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32歳、無職。教習指導員を辞めて…②

経営者の手の内で、現場系社員と事務系社員が火花を散らす。営利企業というのは、こういう構図に陥ってしまうのが宿命なのだろうか。
蜜月関係の先輩Aと女上司B。二人が牛耳る事務所VS現場指導員、という構図がいつからか出来上がってしまい、僕は日ごと不満を膨らませていた。
とりわけ教習所では、どこもそうだとは思うが、事務所が決めた配車に対して、指導員が不満を持つということが頻繁に起こる。一つ一つは些細なことなのだが、いくつか重なるとギリギリの状態から絞り出していたやる気がプツッと切れてしまうのだ。
前回書いたようなケースは言語道断だが、他にも日本語が通じない外国人や、飲酒運転等による取消処分者(教えることがほぼなく、間が持たない。直接危険に繋がらないようなハンドルの回し方やペダル操作のクセを矯正するくらい)は本当にストレス源だった。
余談だが、意思疎通が困難なベトナム人教習生と
「……分かりましたか?」
「ハイ」
「本当に分かりましたか?」
「ハイ」
「本当は分かってないんじゃないですか?」
「ハイ」
という、コントのようなやりとりをしたことがある。

話を戻す。前述のトラブルの夜、自分の行動や考えが間違っていないか、深く吟味したが、何度考えても筋は通っていると判断。一部始終を見ていた同僚からは「よく言ってくれました」といったLINEが来たりもした。
深夜、僕は引き出しから古い便箋を取り出し、退職届を書いた。絶対に出すと決めて書いたわけではない。上司であるBに言いたいことをすべて言い、その出方によっては……というつもりだった。

翌日。Bとの話し合いの場に、当然のようにAもくっついてきた。
僕は「まずはBさんと一対一で話をさせてもらいたいのですが」と言ったのだが、そこに丁度B宛ての電話が。ここでA、チャンスとばかりに割って入り、こう抜かした。
「じゃあ、時間があるうちに俺からひとこと。昨日の俺の言い方が気に入らないというならそこは謝ろうと思うんだけど、これについては俺からも言いたいことがあるんだ。昨日みたいに、職場で声を荒げるというのは、社会人として問題があると思うんだよね」

この瞬間、僕は退職届を出すと決めた。
まず、Bと話したいと言っているのに横から割り込んでくるのがそもそもおかしい。
そして、謝罪をするときに、言い切ることすらせず「謝ろうと思うんだけど……」と反論してくるのがあり得ない。
何より、こんな態度をとる人間が社会人云々とほざく資格があるのか。僕が手でも出したというなら理解もできるが。「社会人」という言葉は、僕がもっとも嫌いな言葉の一つなのだ。こいつとは、話ができない。心底そう感じた。

その後、Bおよび副社長と話をして、言いたいことをだいたい言い尽くして退職届を叩きつけた。かなり強く慰留されたが「Aさんが辞めなければ辞めます」の一点張りで押し切った。
経済的には損するかもしれないが、僕の性格上、我慢して残っても続かないことは目に見えていた。
生活に納得感を持てるようにすること。それが幸福に近づくための必要条件だと考えている。もっとも、僕は幸福なんて幻想だと思っているが。
不満にまみれて食う寿司よりも、穏やかな心持ちで食う納豆ご飯のほうがうまいに決まっている。

ドロドロした話はこれくらいに。この退職エントリは、次回でまとめ切るつもりです。
そろそろ国保、失業保険、退職金の手続きをやらなければ。めんどくさいなぁ……。

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