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【2024年夏アニメ】クール終わりの総評

2024年夏アニメのクールが終わったのでそれぞれの作品の感想などを書いていこうと思う。なお現時点で自分が見終わった作品は3作品なのだが、3作品だけ書くというのも分量が少なくなってしまうので途中で切った作品についてもいくつか言及したいと思う。それらの作品は今後観るかもしれないし、観ないかもしれない。結局のところ続きを見るかはわからないが、そういったことも備忘録として書き残しておこうと思う。

義妹生活

このアニメは12話まで全話視聴。

観た人ならわかると思うが、このアニメは全体的にゆったりとしたテンポ感で進行するので非常に独特だ。自分はその独特さゆえに序盤あたりはあまり面白味を感じられなかった。しかしじっくり内容を追っていくと内容自体は面白いということにだんだんと気付いてくる。途中からはそう言った面白さを感じ取ることができ、気付けばハマっていたという感じだ。

特に最終話における藤波さんの話は印象的である。世界に対するフラットな見方と感情的な見方が対比されて語られるのだが、前者の立場だけでなく後者も大事なのだという話(単純化しすぎかもしれないがだいたいそんな感じ)が個人的にはとても刺さった。フラットさという客観的な見方に固執してしまいそれに慣れ切ってしまうことは現実にもよくあることだと思う。感情的な見方に偏りすぎてもよくはないが、その中間でバランスをとることが大事なのかなと思う。そういったことを考えさせられるような話でとても良かった。

このあたりの話は是非小説で読んでみたいと思ったのでそのうち原作を読んでみようかなと思っている(アニメよりも小説の方が面白い題材だと思う)。

負けヒロインが多すぎる

夏アニメの中で一番ハマったのがこの作品。原作を全巻買い、既に最新刊の7巻+SSSまで読了済みである。原作ラノベを全巻買うくらいハマったラノベというのは久しぶりだ。

先ほど12話が放送されたが最後まで面白かった。この作品は青春ラノベアニメの中でも特にハマったという感じがする。過去の名作の要素を引き継ぎつつも新しさもあるといった風味でとても好みだった。

上の記事でだいたいのことは語ったので詳細は割愛するが、本当に良かった。今年だとガルクラに匹敵するレベルで好き。放送前は全然知らない作品だったのでやはりとりあえずは1話だけ観てみるべきだなと感じた。

2.5次元の誘惑

このアニメは連続2クールだがとりあえず現在放送されている12話まで視聴。

放送開始時に1話だけ見て「女の子がかわいいだけの萌えアニメか……」と感じたのでそれ以降はしばらく置いていたが、面白くなってきたという噂を聞きつけ続きを視聴。すると途中からアツい展開が入ってきて面白くなってきた。

753というキャラクターの描き方が新鮮だと感じた。753の話においては「キャラクター愛ゆえにコスプレをする立場」と「コスプレ愛ゆえにコスプレをする立場」が対立構造に置かれる。前者がリリサや先生の立場で後者が753の立場である。ここにおいて753は自分の立場ではない前者の立場を理解できないものとして排斥するのではなく、ある程度の理解を示した上で自分は後者の立場でコスプレをするというプロ意識を見せる。そう言った描き方が新鮮に感じた。

本作は間違いなく「女の子のかわいさ」「萌えアニメ」といった要素があるが、どうにもそれらが浮いているように感じる。コスプレ界隈の話や趣味に対する向き合い方の話などにはリアルな質感があるのに、萌え要素だけは上辺をなぞっているように見える。「なぜ主人公のことが好きなの?」という理由づけがあまりにもテンプレだったりヒロインが惚れやすかったりと、とにかく恋愛面はわかりやすく簡略化しているように思える。

浮いているからと言ってそれが悪いと言っているわけではない。単にあまりにも機械的な浮き具合がむしろ斬新で潔く感じたのでこういうことを書いているわけである。

創作においては「作品の核になる部分(本作で言えばコスプレに対する想い)」と「作品のフックとなる要素(本作で言えば萌え要素)」を混ぜ合わせ見やすくするという手法はよく使われるので、にごりりにおいても恋愛面ではこういった簡略化が行われているのだろう。後者の「作品のフックとなる要素」があるからダメだと言っているわけではなく、前者がないというのがダメなのだ。にごりりにはどちらもあるのでOK。別に自分がOK認定したからと言って何があるわけでもないが、個人的には本作は面白いと思う(というか別に萌え要素自体は嫌いじゃないし……単にそれだけというのがそこまで面白くないというだけで)。

ロシデレ

3話で視聴断念。正直面白味をあまり感じられなかったという感じだ。

キャラクターはかわいいと思うけど、どうにもそれだけという印象が強い。主人公とヒロインとの絡みもどこかで見たようなものが多いのであまりハマらなかった。この後の話では生徒会選挙が本格的に始まるらしいが、アニメの評判を見ると、それもあまり面白くないらしい。

ただ、原作の評判を見ると原作では生徒会選挙の話が面白いらしい。人気ラノベではあるのでやはりそのあたりが人気なのだろう。なのでロシデレは続きを見るにしても、アニメではなく原作を読もうかなと思っている。優先順位として義妹生活の方が先ではあるが、時間に余裕があったら原作に手を出してみようかなと思っている(よう実と同じくアニメは微妙でも原作は面白いパターンは結構あるので)。

逃げ上手の若君

この作品は5話まで視聴。続きを見るかは未定という感じ。

話題にはなっていたし実際に面白いとは思うけど、それでもあまり好きになれないというのが正直なところだ。その理由としてはやはり演出が合わないという点が大きいと思っている。

これは完全に好みの問題だと思うが、ちょっと演出が大げさすぎて見ていて疲れるというのがある。顔芸が多くギャグシーンが大袈裟でわかりやすくはあるけど、どうにも冷めた目で見てしまう。

単にコメディ部分のノリがあまり合わないんだろうなと思う。これはたまに起きる現象で、シナリオの筋は面白いと思ってもギャグがまったく合わない作品というのはどうしても存在するものだと思う。実は同じ理由で『鬼滅の刃』も話は面白いと思うものの苦手だし、合わないものは仕方がない。

これは漫才にも言えると思う。トムブラウンやリズムネタも苦手だ。常々思うことだが、激しい動きに対する笑いどころを捉える力があまりないのかもしれない。なので逃げ若もストーリーは面白いと思うけど、視聴を断念してしまった。もしかしたら続きを見るかもしれないが、やはり疲れてしまうので観るのが億劫になるというのが正直なところ。

小市民シリーズ

1、2、5、9、10話だけ視聴(それらの話も1話と2話と5話以外は飛び飛びで視聴している)。

なぜ抜かして視聴しているのかというと小市民シリーズの原作を読んでいるからだ。1話と2話以外は原作の好きな部分だけ見ている感じである。それらの好きな部分は面白いと思ったが、小市民シリーズのアニメ化には全体的に不満がある。ここではそれを中心に語っていきたい。

その不満というのは主に推理パートにある。本作は全体的に推理パートにおいて、説明をセリフだけで行うことが多く、非常にわかりづらくなっていると思う。もっと図や当時の状況再現というようなカットを多くしたらわかりやすくなったのではないかと思うのでそのあたりが惜しかったんじゃないかと考えている。本作にも図や当時の状況再現がなくはないのだが、あまりにも少ない(特にココアの話)。そういったわかりにくさゆえに、初見の人には推理パートの魅力が伝わらなかったのではないかと思っている。

小市民シリーズのわかりにくさを考える上で比較にしたのが小市民シリーズと原作者が同じ『氷菓』である。『氷菓』は改めて見ると推理パートにおいての絵を用いた説明がとてもうまいと思う。特に19話『心あたりのある者は』における図を用いた説明は本当に上手い。部室だけで推理する話なのだが、部室での会話シーンだけでなく、ピクトグラム風の学校や人の図などを駆使してセリフを上手く絵に落とし込んでいる。放送当時は何気なく見ていたけど、改めて見ると推理をわかりやすくするための工夫が至る所にある。そういった見やすさが『氷菓』にはあり、19話以外にも全体的にわかりやすくするための手法が様々な場面で駆使されていたと思う。

「小市民シリーズがなぜ氷菓ほど受けなかったか?」というのはネットでも多く語られていて、その理由は物語の展開やキャラクターが『氷菓』よりも受け入れられづらかったから、というようなことが言われることが多いが、個人的にはそういった点よりも単にこういった推理をわかりやすくする工夫が少なかった点にあるのではないかと思っている(キャラクターや展開が評価に比べると受け入れづらかったというのも少なからずあるとは思うけど)。

もちろん小市民シリーズのアニメもよく会話を聞いていれば初見でもわかる人もいると思うが、もっとわかりやすく演出できたのは確かだと思う。小市民シリーズのアニメは『氷菓』に比べると認知コストが大きい。それゆえに『氷菓』ほど人気にならなかったというのが個人的な見解である(でも5話のラストはアニメで見ても面白かったとは思う)。

まとめ

元々夏アニメ3話放送時のくらいの頃からは『負けヒロインが多すぎる!』しか追っていなかったが、「アニメを見る意欲」の高波がクール終盤に差し掛かって到来し、義妹生活と2.5次元の誘惑だけは最後まで見ることができた(にごりりは2クールなのでとりあえず13話までという意味)。もっと早くこの高波が到来していたらあと3作品くらいは見ていたかもしれないがこればかりは意欲の周期の問題なので仕方がない。

現時点だととりあえず3作品だけ完走したけど、今の気分的にもう夏アニメは他に見ないような気がする。興味がある作品がないわけではないけど既に秋アニメ興味が移ってしまっている。あと灰羽連盟とselectorもちょっとずつ見ているのでそちらを見たい気持ちが強い。夏アニメのクールが終わっても配信自体は継続するアニメは多いので気分が向いたら観てみようかなとは思うが、しばらく後になりそうだ。マケインの2期発表が来なかったことだけは不満だったけどわりかし満足な夏アニメのクールだったように思う。

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