<知っておくべき>家庭における火事対策 第二十回 暖房器具が原因の色々な火事
家庭での火事を予防するためのシリーズ第二十回。
今回は「暖房器具が原因の色々な火事」の解説です。
日本の家屋が火事で焼失するケースはその原因が暖房器具という事がわりと多いです。
火事の原因上位三位以内に入るため、暖房器具の使用による火事にはくれぐれも注意してください。
・コードが原因での火事
暖房器具は消費電力が大きい物はその説明書に必ず「電源タップなどに接続して使用しないでください」と記載されています。
多くの暖房器具は消費電力が高く、電源タップに接続してしまうと流れる電流が多いためより強い発熱を内部のコードが起こし、絶縁体を溶かしたりボロボロにしてショートによる火事を起こしやすくなるからです。
よくある勘違いなのが「暖房器具は最大1200wだから、他の機器を同時に使用しないなら許容量が1500wの電源タップに接続しても問題ない」という誤解。
電源タップの1500wというのはあくまでも「新品の電源タップを使った場合の数値」です。
実際は電源タップは経年によりどんどん劣化していき、また電源タップのコードやコンセントも抵抗が増えていき発熱量が増していきます。
消費者のために色々な製品の安全検査をしているnite(製品評価技術基盤機構)が過去に行った実験では「古い電源タップの場合、800wの機器を接続して使用すると新品の電源タップに1500wの機器を接続したのと同じくらい強い発熱が起きた」という事がありました。
電源タップには「1500Wまで」と記載されていても、古い電源タップの場合は1200Wやもっと低い数値の消費電力の暖房器具を接続した場合も発熱が大きくなり、内部のコードの絶縁体が溶けてショートを起こして火事になる事があるのです。
ニュースでよく聞くタコ足配線での出火も「1500Wを超えたから」というケースだけではなく、「古い電源タップの場合、合計ワット数が800Wや1000Wでさえ異常加熱してコードから出火して家が燃え出した」という事はあるので注意しましょう。
最近のゲーミングPCは高性能グラフィックボードを搭載しているのもあり消費電力量がかなり大きいのもあります。
そういう消費電力が大きすぎるパソコンを電源タップに接続して使う場合は「数年単位で電源タップを新品に交換しないと火事を起こす事がある」というのはよく覚えておいてください。
暖房が原因の火災は他にも色々あります。
・ストーブなど発熱が大きい暖房器具の近くに燃えそうな物を置いてしまったり、干している洗濯物が暖房器具の近くや上に落ちてしまい燃え出した。
ストーブやセラミックファンヒーターはもちろん、温風を出す暖房器具もその温風の吹き出し近くに燃えやすい物を置くと高温化して火事になる場合があります。
・長年同じ場所に暖房器具を置いて使用する事で近くの壁や床内部が少しずつ炭化が進み、やがて炭化火災を起こしてしまった。
詳しくは第四回の「突然内部から燃え出す炭化火災」を参照してください。
・突然の強い地震により暖房器具が転倒し火事になった。
転倒時に自動で火を消す機能がある機器も、実際は転倒後に継続する機器の熱で絨毯や畳、床などが燃え出す事もあります。
地震時のリスクを考えると暖房器具はエアコンにした方が火事のリスクを無くせます。
・古い暖房器具はもうコードの内部がかなりボロボロになっていて突然コードから出火してしまった。
自分や家族がうっかり踏んでコード内部の絶縁体に割れが起きたり、長期使用により絶縁体が劣化していく事でショートしやすくなったりします。
またコード自体も抵抗値が増えてより強い熱を出すようになり古い機器は絶縁体が溶けやすくなります。
火事対策のために消費電力が大きい暖房器具は同じ物を何十年も使用せず、時々新品に買い替えするのを強くおすすめします。
・その機器にあっていないコードを使用する事での出火
オークションやフリマで買った中古の暖房器具の場合、純正品ではない電気コードを付けて売っているのもたまにあり、そういう機器はコードがきちんと機器に対応した物でないとコードから出火して火事を起こす場合があります。
火事とは異なりますが、燃焼系の暖房器具を使う場合は必ず換気しないと一酸化炭素中毒で死亡する場合がありますので、こまめに換気しましょう。
家庭における火事対策シリーズの第一回目はこちら
一回目から順番に読んでいきましょう。
<知っておくべき>家庭における火事対策 第一回 序章
次回:「火事対策の漫画はかなり人気が出そう」