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なんで私が東京の下町に?

「あなた、下町の星を持っているわ」

ゾッとした。

某有名な占いサイトに遊びゴコロで登録してみると、人にはそれぞれ生まれ持った星というものが存在するらしく、どうやら私には“下町”にとてもご縁があるようだ。

たしかに、記憶をたどってみると東京に上京してから、かれこれ10年くらいが経つけれど、人生のターニングポイントといわれる時期には、高確率で下町にお世話になっていることが多い。

そう思うと全てを見透かされているようで、スマホ画面の奥で不気味な笑顔でたたずむ、占い師から目を背けたくなった。

カメ様の駅

最初に東京にきて住んだまちは、総武線亀戸駅。雰囲気はかなり下町で、住んでいる人も割とアットホームな方が多い印象。

亀戸駅に降りてみるとマンホールやら、オブジェやら、そこら中とにかく亀がちりじりになっているのを目にして、正直ギョッとした。

水浴びをするカメ様

こんなにカメを題材とした作品を目にしたことがなく、この地域の方はかなり“カメ様”のご恩恵にあやかっている。

でも、肝心な“本物のカメ様”には遭遇したことがなくて、なぜ“亀戸”という名前なのか?すこし不思議思っていたけど、しばらくするとたいして気にならなくなっていた。

そこにいる、“なにか”


ある日、仕事の帰り道に亀戸天神という神社が近くにあるので、仕事で悩んでいたこともあり、神さま頼みでもしようと神社に行ってみることに。

夜が深かったこともあり辺りは闇に包まれている。
薄暗い亀戸天神の中にはいくつかの橋が架かっているので、橋を渡って本堂に向かっていると・・・

――――ボッチャン!!!

闇の中から突然、“なにか“が落ちる音が聞こえた。

さっきも言った通り、今は夜。

闇の中からいきなり、そこそこの音量でブツが橋から飛び降りる音が聞こえたら、恐怖でしかない。
しかも周りには誰もいない・・・

もうさっさと、神さまにお願いだけでもして帰ろうと思って足を進めると・・・

―――ボッチャン!ボチャン!

―――――――――――ボッチャン!

3連続で正体のわからない謎の音が連続で続き、私の中の恐怖バロメーターの針が一気に振り切った勢いで、そのまま計測不能になった。

これは、Jアラート。いわば、緊急事態。

人間というものは、本当に危険を感じると無意識で防衛本能が働き、怖さすら感じなくなるようで、恐怖バロメータも使い物にならなくかったこともあり、そのまま音がする方へと自然と足が向かっていた。

ーーーここで潜在意識が語り掛けてくる。

「ダメだ。なんかあったら、お母さんに合わせる顔がない。」

『でもこれ以上、“なにか”の音を放ってはおけない。放置する方が危険だ』

脳内でふたりの私がディベートを初め討論するうちに、恐怖バロメータが故障したという圧倒的なハンデもあり【今すぐ確認する私】が優勢で勝利した。

――よし、今すぐ確認しよう。

人でもワニでも出てきたら相手になるという、かなりの気合を入れて音の方に向かうと、

・・・そこには、見たこともない大量の“カメ様”のお姿が!!

――亀戸にやってきてから1年以上お目に掛かることがなかったカメ様と初めて遭遇した時、ハッとした。

上京してきたときに不思議に思っていた“亀戸”という名前の謎がようやく解け、私は未解決時間の謎を解いた名探偵のような誇らしい気持ちになった。

「“カメ様”こちらにいらっしゃったのですね。」

――――ボチャン。

お昼はキレイ

さようなら、カメ様


それから、何年か経ち亀戸駅を離れることに。

長らくお世話になって場所だから、最後にカメ様にご挨拶をと思い、神社に行ってみると“カメ様”たちは姿を現さなかったので、心の中でさようならをした。

亀戸ともおさらばし、5年が経過した。

下町の星


当時、勤めていた会社の先輩とお付き合いをすることになり、そのまま勢いに任せて【0日同棲】をすることに。

彼の家にはまだ行ったことがなかったので、内見がてら電車に乗りながら向かうと、窓越しに見えるのは懐かしい景色―。

妙になつかしいな~と浸っていると、
「カメイド~」というアナウンスと共にドアが開き、先輩が電車からポンっと降りて、ホームに華麗に着地した。

すごい見たことある・・・

***

なんということに、先輩の家は“亀戸駅”にあるそうで。

なんの巡り合わせか、私はまたココで生活をすることに。

下町の星はかなり強力らしい。

written by みんちゃん

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