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こたつと思い出

突然家にこたつがきた。

妻が友人宅に遊びに行った際、気に入って即購入に至ったらしい。
なにその決断力。40秒で支度できるパズーに匹敵しちゃうよ。

まだジブリ熱を引きずっている


こたつがある生活というのは20年ほど前まで遡る。
1人暮らしを始めた際も特に必須ではないな、と思い導入しなかった。
しばらくたっても特に必要性を感じていなかった。

そんななか、急に来たこたつ。
求められようが求められまいが関係なく、こたつは人間のライフスタイルを暴力的に変えていく。さながらラピュタの雷のように(しつこい)。

まず家の模様替えが強制的に行われる。
これまでリビングの守り神として鎮座していたソファとテーブルは、
植物部屋へ押し込められていった。

※植物部屋:妻が園芸のための用具を保管している場所、寒い日や風の強い日はその名の通り植物たちも収納される。そのほか私の筋トレ用具、アウトドア用品も置かれており、名実ともにカオス空間となっている

新たにリビングを守ることとなったこたつは、
早速その圧倒的人間吸引力を発揮している。

導入から1週間も満たないが、
こたつの中で人が横たわったまま長時間動かない
という事案が既に複数回報告されている。
こたつ使用に伴う生活堕落取締条例が、施行される日も遠くはない。

こたつの思い出

私が入り浸っていたのは、ばあちゃん家のこたつである。

ばあちゃん家のこたつはマジモンのこたつだった。
パッと見は普通の掘りごたつだが、電気でなく内部中央に火のついた炭を置くタイプだった。

もちろん暖かさは申し分ないのだが、いろいろと不便な点もある。
炭なので当然、近づけすぎると火傷する。そして灰がつくので、少し足を浮かせないといけない。

さらに火をつけていると酸素が減り、一酸化炭素中毒になる可能性もある。
こたつでじいちゃん、ばあちゃん、私、妹が寝ていた時があって、
それを見た叔父が、揃って死んでいるのかと思い慌てたこともある。

ので、ときどき換気をしないといけない。
冬の東北で換気をすることより辛いことはほぼないだろう。
強いてあげるなら、冬の北海道での換気だろうか。

その他、こたつの中で干し芋を焼いたり、炭に猫がトイレして異臭が立ち込めたり、夏は蚊の休憩所になっていたり。
改めて文字に起こすと混沌としているな。


生活堕落取締条例

現代、こたつで一酸化炭素中毒など命の危険を感じる場面は少なくなった。
(こたつと命の危険を並べて書く機会なんてある?)

しかしながらこたつで自堕落な生活を過ごしているのは、人としてある意味命の危険と言ってもいいのかもしれない。少し大袈裟だが。

これ以上、こたつから出られないようなライフスタイルが継続されるのであれば撤去や電源を破壊するなど、何かしら対策をすべきだろうか。
破壊は大袈裟だが。

そもそも取締条例てのも大袈裟だな。
ほかに有効な方法がゴロついているうちに思いつくかもしれない。

そう思いながらこたつで文をしたためていると、
「3分だけ」と言いながら、妻がこたつに吸い込まれていった。







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