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映画『田園に死す』を観た感想

映画好きの友達から勧められたので『田園に死す』という映画を観た。今回はその映画を観たのでその感想を書いていこうと思う。

この映画は寺山修司が監督を務めている映画らしく監督本人の歌集を元に作られたらしい。寺山修司に関しての自分の知識としては「書を捨てよ町へ出よう」という言葉と「演劇をやっている人」というくらいのイメージしかなかった。なので寺山修司初体験である。

実際に観てみた感想としては「奇抜だ……!」という一言に尽きる。演出からシナリオの内容や構成に至るまですべてが奇抜。正直な話、意味のわからん部分も多いけどどこか癖になる部分もあるというなんとも咀嚼しにくい映画だった。

話の内容的には寺山修司自身の内面世界を描いているような気がする。少なくとも自分はそう解釈した。時計が多く出てくるので明らかに何らかの隠喩になっていると思うが、そこの意味は読み取れなかった。おそらく全体としては物理的に田舎(田園)から出ても結局は精神的に田園的なものから逃れられずそこで死ぬしかないという監督本人の悲哀を描いているのかなと感じた。意味の分からない部分が多かったので見直すとまた発見があるかもしれない(見直すかは不明だが)。

ウテナやピンドラなどのアニメを作った幾原邦彦監督も寺山修司から影響を受けたという話を聞いたことがあるけど、これはマネしたくなる気持ちもわかる。意味がわからないけどスタイリッシュな謎の魅力があって自分も結構好き。

自分が特に好きなシーンは三上寛が1人で謎のセリフを長々と語るシーンだ。この場面での背景の雑多な感じと三上寛の絶妙な語り口調が妙なバランスで独特の雰囲気を作り出している。意味わからんけど何度も見たくなる味がここにはある。この映画の主題としては自分が解釈できていない部分でなにかあるんだろうけど、監督としてはどちらかというとこの独特の空気感を作りたかっただけなんじゃないかとも思えてくる。難しいことは考えず、ただ独自の心地よさを感受するのが正しい楽しみ方なのかもしれない。

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