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初めての東京、あますっぱい思い出

初めてできた彼は、新卒で入社したレストランで働いていた男の子。

入社してから2年目の春、有名なショッピングモールに入っている”長崎ちゃんぽん”のお店への転勤を告げられた。

そして配属されてから数日が経ったのだけど、お客さんが一向にやってくる気配はなく、道ゆく人たちは足を止めようとすらしない。

そんなお店だったこともあり、平日はアルバイトとわたしの2名体制が多く、特に近くの大学に通う大学3年生の彼は、お小遣いを稼ぐため毎日シフトに入っていて、時間を消化するための“ちょうどいい”話し相手になっていた。

年齢は2つ年上で、他のスタッフ特におばさま方からのウケがいい好青年。
長女でしっかりする意識をもって育ったわたしにとって、お兄ちゃんのような存在だった。

1か月

仕事にも慣れてきた頃、1日の大半をお客さんを待つ時間に費やしていたもんだから、好青年と会話する頻度も増え・・・というよりも、ほぼ会話しかしていなかったと思う。
彼は3人兄弟の長男で年下の扱いも心得ていたこともあり、好意を抱くまで時間はかからなかった。

当時、好青年に大切な人がいなかったこともあり。そのまま、トントン拍子にことが進み、お付き合いすることに。

東京のはじめての彼氏ということで、さっそく母に報告をいれると、わたしの香ばしい話しに喜んでくれた。

ハッピーバースデー

今思うとかなり張り切っていた。

彼の誕生日。
仕事を早めに終わらせ、ルンルン気分でスーパーに立ち寄り、夜のご馳走の買いものを済ませ、家に帰って準備をはじめる。

彼からのリクエストは、スペアリブ。

スペアリブってなんだろう・・・?

料理の仕事をしているのに知らないのと?思われそうだけど、スペアリブを食べたことがなかったので、そこはご愛敬。

検索すると【肉を煮込んでハチミツなどで味付けしたもの】とでたので、指示に従いお肉とハチミツを買って、グツグツ煮込んでみる。

その間に、CMで流れていた“お寿司ケーキ”の準備にとりかかった。

前日、ふとテレビに目をやると、仲睦まじい親子がホールケーキの上のご飯に、サーモンやら、たまごやらを乗せてケーキのようなお寿司をつくるCMを目にして、一瞬でココロを掴まれた。

あと一品を探していた、わたしの需要にズキュンと命中!
彼らを採用し、ひとり黙々とお寿司ケーキを完成させた。

サーモンでバラをつくるのは難しく思いのほか苦戦、料理の仕事をしている意地もあったので時間はかかったものの諦めずに、しっかり完成させた美しいお寿司ケーキ✨

ちょうどそのタイミングで、デザートのガトーショコラを入れていたオーブンから「できたよ~」と声がしたので、熱をとってから冷蔵庫のなかで冷やしいく。

そしてチーズ焼きをオーブンにセットして、、、かんせ~い!


料理以外にも、ぺーバーボンボンを大量につくり、部屋がお花畑になるよう飾り付け。

それから用意していた自作のアルバムと、プレゼントも3つほど用意して、ウキウキしながら彼の帰りを待った。


そしてガチャと扉が開く音と共に、クラッカーをパーンと鳴らして「ハッピイバースデー!」でお出迎え。

彼の驚いた顔に内心ガッツポーズをしながら、用意していた料理をつぎつぎ彼の前へ運んだ。

すべて出し切り、満足した顔で立っていると、彼が一言。

「スペアリブは?」

これだよ!とわたしが指をさすと、

「・・・手羽先だよね?スペアリブって豚肉だよ」

なんとしたことに、スペアリブを知らないわたしは、検索で一番最初に出てきた【鶏の手羽先】を”スペアリブ”と勘違いしてしまい、鶏料理を作ってしまったようだ。

でも・・・味は申し分なかったはず!と信じたい笑

written by みんちゃん


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