パリオリンピック男子マラソンから学ぶ
各国の暑熱対策、ランニングフォーム、給水所の設営の3点に注目して、マラソンを見ていました。
まずは暑熱対策です。
先月から紹介し、練習会でも使っている冷却ピース付きのバンドをキプチョゲ選手やアブディ選手が着用していることに驚きました。ついに、陸上競技の世界にも入ってきました。
※詳細は下部でご紹介
ランニングキャップの工夫は新しいものは無かったです。氷を入れたり、首の後ろの日差しをカットする布をつけたりと、従来からあるものでした。北海道マラソンなどでは、キャップの交換はできませんので、形状の工夫がポイントになります。パリパラリンピックに向けてキャップの加工方法を考え、試作品が出来上がりました。
ランニングフォーム
余裕があるのか、余裕がなくなってきているのかは、見ていると分かります。テレビでは、それを汗のかき具合で表現することもありますが、正確ではないです。余裕があっても汗はかきます。
では、何が異なるのかというと、使っている筋肉のバランスが変化しています。例えば、1kmを3分00秒のペースで走るのに、腕周辺20、腹筋20、大腿部40、下腿20だったとします。(仮定の数字です)
全てが等しく強化されていて、全てが等しく使われているとは限りません。アップダウンによって、大腿部の消耗が激しくなる場合もあります。
そうなると、大腿部の筋肉が持たなくなってきて、ペースが落ちそうになります。集団に残るために、1km3分00秒を維持するために、本来のバランスを崩さざるを得なくなります。大腿部40が35になったことで、この減少分を他で埋め合わせします。
その結果、余裕がなくなってきたということが目で見て分かるようになります。(その解決方法は長くなりますので割愛します)
給水所の設営
国際大会の場合、国毎にスペシャルドリンクのエリアが設けられることが多いです。パリパラリンピックに向けて、テーブルのサイズや国毎のエリアの幅などを確認していました。今回は女子マラソンでも勝負どころで渡し損ねるなど、見ていて難しさを感じました。
キプチョゲ選手・ハッサン選手の対策と日本の対策の融合
マラソン完走クラブの練習会では、冷却ピースも試しており、深部体温の計測も行っています。
日本選手は、冷却ピースは使用していませんでした。実際にどれくらいの国が情報を持っていたのか、試していたのかは気になるところです。
日本チームは従来のキャップの加工で勝負をしていました。このキャップには欠点があります。それは氷を入れるスペースを確保するために帽子が深すぎるのです。
そこで、同じものを手に入れて、今日分解し、より良い対策を施した試作品を作りました。
キプチョゲ選手やハッサン選手が使用していたヘアバンド型ではなく、サンバイザー型をベースにして、日本のキャップと融合させます。
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