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<知っておくべき>家庭における火事対策 第八回 コードが原因での火災

家庭での火事を予防するためのシリーズ第八回。
今回は「コードが原因での火災」の解説です。
コードと関係していますがコンセントが原因での火災(トラッキング火災やその他)については別の機会に詳しく解説します。

電気コードによる火災の原因としては

・製造から年月が経過して劣化したコードを使った事による火災
・間違った使用方法による火災

の二種類に分かれています。

延長コード、電源タップ、ゲーム機や家電その他の電気機器に元から付属している電源コードはいずれも製造から年月が経つと必ず劣化していき、内部の被膜や外側の被膜にクラックができたり被膜がぼろぼろになる、被膜が部分的に溶ける、人が踏んだり圧力や曲げにより皮膜割れや線が断線するなどを起こしてしまいます。
人が踏む事で内部の線が断線する事もあれば、ただ単に曲げていただけなのにその状態で年月が経つと断線したり被膜が割れるという事があります。
後述のようにステップルなどでコードを壁や床に留めていた場合も、そのステップルの圧により年月が経つと断線や皮膜割れを起こす事も。

電源タップや延長コードのパッケージには必ず耐用年数が記載されていて、概ね3年から5年程度となっています。
本来はそのくらいの頻度でコードを交換していかないとコードから出火して火事になる可能性があるのですが、実際はずいぶん年月が経過して使用しても大丈夫なケースが多いため、電源コードや延長コードを10年以上も使いまわしてしまっている人がほとんどです。
そういうのは火事対策の点ではおすすめできません。

電源タップなどは機器を接続していないコンセントの穴に埃や空気中の水分がどんどん入っていき、コンセント差し込み口で抵抗が変わってより発熱するようになって、そこに機器を接続して使用すると燃え出す事もあります。
コードだけでなくコンセント差し込み口も年月が経過するほど危険な状態になっていくため、コストはかかっても家庭内で使用している電源タップや延長コードはこまめにきちんとしたメーカーの新品に交換していきましょう。

以前「古い家電は買い替えるべき」と解説しましたが、古い家電も家電に付属している電気コードから出火しやすくなってしまいます。
そういう意味でも同じ家電を何十年も長く使い続けるのはおすすめできません。

最近はヤフオクやメルカリ、中古専門店などで新品ではなく古い家電を買って出費を抑えるという人もわりといますが、その電気コードが前の持ち主の使用や経年劣化によりショートしやすくなっている場合があるので、電気コードをメーカーから取り寄せて新品の物に交換するなり、きちんとしたメーカーが出している同一仕様の新品の電気コードに交換するのが推奨されます。(ノーブランドやあやしいメーカーのは不可)
中古品によっては前の持ち主がコードを純正品以外に交換して「その家電にあっていない仕様のコード」を付けている危険な物もあります。

見落としがちなのが化粧台や洗面台などの「内部にコードが備え付けられている」というタイプの家具です。
これらの家具の中の内部のコードも年月の経過とともに被膜などが劣化して割れたり溶けたりしていきショートや発熱しやすくなっています。
化粧台や洗面台は高額なので交換したくない人も多いでしょうが、家が燃えて命や財産・住居を失う事を考えるとある程度の年月経過した古い化粧台や古い洗面台はきちんと新しい物に買い替えをしましょう。
どうしてもその化粧台に思い入れがある場合は、家具修理店で内部コードの交換を依頼してください。
 

コードはこのような劣化以外にも使用方法によって火災を招く事があります。

・コードは発熱するので束ねた状態で使用しない(特に消費電力が大きい機器のコードは注意する)
・内部や外部の被膜割れを起こしたり断線を促すのでコードを窮屈に曲げた状態で使用しない
・電源タップに接続する機器の合計消費電力量は1500Wぎりぎりではなく、もっとマージンを取って大きく下回る数値にする(1200Wや1000w。コードが古いともっと下)
・電気ストーブ、ヒーター、ドライヤーや電気ポッド、IHコンロやその他の消費電力が大きい機器は電源タップや延長コードには絶対に接続せず、必ず壁からのコンセントに接続して使用する
・コードをステップルなど圧力がかかる形で床や壁に留めない
 
など、使用の際も注意してください。

電源タップの定格容量は1500Wですが、実際は年月が経過してだいぶ劣化した電源タップの場合は抵抗が増して発熱しやすくなり、1400Wや1300Wやもっと低い値でさえ新品より発熱が強く場合によってはコードから出火する事があります。

 

家庭における火事対策シリーズの第一回目はこちら
一回目から順番に読んでいきましょう。

<知っておくべき>家庭における火事対策 第一回 序章


次回:「コンセントが原因での火災」