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ある日、新宿の交差点で

 ある日、新宿の交差点で信号を待っていた。
 すると右側から、小学5年生ぐらいの子供が半ズボン姿で、ボクの前を通りすぎていった。 
 
 さすが小学生、半ズボンか。元気がいいな。でも両手をポケットにいれ、何かさびしそうに歩いていた。
 通りすぎて、またしばらくしたら、なぜか戻ってくる。変だな。ボクの前に来たとき、偶然目があったので、無言のまま顔で、「なんか、あったのか」といった。

 そしたら向こうも、無言のまま、「別に」と顔で答えた。
 別にって、変わってるな、おまえ。そう思いながら、去っていく、どこか哀愁をただよわせている子供の後ろ姿を見ていたのだった。

 ボクもあの子と同じ頃、あんな風だったのかなと思ったら、なんだか切なくなった。

 前の信号が青になったので、そうかと思いつつ、ボクは向こう側に渡っていった。






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