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映画「夢みる小学校」~子どもファーストな学校教育を

去年の夏、ドキュメンタリー映画「夢みる小学校」を見ました。映画の中でメインで出てくる「きのくに子どもの村学園」。和歌山県に本拠地があるこの学園は、息子が小学校へ入る前だから、かれこれ13年くらい前、友人から教えてもらい、理事長の堀先生の本も読んでいたので知っていたし、実際、息子を通わせられないかと移住も含めて真剣に考えたこともありました。「心も体もたくましく、自分でご飯が食べられる大人に」を子育ての軸にしている私にとって、こんなにステキだと思える学校はありませんでした。それくらい子どもファーストで、それぞれが持っている個性を伸ばし、素直に生きる力を身に着けられる魅力的な学校だったのです。「きのくに」は九州や南アルプスにも学校があり、北海道にも昨年、長沼町に「きのくに」に近い方針の学校ができました。

先日、再び「夢みる小学校」を見る機会があり、この春、小学校を卒業する息子を連れて見に行きました。2度目の観賞で気付いたのは、「公立の学校でもできることっていっぱいあるんだ」ということ。1度目は、ついつい「きのくに子どもの村」っていいなぁ、いいなぁというところにばかり目がいってしまいましたが、映画の中では公立小学校や中学校でも子どもファーストを実践しているところがあるよと紹介されていました(自分の目のふしあなっぷりに苦笑するしかない)。

それでも、「きのくに子どもの村」の方針ややっていることが魅力的であることに変わりなく、全部の公立学校でもやればいいのにと思わずにはいられませんでした。体験型の学びを重視している「きのくに子どもの村」はとにかく自由。みんな同じ方向を向いて座らされることなく、大人から押し付けられ、与えられるわけでもなく、自主的に体験し、大人とやり取りし、トライ&エラーを重ねながら学んでいくのです。それはたくましくなりますよね。生きる力も自然と育まれます。また、文科省の認可がおりている私立学校なので、学習指導要綱に則った基礎学習もきちんとあります。

映画を見終わって、息子に感想を聞くと「出てきた子たち、みんな楽しそうだったね」と言ったあと、「でも、俺も今通っている小学校はとても楽しい」と。サラッとそう言えるということは、本当に学校が楽しいんだろうなと思うので、親としてはそれはそれでいいなと思いました。私自身、京都で通っていた小学校はとっても楽しかったし、今でも小学校時代の経験が自分の在り方に影響を与えていると思うことがよくあります。

さて、話が前後しますが、公立でも成績表の廃止、校則の廃止、体験型重視の学習など、「きのくに子どもの村」のような教育をやることは可能なのだそう。ならば、なぜやらないの???という疑問が…。いっそのこと、文科省でぜーんぶ変えちゃえばいいのに!と言いたいくらいです。

映画に出ていた世田谷区の公立中学の校長先生が、「理想を掲げる若い先生に、やりたい教育があるなら、まずは早く偉くなりなさいと言っている。校長になれば権限があるから」と話していましたが、校長先生になるまでの間に、理想も夢も希望もぶち壊されてしまうのではないかと思いました。息子の小学校の先生と話していても、「ルールだから」「決まりだから」を口にする人が多く、教室から子どもがはみ出ることを「悪」と決めつける先生も…。先生になったときは理想を掲げていたけど、実際はそんなに甘くないですよ、なんて言う先生もいました。結局、学校という組織に入ってしまうと、いかに組織でうまくやれるかに必死になってしまうのだなと少し悲しくなりました。「ルールは守らなければ」という点にとらわれすぎて、なぜそのルールがあるのかについて考えはしない。とにかく真面目な人が多いのだと思います。だから、視野も狭いし、だんだん子どもファーストからは遠ざかっていく…。一人ひとりの先生と話していると、みんな一生懸命だし、頑張って子どもたちのことも見ようとしているんです。今の担任の先生なんかは、本当によく子どものことを見てくれています。でも、みんなどこか狭い。それが残念だなと思うのです。

校長に学校運営の権限が与えられているのなら、「校長」という肩書きを持ってる方たち、ぜひともこの映画を見てほしいと思います。先生たちにも、教育委員会の方たちにも見てほしいと思います。大人が見ても、ワクワクする気持ちが湧きあがってくるはず。「夢みる小学校」の続編として、公立学校でいろいろな取り組みをしている校長を取り上げたドキュメンタリー映画「夢みる校長先生」もあるそう。全国各地で上映会をしていると思うので、近くで見られる機会があればぜひ。

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