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摂食・嚥下の5過程


「摂食・嚥下」食べることは皆さんもご存知の通り重要なことです。
食べる時は「座り」「食べ物を見て」「箸で食べ物を把持して」
「腕を動かし」「口を開けます」「食べ物をかみ」「喉を通します」
これはまだ、「食べる」という作業をほんの少し細分化したに過ぎません。
自分は理学療法士という立場でどのように「摂食・嚥下」に関わることが
できるのか模索していきたいです。

摂食行動は食べることの意思決定から始まります。
主に大脳辺縁系の扁桃体と大脳基底核の視床下部によって
「食欲」が摂食行動の動機付けになりますが、この制御は
血液中の糖分やホルモンによって調整されています。

「摂食・嚥下の5過程」

①先行期(認知期)
②準備期(咀嚼期)
③口腔期(嚥下第1期)
④咽頭期(嚥下第2期)
⑤食道期(嚥下第3期)

「①先行期(認知期)」

先行期は、食物を口腔内に取り込む前までです。
まずは「視覚」「嗅覚」によって得た情報を過去の記憶に照らし合わせて
食物として認知していきます。
過去の情報を照らし合わせる場所は大脳皮質の「海馬・扁桃体」です。
食物と認知されれば、次に「感情」や「環境」によって摂食行動が調整されます。

好きなものを食べる時は早く食べたいと思って、
一口量が多くなるかもしれませんし、大事に味わいたいと思えば小さくなります。

このように、自分の今の感情によって摂食行動が変化していきます。

この摂食行動が調整されるのと同時に、嚥下を標的とした
フィードフォワード機構が働きます。

このフィードフォワード機構では
食物の大きさ、味、温度、硬さなど、食物に関すること以外にも
食器・箸・スプーンなどの食事道具の「形状」や「位置」なども予測します。
そして、この情報をもとに口の開け方、舌の使い方だけではなく
頭・頚部の角度、上・下肢の位置、体幹の位置など姿勢調整も予測され、
自分の身体をどのように使うかの戦略をたてていきます。

摂食行動に至ると、食物を手や口で触れることで、硬さ、温度など体性感覚を
通じて食物としての認知が進んできます。
食物が認知されると副交感神経が刺激され準備期に必要な
唾液の分泌が生じ、食塊形成や食塊の移送を促します。
また、唾液には食物を溶かしたり、味覚を促進します。
摂食にとって非常に重要な役割を持ちます。

「②準備期(咀嚼期)」

準備期は食物を口腔内に取り込み、嚥下運動が生じる前までをさします。
この時期では、随意・半随意的に開口、舌による食物の引き込み、閉口が生じ、
次に食物を嚥下しやすくするための加工処理(咀嚼・舌によるこね回しなど)が
行われます。

咀嚼運動は運動の開始や運動制御の一部は随意的であり、意識レベルや認知機能が
関与してきます。その他は不随意に律動的な運動が行われます。
この律動的な運動は下位脳幹にある中枢性パターン発生器(CPG)という
神経回路によって制御されています。
この咀嚼CPGによって顎・顔面・舌の筋肉が協調し、咀嚼運動を形成します。


咀嚼CPGは大脳皮質咀嚼野、一次体性感覚野から遠心性の出力によって働きます。

口腔からの感覚情報は咀嚼運動を促進します。
味覚情報は唾液の反射的な分泌を促し、食物の硬さの情報は歯ごたえとして
認知され、歯根膜や閉口筋の筋紡錘から入力され、反射的な咀嚼力の調整をします。

「③口腔期(嚥下第1期)」

準備期で加工処理された食物を口腔から咽頭まで送り込むまでです。
この過程は不随意的な運動です。
この時期の役割は食塊を口腔から咽頭へ移送することと、
上気道への食物の侵入を防ぐことに分けられます。

食塊の移送は閉口、舌筋の収縮に伴う送り込み、喉頭の前方移動による
咽頭下部の開大に伴う食塊の引き込みによって起こります。

上気道への食物の侵入の予防は軟口蓋の挙上により鼻腔と咽頭を遮断する。
この過程は高次脳やCPGからの調節を受けて、閉口は顔面神経、舌の硬口蓋への
密着は舌下神経、舌根部からの感覚入力は舌咽神経、軟口蓋挙上は三叉神経・迷走神経・舌咽神経が司っています。

「④咽頭期(嚥下第2期)」

食塊が咽頭を通り食道入口部まで移送され、不随意的な運動です。
この時期の役割は、咽頭から食道への食塊の移送と
下気道への食道の侵入(誤嚥)の予防になります。

食塊の移送は、喉頭の前方移動に伴う咽頭の拡大と咽頭筋の収縮です。

下気道への食物の侵入予防は喉頭蓋の下垂による喉頭口閉鎖、声帯と前庭ヒダの内転運動による声門閉鎖、咳嗽反射が関与する。

咽頭嚥下開始とともに呼吸中枢は0.5~1.0秒停止する。その時に、横隔膜が活動し、
声門閉鎖下を陰圧化する。そして、声門閉鎖をより強くすることで誤嚥防止をしている。

「⑤食道期」

食道期は食塊が食道入り口から胃に移送される過程で不随意な運動。
食塊が食道括約筋の弛緩と食道入口部の拡大によって食道内に移送されると、
その後は食道の蠕動運動により胃に移送されます。
食道の蠕動運動は、食塊が食道壁を刺激することで求心性および遠心性の刺激が
ともに迷走神経を通り、反射的に生じます。

「まとめ」

摂食・嚥下の5過程についてまとめました。
私自身わからないことがたくさんなので、まだまだ勉強していきます!!
今回はほぼ教科書の内容をまとめたようなものなので書籍も参考にしてみてください。

参考図書・画像引用:姿勢から介入する摂食・嚥下 脳卒中のリハビリテーション

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