「まゆみ」(12)「同級会」
いつものように「まゆみ」が10時にアパートにやって来ました。
玄関に入るなり。
「「トクちゃん」今度の土曜日の同級会行くよね?」と聞いてきました。
「同級会?俺聞いてないけど⋯」
「あれ、そうなの?」
「きっと「トクちゃん」の実家には連絡してあると思うよ」
「ああ、そうか⋯。アパートに住んでるってみんな知らないからな」
「ねえ、同級会行くでしょ?」
「うん、行きたいけどな⋯」
「けど、なんなの?」
「うん、「チュウ」と「Eさん」には会いずらいんだよな⋯」
「そうか⋯。私も「Eちゃん」には会いずらいな」
「でも、私は行くよ」
「「トクちゃん」も行くでしょ」
「場所はどこでやるの?」
「元の第二小学校だって」
「お店じゃないんだ、アソコってタクシーで行くしかないのかなあ⋯」
「「まゆみ」は、どうして行くつもりなの?」
「私は、お酒飲みたいんだけど⋯。「トクちゃん」も飲みたいでしょ?」
「私の車に「トクちゃん」を乗せてってあげても良いよ」
「ホント?じゃあそうしてくれる」
「あ、そうだ、付き合ってることは内緒だぞ」
「え~、なんで内緒なの?」
「だってさぁ、恥ずかしいじゃん」
「「トクちゃん」は、私と付き合ってることが恥ずかしいの?」
「そういう意味じゃなくてさあ⋯。照れくさいってこと」
「俺たち以外に同級生で付き合ってる奴らっているのかな⋯」
「いるよ。I君とMちゃんも付き合ってるよ。みんな知ってるよ」
「あ、そうなんだ。でも、内緒にしとこうな」
「え~、なんか寂しいな⋯」
さて、「まゆみ」の車で同級会に行くと、席はくじ引きで決めることになっていました。
二人でくじを引くと、なんと⋯。
私の左隣は「まゆみ」になりました。
そして右隣は「チュウ」に⋯。
「まゆみ」は屈託なく喜んでいました。
同級会も中頃になると、自然に彼女とか彼氏の話しになってきました。
私も彼女がいるか聞かれたので。
「俺?俺は彼女いないよ」と言うと、隣に座っていた「まゆみ」にお尻を思いっ切りつねられました。
「まゆみ」は、内緒にしょうと言ってあったにもかかわらず「私は、「トクちゃん」と付き合ってるよ」と言ってしまいました。
みんなビックリしていました。
特に「チュウ」と「Eさん」が。
「へえ~。「トクラ」のこと「トクちゃん」って呼んでんだ」
「私は、中学の時から、ずっと「トクちゃん」が好きだったんだあ」
「女子の大半は知ってるよね?」と「まゆみ」が言うと「Eさん」は下を向いていました。
女子のみんなは「良かったね」と言っていました。
男子は「お前、Y子のことが好きだったんじゃんないか?」
「それはそうだったけどさあ⋯。それって中学の時の話しじゃん」
「どっちから誘ったんだよ」と誰かが言うと
「まゆみ」が「私から告白したんだあ。「トクちゃん」最初は、うんって言ってくれなかったけどね」
「今は私のこと好きだって言ってくれるんだあ」
「お前、そんな恥ずかしいこと言うなよ⋯」
「だってホントのことじゃん」
「チュウ」は無言で聞いていました。
「Eさん」の方を見ると、やはり下を向いていました。
「おい、少しは空気読めよ」
「「チュウ」と「Eさん」に悪いだろ」と小声で言ったのですが⋯。
「だってさぁ、ホントのことじゃん」
「ホントのことでも言わない方が良いこともあるだろう」
「だってさぁ⋯」と「まゆみ」は不満そうな素振りを見せました。
なんとなく気まずい雰囲気のまま同級会は終わりました。
友達の家で二次会をするとことになったので、そちらにも参加することに。
もちろん、「チュウ」と「Eさん」が参加しないことを確認してからです。
「そう言えば、この前、ここで飲んだ次の土曜日に「まゆみ」が家に来たんだよな」
つづく
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