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仕事の依頼を断りたい顧客との向き合い方:燕三条の町工場の一例

カスタマーハラスメントという言葉が世間をにぎわすようになっていますが、ものづくりの現場でも仕事の依頼を断りたい顧客に出くわすことがあります。
新規顧客の場合と既存顧客の場合に分けてみていきたいと思います。

仕事の依頼を断りたい新規顧客の場合。
ホームページを見たであったり、既存の顧客・協力会社からの紹介であったりなどで、新規顧客と取引が始まる場合があります。
既存顧客・協力会社からの紹介の場合(口コミ)は、事前にある程度相手方の様子をうかがい知ることが出来、想定の範囲内での対応、取引開始になることが多いです。
それに対し、ネットで検索してトクニ工業までたどり着いた新規顧客の中には、加工可能であるけれども取引は遠慮したいと思える場合も稀にあります。
商習慣が異なるからでしょうか?
置かれている環境があまりに異なるからでしょうか?
言葉では言い表しがたい何となく漠然と「嫌」といった取引相手が現れる場合があります。

断る方法は2つ
・法外な費用を提示する。
・素直に断りを入れる。

費用対効果という言葉があるように、お金で解決するという方法があります。
「嫌」といった感情をお金で換算するといくらくらいなのか?
割増料金でお金を積んでもらえれば、嫌々ながらも注文案件に着手することが出来ます。
以前は漠然と、一般に加工する費用に割増料金を加算して見積もりを出していました。それでも稀に、受注することがあります。
見積りが甘かったのでしょうか。それでも納得できる割増料金をいただいているので、対応せざるをえません。

それに対し費用以前の前に、対応できないと断りを入れる。
新規顧客の開拓を是とする経営方針を採っている場合、一度断りを入れるということは、その顧客からの次回の照会も含めて断ることになりかねません。
あいにく今回の案件は断りたいが、機会があれば関係を維持しつつ将来的には受注に繋げていきたい。
などという欲張りな感情を持っていると素直に断りを入れることに抵抗を覚えてしまいます。
受注には至らないが見積打ち合わせの中で、親近感が持てる相手であれば次に繋がる関係性の維持もありなのだろうが、今回の例は「嫌」という感情を相手に対し持っているという場合。
つまり、今後とも取引したくないということになります。
その様な場合、素直に断りを入れることが大切です。

様々なバックグラウンドを持つ相手が顧客になりうる状況の中で、ものづくりに対し理解を持たずに接してくる人もいます。
尊敬しろとか理解しろというわけではなく、最低限の尊重が必要だと思います。あくまでもものづくりで顧客の目的をサポートするというスタンスで対応してるので、ネットショッピングのようにボタンを押せば次の日届くわけではありません。

仕事の依頼を断りたい既存顧客の場合。
現在取引している顧客の仕事を断りたい場合は、現状分析から始めます。
月どれくらいの仕事を受注しているのか、年間どれくらいの仕事を受注しているのか?売り上げ全体に占めるその顧客の割合は何パーセントなのか?

現状を踏まえたうえでの対処法は、
・仕事を継続しても良いと納得できるまで、条件を引き上げる。
・代替となる仕事を見つける。

既存顧客で仕事を断りたいと思うのは条件があってないからです。
無理な納期・無理な品質・無理な価格
今までやってきたという既成事実に乗っ取ってその無理を押し通そうとします。
働き方改革で労働時間が制限されても、充分な製造期間を与えず、過剰な品質を求める。
様々な物価高騰にあるにもかかわらず、価格変更に応じない。
その様な不条理な関係が続いていくと、顧客への忠誠度は落ち、信頼関係も希薄になっていきます。
さらに追い打ちをかけるように、担当者の変更を機に取引条件をさらに厳しくする。間接業務を一方的に依頼してくる。
にもかかわらず、一社依存の顧客構成だったり、特定の会社への依存度が高すぎたりすると、離れたくても離れられないといった状況になります。

どうやって主従関係からパートナー企業といった関係に変化していけば良いのでしょうか?

まずは一社依存をやめる。高依存度を解消する。
すぐに成果が上がるわけではありませんが、新規顧客を開拓し顧客の分散化を図ることです。
新規顧客の開拓をしてこなかった会社にとって、新規顧客の開拓はハードルが高いものかもしれません。しかし、既存の顧客に評価され仕事を受注しているということは、他の顧客からも仕事を受注することが出来るという可能性があるということです。
・既存事業で既存顧客の仕事をする(現在)
・既存事業で新規顧客を開拓する
・新規事業で既存顧客を開拓する
・新規事業で新規顧客を開拓する
下に行くほどハードルは高くなってきますし、リスクも増えていきます。

顧客件数が増えれば、それぞれ比較することも出来ますし、納期・品質・価格の面でも検討素材が増えます。
自律した一企業・町工場としての存在意義を確認しつつ、社会に必要とされる企業経営を続けていきたいものです。

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