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相手に伝わるように表現するって大事。2週間チャレンジ⑦

息子が足の親指の爪を切りすぎて(深爪)、それが陥入爪(かんにゅうそう)というのになり(しかも両足!)、肉芽(にくげ)ができて、病院に行きたくないとだだをこねているうちに、どんどん悪化。さすがに酷いので、2週間前に無理矢理皮膚科に連れていくと、もじゃもじゃ白髪のおじいちゃん先生が「こりゃあ酷い。どうしてこうなるまで来なかったの。しかも両足かい…」と苦笑い。

肉芽というのは、炎症などによって組織が欠損した部分が修復しようとする際にできる新生組織で、赤いできものみたいなもの。見た感じは、化膿していてめちゃくちゃ痛そうなのですが、本人いわく「ちょっと痛いくらい」なのだそう。

おじいちゃん先生は液体窒素が入った噴霧器を手に、「これでうまくいったらいいけどなぁ」とブツブツ言いながら、息子の足の親指をチェック。肉芽に向かって液体窒素を噴霧し、「痛い?いや、肉芽のところはそんなに痛くないはずだ」と息子に言ってるのか、独り言なのか、判断がつきにくい音量で話している。息子は自分に話していると思ったようで、「それほど痛くありません」と返答。そのあとも、3秒おきに噴霧を繰り返し、ややしばらくしてから、「じゃあ2週間後に」と、家でやる軟膏の塗り方やテープの貼り方を伝えて次の患者さんの部屋へ。

で、その2週間後の今日。片方の親指はすっかり良くなったのだけれど、もう片方はそれほど効果が見込めず…。また液体窒素を噴霧し、「これでも効かないかもなぁ」と独り言なのか、話しかけているのか分からない音量で話し、「手術したほうがいいかもしれないなぁ。でも、2週間じゃなくて1週間にしてみようかなぁ」とブツブツ。私は、私に話しているのかが分からず、「え? はい? え?」を繰り返すばかり。すると、看護師さんが、「とりあえず次は2週間空けず、来週もう一度来てください。ただ、ここまで悪化していると液体窒素ではおそらく治すのは難しいと思われるので、手術することも考えておいてください、ということを言ってます」と翻訳してくれた。天才だわ。きっと長年働いているベテランさんなんだろうなぁと妙に感心。

「手術さ、レーザーなんだけど、局所麻酔してね。11月、空いたところあるから、そこに予約入れる?」と、今度はパソコンに入力しながら先生が喋っている。看護師さんのほうを見ると、「手術の予約が10月11月はいっぱいなんですが、さっき11月のキャンセルが出たので、とりあえずそこを抑えておきませんか。すぐに埋まってしまうので。手術をするか、しないかは、来週もう一度経過を見てとはなりますが」と即座に翻訳してくれた。先生はパソコンに何かを入力し続けている。よく見ると、人差し指でキーボードを打っている。昨日の私と同じだと思ったら、ちょっと親近感。

とりあえず手術の予約だけ入れておくことにしておくと伝えると、先生は今度、机の上で何かを書き始めた。「こうしてね、ここをね…」とブツブツ言っていて、書き終えると私のほうを向いて、書いたものを見せてくれた。「これ、手術の説明ね。まずね、ここに麻酔を打って、そして、ここの爪を部分的にカットして、フェノール処置っていうのをやって、最後はCO2レーザーで切除ね」。メモには爪の絵と、麻酔をする場所、処置するところなどが記されていて、きちんと処置名も書かれていた。これは分かりやすい。相当書きなれている感じがある。先生は、「これ、持って帰ってね。じゃあ来週」と言って、背中を丸めて次の診察室へ。

なかなかの不思議おじいちゃんな先生だけど、病院の混み具合を見ても、人気があるんだろうなぁ。それにしても、メモの説明が分かりやすい。写真はおじいちゃん先生が書いてくれた親指の爪の絵。その下には手術用語が書かれている。以前、大学病院で外科の先生が書いた殴り書きのメモとは雲泥の違いだ。あれは何かを隠して、証拠を残さないようにしているような感じすらあったからな…。

絵であれ、言葉であれ、きちんと伝えるって大事なことですね。


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