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伐採作業中?? 「東京チェンソーズ 森と街をつなぐプロダクト展」開催

D&DEPARTMENT TOKYOで「東京チェンソーズ 森と街をつなぐプロダクト展」が開催中です(2024年9月14日〜10月15日)。

同店では2021年に共同開発した商品の販売をきっかけに、森・林業を知り、それを独自に解釈、楽しい展示や販売方法、ワークショップ、ツアーなどに昇華してきました。

店頭で展開中の「東京チェンソーズ 森と街をつなぐプロダクト展」

店舗に入って真っ先に目に飛び込んでくるのが「伐採作業中」の立て看板。
これは文字通り、伐採の作業をしているときに近くの道路端などに立て、通行する車両や歩行者に注意を促すものです。
檜原では、まぁまぁ日常的な光景なのですが、世田谷区のお店の中で見るとインパクト強!!

展示はいつもの仕事で使う道具に加え、ヒノキの根っこやシカの頭骨、山男のガチャの姿も。
さらに今回は、ヒノキの根っこを使ったクラフトビール「TOKYO HINOKI ROOTS SAISON」(醸造:アンドビール)とモノ・モノとのコラボレーションで誕生したDIY家具「筋交いが効いた2WAYスツール」「挟み脚の丈夫なスツールのキット」が初登場!

期間中の10月6日にはDIY家具の販売元であるモノ・モノとのトークセッション「d SCHOOL わかりやすい林業ー森と街をつなぐDIYの試みー」が企画されるほか、13日と14日には「杉でつくる家具 ワークショップ」も開催されます(詳細・お申し込みは下記リンクから)。

同店が東京チェンソーズに関わる展示を行なうのはこれで3回目です。
前回(2022年)の「森と街をつなぐ山のしごと展」は4ヶ月間のロングランで、3つのテーマ展示、2つの関連イベントを実施しました。

店長の平田鈴乃さんによると、前回は東京チェンソーズの活動の紹介が中心でしたが、今回はそこから生まれたプロダクトを前面に出したとのことです。展示は入社2年目の工藤駿平さんが担当しました。

販売開始。しかし、その商品のバックグラウンドが分からない

D&DEPARTMENT と東京チェンソーズとのコラボが始まったのは2020年。この年から二者によるオリジナル製品の開発プロジェクトがスタートしました。そして約1年の時間を経た、翌2021年にオリジナル商品「コーナーシェルフ」と「バルコニーテーブル」が発売開始されます。

スギで作った組み立て式の小ぶりな棚「コーナーシェルフ」
サワラで作ったテーブル一体式ベンチ「バルコニーテーブル」

共同開発の経緯についてはこちらに詳しくまとまっていますので、ぜひお読みください。

平田さんがこのプロジェクトに携わるようになったのは、製品の発売が決まってからです。
しかし、販売するに当たって、少し困ったことがありました。

D&DEPARTMENTでは商品を販売するとき、その背景となる、その地域の暮らしや産業、人についても大切に考えているそうですが、他のジャンルの商品と違って林業は分からないことが多すぎたと言います。

「林業のことを何も知らなくて…何が林業の業界で問題になっていて、私たちはこの商品を通じて何を伝えていけばいいのか分かりませんでした」と振り返ります。

であるからこそ、ぜひ「森に行って話を聞きたかった」のだそうです。

東京チェンソーズでも製品の背景にある森や林業について知ってもらうことを大切に考えていましたので、平田さんはじめ、同店のスタッフに森へ来ることを提案します。

林業には堅苦しいイメージがあった

今では何度も森に来ている平田さんですが、初めは森にどのような印象を抱いていたのでしょうか。

「森へ行く前は林業に堅苦しいイメージがあり、噛み砕けるか不安でした。
でも、実際に現場に行かせてもらって、作業も少しさせてもらって、かなり身近に感じることができるようになりました」。

工藤さんは宮崎の山間地域で育ったそうで、環境的には林業や森に近いところにいたのですが、やはり林業はまったく縁がなかったとのこと。

「林業の人には立ち入りできないようなところまで入り込まないと会えない感じがしていました。トラックが止まっているのを見て、こんなところに林業会社あるんだって知る感じです。
山歩きなどで荒れた暗い森を見ていたんですが、なぜそうなってるかも分かりませんでした」。

森へ行き林業を知ったことから、販売企画やツアーが生まれた

2つのオリジナル商品の販売が決まり、その勉強も兼ねて訪れた檜原村。東京チェンソーズに案内され聞いた話の中で、平田さんが特に印象的だったのが「節の話」だそうです。

節は枝の痕跡

製材した板や輪切りした丸太の表面で見ることができる節は、樹木として生きているときは枝だったところです。
節は木の中心から外側に向かって伸びていきますが、大抵は途中で途切れています。
それは「枝打ち」という、枝を切り落とす作業をしたからです。枝打ちをすることで、節のない製品をつくることができるうえ、まっすぐな木を育てることができるのです。

コーナーシェルフの側板にも節があるのですが、それをお店では個性的な模様と捉え、お客さまが自分で好みのものを選べる期間限定のイベントととして販売会を開いたこともありました(2021年11月)。

ちなみにこのイベントには東京チェンソーズのスタッフもお店に行って、参加したお客様に森や林業のお話をしました。

(↑本イベントは終了しています)

また、東京チェンソーズで森に触れたことをきっかけに、スタッフがMOCTION(国産木材の情報発信拠点)に出かけ展示を見たことで、より広く木材・林業について知ることができ、接客につなげることができたとも話します。

森を訪れるツアー「山の参観日」。参加者は店舗の顧客から募集し満席となった

2022年8月には、お客様も一緒に森へ行こうという「空気や水の生まれ故郷を訪ねる 木こりになる、山の参観日」を企画。

「正直、集客は心配したんですが、結果満席になりました。すごい興味ある方はいるんだなと感じました」とのことです。

林業や森に興味はあるが、どこへアクセスしていいか分からないという人も多いと思います。
いきなり林業会社に連絡することはハードルが高いかもしれませんが、D&DEPARTMENTのような街のお店が窓口だったらアクセスしやすいのでは。


インタビュー中、平田さんから「東京チェンソーズは一緒に活動している”仲間”だと思っている」というお話を伺いました。
これは東京チェンソーズ側も同じ想いで、お互い、共に面白いことをしようと期待し合っている関係であるようです。

工藤さんからはこんなお話を聞きました。

地元・宮崎に「しょうがない」、「手に負えない」というような意味で使う「てなわん」という言葉があるそうです。
そこには自然と対峙し、自然を受け入れ、折り合いをつけ、無理せず…というイメージがついてくるようで、、
例えると、大雨で増水しても流されず、水面に沈む「沈み橋」。

東京チェンソーズを擬人化したときの口癖は「てなわん」ですね(笑)

これからも、こういった仲間をどんどん増やしていけたらと思います。「東京チェンソーズと面白いことをしたい」とご興味を持って下さった方はぜひこちらからお問い合わせください。