『ティアムーン帝国物語』を読んで考えた悪役令嬢ものの面白さについて(2023/1/14)

悪役令嬢ものというジャンルがあることを知り2作品ほど見てみた。見た作品は『ティアムーン帝国物語』と『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』だ。

悪役令嬢ものは主人公が元悪人で『ティアムーン帝国物語』の方は主人公がギロチンで首を斬られるのを回避するため行動し、『はめふら』の方は破滅フラグにならないように回避するという話になっている。

この作品に共通する点としては未来がある程度わかっているという点だ。『ティアムーン帝国物語』の方は過去に戻っているので前回の世界での記憶を引き継いでいるし、『はめふら』の方はゲーム世界のできごとを知っている。共に将来の破滅を知っているからこそ必死になり共感できるんじゃないかと思う。

『はめふら』の方は1話しか見ていないのでわからないけど、『ティアムーン帝国物語』に限って言えば、主人公がギロチンを回避するための自己利益からくる行動が想定以上に他者に善行であると解釈される展開が多い。本人が意図しないレベルで結果として跳ね返ってくる。

この感じが結構面白いと思う。利他的な感情からくる善行というのはよっぽど練らないと共感しづらくなってしまうのかもしれない。悪役令嬢みたいな利己的な衝動からくる善行でいつの間にか聖人になってしまっていたという展開の方が好まれるのかもしれない。

ただまだどちらも最初の方しか読んでいないのでもしかしたら今後の展開で利己的な衝動だけでなく利他的に善行をしたいという衝動も生まれ始めるかもしれない。ただだとしても物語の初期からそういう利他を見せられるとどうしても共感できないと思う。

なので最初は利己という線路に乗せて共感させておいてどんどんと本当の利他的聖人にしていく。ある程度共感のラインに乗ってしまえば利他的な展開もそこまで共感できないわけでもならなくなりそうではある。

というわけでどちらの作品も面白い。特に『ティアムーン帝国物語』は個人的にとても好みなので買っていこうかと思う(もしくはWEB版を読む)。

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