。ハッカソンに限らず、同じような経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回のお話は、そのような方にとっても効果的な協働の方法を学ぶ上で大変参考となり得る、日々の業務に活かせる具体的な手法に関する内容となっていました。

ハッカソン達人による数々のアドバイス

プレゼンテーション後のパネルトークでは、視聴者から多くのご質問をお寄せいただきました。

まずはじめに、お二人がエンジニアになったきっかけが語られました。osokenさんは、「コードを書くことで自分の考えが明確な形になる喜び」を感じたことが動機のひとつだと話しました。特に、「繰り返しの作業をプログラムで自動化したときの達成感が、エンジニアとしての道を選ぶ要因にもなった」そうです。

一方、りょーまさんは、大学生時代に「作りたいサービスがあった」ことが契機だったようです。「なかなか開発してくれるエンジニアが見つからず、自分で作ってみたところ、プログラミングが自分に合っていることに気づいた」とのこと。お二人ともコードを書くことに、自身の適性を感じられていることが印象的でした。

技術的なハードルを感じて初めての参加に不安を感じるという質問には、「最初は何もわからないところから始めました。どんな方でも大歓迎ですよ」とのお話した上で、コードを書く必要のないノーコードツールや、ローコードツールもおすすめしていました。都知事杯オープンデータ・ハッカソンでは、参加者専用のSlackワークスペースに技術的な相談をできるチャンネルのご用意や、ハッカソン当日にもエンジニアが同席しますので、どうぞ安心してご参加ください!

「ハッカソンに興味あるけど、最初の一歩に踏み出せません。どうしたら踏み出せますか?」という質問もありました。「ハッカソンに参加してみると、何をしたらいいのかわからないという状態はないんです。人によって得意不得意があるので、自分にできることから手を付ける、人を助けるような心持ちでの参加の仕方もあるのかなと思います」とコメントいただきました。

続いて、「すでに動いているチームへの参加の仕方」についての質問には、チームに新しく加わる方に対しての対応方法を教えていただきました。まず、初めて入った方にしていただくのは、ユーザー視点からプロダクト見ていただくと良いとのこと。そのプロダクトをあまり知らない状態で触ってもらい、初めて使う人がどのような印象を持つか、どこでつまづきやすいか、そしてどうすれば他の人にも薦めたくなるかといった点について、率直な感想をもらいます。

こうすることで、新しい方でもプロダクトの本質を深く理解でき、改善点を自ら見つけ、次の具体的な貢献へとつながりやすくなります。「ここを良くしたほうがいいよね」と気づいたポイントがあれば、自然と「自分がここをちょっとやってみようかな」という次の関わり方に発展しやすいと言います。自然な形で促すだけでなく、主体的に関わるきっかけ作りも重要ということがわかりました。

また、お二人によると「相手への敬意」も重要だということです。技術や知識も確かに必要ですが、お互いをチームメンバーであるということを意識した関係づくりも大切だということをお話していました。初めてチームに入る側としてはこれまでの開発に対して敬意を払うこと、逆に迎える側としては加わりたいというメッセージをもらったら早く返答するなど、お互いにちょっとした心遣いをすることで、その後の開発もスムーズに進むようです。

では、多くのハッカソンに参加してきたお二人にとって、ハッカソンの魅力とはどこにあるのでしょうか。「普段使わないツールを使う機会になる」だけでなく、「たとえ受賞できなくても、他のチームからフィードバックをもらえたり、別のハッカソンでまた会えたり、嬉しいことがたくさんあります!」というお話をされていました。

また、「ハッカソンに参加して嫌だった経験は一度もない」、「プロダクト開発を純粋に楽しめる場なので、ハッカソンは仕事とは全く違う経験ができ、良い刺激になります」とのお話もありました。

最後に、参加を迷われている方々に対し、お二人からのメッセージです。

ハッカソンは、とても楽しいものです。最近はローコードツールやAIの支援でエンジニアリングをよりいろんな人が楽しみやすい世界が来ていると思います。そのうちの一歩目として、参加を前向きに検討していただくと、いいんじゃないかなと思います。」( osokenさん)

「ハッカソンの醍醐味は、誰かを誘ったり、その場で仲間を作ったり、チームでの開発にあると思っています。もしハッカソンに参加してみたいと思ったら、ぜひ何人かで参加していただけたらなと思います。」( りょーまさん )


お二人のお話を踏まえ、ハッカソンは技術イベントだけでなく、新しい出会いや学びの場、自己成長の機会であることがよくわかりました。エンジニアの方はもちろん、それ以外の様々な経歴をお持ちの方にとっても貴重な経験をもたらしてくれます。
事務局としても全力でご参加いただく皆さんの後押しをさせていただきます!

パネルトークでは、記事に紹介した質問以外にも、「オンボーディングの方法」や「チームメンバーの巻き込み方」、「技術力をサポートするおすすめツール」の紹介もありました。実践に活かせるアイデアが満載ですので、ぜひアーカイブ動画もご覧ください。

よくある質問は<こちら>にも掲載しております。あわせてご確認くださいね。

今後の都知事杯オープンデータ・ハッカソンの予定

募集イベントは全4回。オープンデータ初心者から上級者まで、エンジニアの方もそれ以外の方も楽しめる内容です。 <こちら>からご参加ください。※2024年度の募集イベントはすべて終了しています。

エントリー締め切りについて

都知事杯オープンデータ・ハッカソンの、エントリー締め切りは7月26日までとなっています。みなさまのエントリーをお待ちしています!