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「こんなはずじゃなかった人生」の先に

私は地元が大好きなので、上京することにあまり興味を持っていなかった。そんな私が東京に夢を見たのは転職とある失恋がきっかけだった。

転職した会社は地元での勤務だったが、研修のために1か月間東京で過ごすことになった。東京に旅行で来たことは何回かあったが、暮らしたことは初めてだったのでとても記憶に残っている。人の多さも路線の複雑さも、ホットスナックがセルフサービスなのもとても驚いたし新鮮だった。
同期も地方から来ている人がほとんどだったので、一緒に東京を満喫した。

noteとの出会い

そして何で知ったのかもう覚えていないが、この時期に私はnoteを知った。元々ライターに憧れていたので知ったときは「これだ!」と思った。初めて書いた内容は失恋したことについて。その時noteでは「熟成下書き」という年末に向けての下書き放出をテーマとしたお題があって、私の行き場のない感情もここで浄化させようと思って勢いで書いた。
初めて自分の言葉を公にするのはとても恥ずかしかったし、怖かった。それでも友達が「今までこういうの読んだことなかったけど、本当に素敵だね」と言ってくれた事でとても自信がついたし、私の悲しみも少しは報われたのだ。

研修を終え地元で働きながらnoteを書く日々を続けていた。この頃から私の夢はライターになることに変わった。どこでも出来る仕事だけど、もっと同じことに興味を持っていたり、夢を追いかけてる人と関わりたいと思うようになり上京することを考え始めた。地元で探すことも勿論出来ただろうが、研修で過ごした東京での日々を思い返し、そこで生活する事を想像するととてもワクワクした。そして私は上京を決意した。

上京

住んでいた街とも友達とも離れて、仕事も変わるのは大きな変化だった。そのせいか本来の夢は叶っていなくとも、上京しただけで大きな達成感を既に感じていた。何よりも、この先待ち受けているであろう未知のキラキラに期待を膨らませていた。

タイトルに結末を書いているが、私が思い描いていた未来は訪れなかった。ライター仲間はできなかったし、ライターの仕事には勿論、近い仕事にさえ就いていない。夢を追うことも諦めかけるようになった。

実際に起こったのは、映画監督を目指す人との出会い、新しい街で見つけたカフェで読書をして過ごす日々。次の仕事までの繋ぎで登録にいった派遣会社ではスカウトされて、すぐに次の仕事が見つかる事になった。新しい出会いのおかげで、新しい趣味ができて夢の選択肢も広がった。

何が言いたいかというと、自分が思い描いていた通りになんてならなかったけれど、違う形で夢はいつでも叶うし、違う楽しみや道が見つかることもある。すべて上京しなければ、新しい環境へ踏み出さなければ出会えなかった出来事ばかりだ。

私の好きな映画のセリフでも「予想したことは起こらない。予想もしなかったことばかりが起こるんだ。だからただ進め」というようなセリフがある。
「こんなはずじゃなかった」と何回も泣いたし、自分が惨めに思えたこともたくさんあった。だけど思い返してみれば、苦しんでいた時期にも愛しい時間や出会いはたくさんあったし、今もこうしてライターになるという何年か前の自分の夢を叶えられている。いつだって未来は予測できないからこそ、今できる事や望んでいる事に手を伸ばす事で、新しい何かを見つける事ができるかもしれない。

Written by HINA

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