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デジタル人材育成のカギは? ~江東区×東京都CIO座談会①~

東京都CIOと区市町村CIOの顔が見える関係を構築するべく、東京都・区市町村CIOフォーラムを開催。さらなる都内区市町村CIO等の皆様と都CIOとのフラットなコミュニティ形成を目的とし、個別の座談会の開催に至っております!
第22回は、「江東区×東京都CIO座談会」をお届けします!

※CIO(情報統括責任者):組織の情報戦略における最高責任者
※東京都・区市町村CIOフォーラム:都CIOと各区市町村のCIO(主に副首長)等が相互に密接な連携と協力を深め、電子自治体の構築や行政施策へのICT活用等の諸課題に関して、テクノロジー情報や導入ナレッジの共有化を通じて、東京都及び各区市町村のDX施策推進に寄与することを目的として設置

令和4年6月28日に、「東京都・区市町村CIOフォーラム第22回座談会」として江東区と東京都CIOの対談を実施しました。

※この記事は全2回でお届けします。

参加者(敬称略)
江東区政策経営部情報システム課長:伊藤 剛
江東区政策経営部情報システム課ICT戦略係長:寺嶋 曜十
東京都CIO:東京都副知事 宮坂 学
東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長:小澤 洋之
東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援課長:橋本 康昭

議題
① 東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針について
② 部局を超えてDX推進・協力体制を構築するためには
③ データの利活用について

東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針について

まずは共通の価値観を持つところから

―江東区様から取組のご紹介をお願いします

江東区:伊藤(以下「伊藤」)
 江東区では情報化推進プランという計画を策定し、令和2年度と3年度の2年間にわたって、電子申請の拡充やAI・RPAの活用、オープンデータの整備など様々な取組を進めてきました。一方で、こうした全体としての取組も大事なのですが、区民のデジタルサービスのニーズに応えていくためには、日々住民の方と接している各所管課の職員が区民サービスの向上と業務効率化のために、デジタルの力を使ってどのように業務を改革していくか考えていくということが大事になってきます。
 そこで、押田副区長も、ICT人材をいかにして育成し、DXの推進体制を整備していくかが課題であるとの認識です。そういった中で、東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針の考え方を取り入れていきたいということもあり、本日はそのあたりのお話も詳しくお聞きしたいと思っています。たとえば、こうした理念を職員、特に管理職に浸透させていくためにはどのような工夫をされていたのか、お伺いできればと思います。

江東区政策経営部情報システム課長 伊藤 剛

東京都CIO:宮坂(以下「宮坂」)
 デジタル人材の育成と一言で言っても、デジタルというのはかなり幅が広い言葉で、理系が足りないというくらい曖昧なので、もう少し解像度を上げないと、どういう人が足りないのかというのが明確になってこないと思います。不足しているものがわからないと採用もできないですし、育てようもないということで、まずは行政が必要とするデジタル人材というものの解像度を上げて、明確な定義ができるようにしようというのがスタートラインでした。それに当たっては、あまりにも国とかけ離れたものが出てきてもよくないので、IPAさんが作っているものなどを参考にしながら、たとえばデザイナーですとか、データがわかる人、インフラのわかるアーキテクチャーなど、都庁で必要とされるものを挙げていきました。
 今後はそれぞれに教育プランを用意して、職員が目指すキャリアにあった教育プランを受けてもらうことになります。たとえば、将来的にはプロダクトマネージャーになりたいのであれば、所定のトレーニングを受ければその仕事に就けるという形に落とし込んでいきたいなと思っているところです。まだまだ始まったばかりですので、ぜひ一緒になって知恵を出し合いながら進めていきたいと思っています。

東京都CIO:東京都副知事 宮坂 学

東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長:小澤(以下「小澤」)
 行動指針については、行動規範とガイドラインから構成されています。元々、行政手続きのオンライン化など急速にデジタル化を進めていく流れの中で、大量にデジタルのサービスを提供したとしても質が悪いと全体の評判が落ちてしまうことから、均一的な品質の確保をしていかなければならないという話になりました。色々な分野のプロフェッショナルが入ってきたときに、価値感がバラバラだとバラバラなサービスになってしまうので、まずはワークショップなどを通じて一般職・管理職分け隔てなく議論を重ね、共通の価値観を得るための行動規範として10カ条という形にまとめ上げました。
 一方で、技術は革新的にどんどん進んでいく中で、一定の技術水準を保つためには、やっぱりガイドラインも必要なのではないかということになりました。このガイドラインを読めば誰しもが再現できるというようなものを目指しています。今後はこれを徐々に全庁に拡大していって、それでガイドラインを成長させていければとも思っています。
 行政サービス自体は東京都のサービスだけで成立しませんので、ぜひそういった流れの中で自治体の皆様とも連携させて頂いて、このガイドラインを成長させていければと思っております。

東京都デジタルサービス局戦略部区市町村DX支援担当部長 小澤 洋之

伊藤
 まさにそういったところで我々の方も学べる部分が多々あると思いますので、ご参考にさせて頂きたいです。
 今年からDX研修を開催し、各課から1名、ICTのリーダーになる方を推薦してもらっています。そこに参加した職員から、やはり色々と業務の効率化や住民満足度の向上に課題を持っていて、デジタル化に取り組みたいけれども、どこから手を付けていけばよいかわからないという声をよく聴きました。
 また、参加者は若手の職員が多いので、幹部職員から明確なメッセージがないとなかなかやりづらいという部分もあるので、こういった人材育成方針の中に行動規範のようなものも盛り込んで、ぜひそういう側面を後押ししたいと考えているところです。引き続き色々と情報を頂ければと思います。

前半は江東区におけるデジタル人材の育成に関する取組についての意見交換をお届けしました。後半もお楽しみに!


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