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自治体クラウド移行に迫る!~東村山市CIO×小平市CIO×都CIO①~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。マガジンに掲載した内容を一部公開します。第19回は「東村山市CIO×小平市CIO×都CIO座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回でお届けします。

 令和4年1月19日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第19回座談会」として東村山市CIO、小平市CIO、都CIOとの座談会を実施しました。
参加者(敬称略)
東村山市CIO:東村山市副市長 野崎 満
東村山市経営政策部長:原田 俊哉
東村山市経営政策部情報政策課長:堀口 裕司
小平市CIO:小平市副市長 伊藤 俊哉
小平市企画政策部長:有川 知樹
小平市企画政策部デジタルトランスフォーメーション推進担当課長:赤坂 慶太
都CIO:東京都副知事 宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

3市共同での自治体クラウド移行

デジタルの前に人をつなげる

―早速ですが、標準化・共通化について意見交換をお願いします。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
本日はよろしくお願いします。クラウドへの移行、それに伴う標準化については、どの自治体も非常に大きなテーマと捉えていると思います。両市での進捗具合や困っている点があれば教えていただけますか。

東村山市CIO:野崎(以下「野崎」)
自治体クラウド化は、小平市さん、東久留米市さんとの3市で実施しております。平成30年12月に3市で協定を結び、今月から無事稼働を開始したところです。
国のクラウド化推奨を受け、3市共同でクラウド化が実現できた背景には、これまで利用してきた基幹システムが3市とも一緒であったことが挙げられます。一方、標準化にあたり、各所管での業務実施方法が3市で異なる部分があり、非常に苦労も多かった部分があります。

宮坂
ありがとうございます。
今から様々な自治体で起こることが先行的に起きているということが分かりました。3市で業務を標準化・共通化していく際、具体的にどのようなすり合わせ作業をされたのですか。

野崎(東村山市)
具体的には、3市の各所管でワーキンググループを作り、それぞれがどのような業務の運用形態をとっているのか、共通理解したうえで、標準・共通化に向けた密接な協議を行いました。

宮坂
標準化・共通化を進めるうえで、まず相互に理解を深めることが必要ということですね!ありがとうございます。小平市さんはいかがでしょうか。

小平市CIO:伊藤(以下「伊藤」)
私からは、3市で一緒にやろうとなった経緯についてご説明します。実はこの3市と西東京市、清瀬市の5市で、多摩北部都市広域行政圏協議会という組織があります。その中に情報推進専門委員会というものがあり、情報システムにおける経費削減について議論してきました。10数年位前になりますが、広域行政圏ではソフトウェアのライセンス加入についても共同調達を実施し、かなり経費を削減できたという経験もありました。そのため、市を超えて連携するという土壌のようなものが既にあり、これが3市でのクラウド化が実現した1つの大きな要素であると思っています。

宮坂
クラウド化の前提として、定期的なコミュニケーションがあったという部分が効いているということですね。協議会は何年くらい前から、どれぐらいの頻度で話し合いが行われてきていたのですか。

伊藤(小平市)
35年前
くらいですね。西東京市さんが合併する前の田無、保谷の時代から、北多摩の6市で、広域行政圏協議会を行っていました。その中に情報推進に関する委員会があり、情報システムの各市の担当が、年に3、4回くらいだったと思いますが、共通課題を持ち寄って、経費削減をどうしたらできるかなど話し合っていました。

宮坂
我々も、区市町村の皆さんや道府県の皆さんと連携しながら行政のデジタル化を推進していきたいと思っています。その前提として、人が繋がっていない状態でシステムを繋げるというのは簡単にはいかないと思うので、すごく示唆に富むお話だったと思います。

デジタル人材の確保と役割

既存業務にどう組みこむか

―ICT人材の確保についてはいかがでしょうか。

宮坂
都も今年度デジタルサービス局ができまして、いわゆる「元年」のような状態になっています。人材に関して、皆様の現状や課題意識があれば教えてもらえますでしょうか。

野崎(東村山市)
東村山市の現状を申し上げますと、人材の確保としてここ数年は、民間のIT企業経験者採用を行っております。今情報部門は10名体制なのですが、そのうち6名が経験者で、大変力を発揮してもらっています。ただ、どうしても庁内外での調整等があります。そういった部分は経験者が慣れていないことがあり、市の職員たちと一緒になり、双方の強みを生かして、円滑に業務を進めています。
加えて、広く今後のDXの設計図を描けるような外部人材、CIO補佐官の登用ができないか現在具体的に検討を進めております。

宮坂
技術を持った中途で来た人と、行政の実務を知り尽くしている人が一緒になる
というのは素晴らしいと思います!小平市さんはどうでしょうか。

伊藤(小平市)
情報政策担当には民間のSEを経験した職員が、総勢11人のうち2人います。現状情報政策担当は、ヘルプデスクのような業務が中心です。これからDXを推進するために、内部人材の底上げ、幅を広げること、外部からの人材登用について真剣に考えなければならないと思っています。内部人材の育成について、東京都さんで今先駆的に市町村職員との定期的な研修会をやっていただいておりますが、こういったことを今後とも拡大していただけるとありがたいです。

宮坂
ありがとうございます。
研修に関しては、ぜひ我々も皆さんと一緒に学び合いたいなと強く思っています。今後も、研修をみんなで行い、勉強だけでなく知識と仲間を増やしていくような研修をどんどんやっていきたいと思います。是非積極的に参加してもらえればと思います。システムを連携させたとき、それまでに培った人間関係がすごく活きてくると思います。
私もこのような形で都に限らず、様々な区市町村の方と意見交換をして、教えてもらっています。その中で大きなポイントになっている点が、デジタル部門のチームが予算や企画にどこまで踏み込んでいるのかというところです。現場を持っている部門とデジタル部門との距離感をどうするか、今後課題となってくると思っています。我々が現在試行錯誤しているところですが、皆様はデジタル部門と現場との関係をどのように捉えていますか。

野崎(東村山市)
東村山市では、庁内に情報化推進委員会というものを設置しています。そこに各所管からの要望を出していただき、そこで専門的知見を含め情報政策課で精査をして所管とのやり取りを行います。まずはそこで予算要求にあげていくものと少し時間を置くものとの選別をしたうえで、全庁的なシステム化に向けての予算要求を行っています。

宮坂
部門横断型でシステムを作ろうとされている工夫がとてもありますね!

野崎(東村山市)
そうですね。最終的には組織横断的に同じ方向を向いていければと考えています。

宮坂
とても参考になる取組だと思います。小平市様はいかがでしょうか。

伊藤(小平市)
既存の情報システムに関して予算を計上する必要がある場合、事業計画を予算に向け集約する前段で情報政策課が相談をしてフィルターをかけるというやり方を採用しています。今後は様々なツールを使ったDXの取組が出てくるかと思いますが、これについては情報政策課とは別にDX推進担当課長を置き、そこで確認をしながら、実際の事業計画、予算に結びつけていく体制をとっております。

宮坂
両市とも非常に参考になりました!ありがとうございました。

前半は東村山市様、小平市様の3市共同でのクラウド移行に関する取組と、デジタル人材の確保・役割についての意見交換をお届けしました。後半もお楽しみに!

執筆者:飛松 涼太(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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