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DX推進に向けた人材教育とシステムの共通化~中野区CIO×都CIO座談会①~

東京都・区市町村CIOフォーラムにおける活動の一環として、都内各自治体CIO等へ「東京都・区市町村CIOフォーラムマガジン」を発行しております。マガジンに掲載した内容を一部公開します。
第16回は「中野区CIO×都CIO座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

※この記事は全2回でお届けします。

令和3年11月10日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第16回座談会」として中野区CIOと都CIOの対談を実施しました。
参加者(敬称略)
中野区CIO:中野区副区長 白土 純
中野区 企画部長:高橋 昭彦
中野区 企画部情報システム課長:白井 亮
中野区 企画部住民情報システム担当課長:伊東 知秀
都CIO:東京都副知事 宮坂 学
都デジタルサービス局戦略部長:深井 稔
都デジタルサービス局戦略部戦略課長:小澤 洋之

ICT人材確保のために

柔軟な採用方法と研修の共通化

―それでは中野区様の取組についてご紹介いただければと思います。よろしくお願いします。

中野区CIO:白土(以下「白土」)
中野区では令和6(2024)年に、新区役所移転を行います。これを契機にDXを一挙に進めたいと考えていますが、DXを進めるために必要なICT人材が不足しています。そこで、11月にテレビCMで有名な求人サイトで任期付職員の募集を行いました。各区市町村も同様だと思いますが、やはりICTの人材不足が大きな課題です。併せて、特別区はICT人材を専門職として採用していないため、事務で採用した職員を区役所で教育しながら人材を育てています。よって、各区で人材に格差が生じていると思います。当区では、DXを本格的に進めて行くためのICT人材の育成が大きな課題となっています。このことから、今後、東京都さんのICT職の方との交流や、中野区から東京都さんへの職員派遣も必要になるかと思います。

都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
都では、4月にデジタルサービス局ができ、これからもっとデジタルを頑張っていこうと始まったところです。組織を作るにあたって組織が貢献すべき相手について決めようという話になり、①都民、②都職員、③区市町村のICT業務に取り組まれる職員の3つに決定しました。都民に対しては、より良い情報サービスを提供しようとすること、職員に対しては、もっと便利で戦える道具を提供すること、区市町村の最前線でICT業務に取り組まれている職員の皆様に対しては、ICT業務に関して頼ってもらえる環境(組織)を提供することを目標にしました。今日はその3つ目についてぜひ議論していきたいと思っています。
まず人材のところでかなり副区長の強い熱意を感じたので、都の現状をお伝えします。民間企業も含めて日本にICT人材が少なすぎると言われていますので、行政が採用するには苦労が多く、これからますます苦労するだろうと思っています。そのような現状でICT人材を確保するためには、雇い方を柔軟にしないとなかなか採用できないだろうと思っています。そのため、任期付職員を増やし、企業から出向に来てもらう、又は副業型公務員のような形で週に1~2日だけ働いてもらうという取組を行っています。もう一つの方策として、外から採用するのには限界がありますので、職員全員が今よりも少しだけデジタルのことを覚えていけるようにすることです。時間は少しかかると思いますが研修制度をしっかり充実させて、例えばですが、すべての職員が今よりも2割ずつICTのことを覚え、複利を効かせていければ10年間で6倍ぐらい知識が増える計算になります。このような取組を通して、毎年少しずつ職員を研修して育てていこうかなと思っています。このような話を区市町村の皆さんと話していると、研修というのは共同化できる部分が多いのではないかと認識しています。都の職員も中野区の職員も、他の区市町村の職員の方々も基本的にやることが大幅に異なるとは思えないので、場合によってはシステムの共通化とは別に人材教育の共通化なんていうのも非常に有効じゃないかと感じ始めたところです。

都・区市町村を超えたデータ連携の実現

共通基盤の選定

白土
ぜひそういう動きをやっていただけたら非常に助かります。
都全体として基盤を作っていただくと、様々な行政課題の解決に役に立ってくるのではないかと思っています。標準化・共通化・クラウド化という方向で都全体が連携して取り組むと相当の事ができるのではないかと思います。「未来の東京」戦略ビジョンを見ると、東京の市場の魅力やビジネスの容易性が東京の弱みになっていると思います。そこはデジタルの力で東京の魅力やビジネス環境を整えていくことが大事だと思っています。

宮坂
ありがとうございます。実は今都の中でも局が沢山あって政策連携団体もあり、それぞれが共通基盤をあまり考えずシステムを作っています。まずは都の中で共通基盤を選定し、それ以外は認めないくらいのことをやっていかないといつまでたってもデータが連携できないと思っています。この実現に向けて、共通基盤の選定をいよいよやろうと思っているところです。共通基盤の選定を都で行い、それを区市町村の皆様も使いたいとなっていくと、今おっしゃったような構想にだんだん近づいていくと思いますので、そういうことを考えながら共通基盤を都の中で作り、都全体にオープンに公開していきたいです。ゆくゆくは日本全体に開放しても構わないと思っています。ソフトフェアの良い点は1,000人使っても10,000人使ってもコストが10倍にならないところです。このようなスケールフリーが最大のメリットです。非常に後押しになるビジョンをありがとうございました!

前半は中野区様のICT人材確保に関する取組と共通基盤の選定についての意見交換をお届けしました。後半もお楽しみに!

執筆者:飛松 涼太(デジタルサービス局戦略部戦略課)
編集:星野 惇(同上)

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