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上京に成功も失敗もない

上京を経験すると、どうしても「挫折」という言葉がちらつく。
私は2度上京を経験していて、一度地元に帰った時に父親から「お前の人生はもう失敗してる」と言われたことを鮮明に覚えている。
その時は北海道から出たことがない父親に言われたくないと思ったが、やっぱり上京というものは「成功」とか「失敗」が付きまとうものなんだなと改めて感じた。

地元から同じように上京した友人も、夢のために上京したが早々に会社を辞めることを選択し、悩んでいた。正直、夢を持って上京してその夢の通りに生活ができている人の方が少ないだろう。みんなそうだと知っていても、思い通りに行かないことに悩んでしまうものだ。
正直一度地元に帰ることを選択した時はすごく恥ずかしかったし、友達に合わせる顔もなかった。
それでも一度上京を経験してみないことには、自分が何が苦手で、何が居心地がいいのか。それすら気づくことが出来なかっただろう。
実際、帰ってきてから「失敗してしまった」と思い悩んだ時間は短かった。住み慣れた地元だからこそ、案外すぐに順応して新しい生活を取り戻すことが出来た。

世間の目と自分の気持ち

そこからまた上京の話が出た時は、「また同じことを繰り返すのか」というあがってもいない批判の声が怖かった。私は自分に正直に、自由に生きていたつもりだったが、実際は周りの目や世間体をかなり気にしていたことに気づいた。
しかも一度挫折してしまったことで、上京に対するハードルは前よりも確実に上がっていた。もし次上京したらもう帰るという選択肢は選べない、そんな風にも思った。それなのになぜ悩むのか、「行かない」の一択じゃないのか。と思ったが、どこかで東京への憧れを捨てきれていない自分がいたのだろう。
そうして私はもう一度上京をして、今に至る。

私の中で上京はかなり大きな問題だった。住む街はどこがいいのか、治安は?アクセスは?いい家が見つかるのだろうか。仕事はどうしよう、本当にやっていけるのかな。など、たくさんの悩みを抱えいたが、気づけば一つずつ解決していくことが出来ていた。
めんどくさい手続きを終えてしまえば、新しい家に心躍らせ、初のIKEAで買った家具で揃える。そんな瞬間が待っていた。
当時は途方もない道のりに思えたし、挫折も味わった分苦しい時期もあった。それでも今は平和に東京で暮らせている。あの頃悩んでいた自分に、そんなこと悩んでも仕方ない、と今なら言ってあげられる。

初めてのIKEAは新生活への期待が詰まっていた

成功も失敗もない

最初の父親の言葉に戻るが、上京して地元に戻ったからといって「人生の失敗」にはならないし、ただの経験でしかない。どうしても大きな出来事だから、そんな風に考えてしまいがちだが一体上京の成功ってなんなのだろうか。地元に戻れば失敗と思ってしまうが、住み続けても成功したなんて言ってくれる人はいない。そんなわけで、はなから成功も失敗も上京には存在しない、と思っている。
それから、私が恐れていた2度目の上京に対する批判なんて一つも耳にしなかった。もちろんいい友人を持ったのも理由の一つだが、東京で出会った人に2回上京している話をしても特に驚かれることはない。ほとんどの自分の悩みは妄想で、案外大したことないということを学んだ。
これからも私は新しい居場所を探しに、東京ではないどこかに行くかもしれない。いつだって新しい場所を目指すのはワクワクさせてくれるし、素敵な経験や出会い運んでくれる。

Written by HINA