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新型コロナウイルスの後遺症の回復を遅らせてしまう間違った鼻うがいについて

見出し画像はみんなのフォトギャラリーから長畑ひろのりさんの画像を使用させていただきました。


新型コロナウイルス感染後の長期後遺症や、ワクチン接種後の長期後遺症においては、専門家の診察を受けると上咽頭部で慢性的な炎症が発生しているケースが多いです。

慢性上咽頭炎になると自然治癒は難しくなります。
この状態ではサイトカインの継続的な放出が誘発され、自分の免疫が日常的に暴走し続けて体の色々な組織を破壊していく自己免疫疾患状態になるのが何十年もの研究でわかっています。
脳も自分の免疫で攻撃を受け続けて脳や自律神経の調子もおかしくなってしまいます。

何故ワクチン接種によっても新型コロナウイルス感染と似たような症状で長期間後遺症が出るかについては、以下の記事で以前解説しました。

<上咽頭部の組織の修復を促す上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット療法)>

慢性上咽頭炎は長い研究の歴史がある病気で、普通の風邪や季節性インフルエンザでもこじらせるとなる場合があります。
今は治療法はある程度確立していて、上咽頭部に塩化亜鉛を塗るという治療法(上咽頭擦過療法)を継続する事で少しずつ上咽頭部の炎症が解消されていく(上咽頭部の組織が修復されていく)のがわかっています。

この治療法の補助として、「自宅で鼻うがいをしましょう」という事を勧めている医師もいます。
私はこの鼻うがいは色々注意しておかないと、かえって上咽頭部の組織の修復を遅らせてしまうため、今回記事として書いてみようと思いました。

鼻うがい自体はきちんと注意点に気を付ければ上咽頭部の組織の治癒速度を多少は向上させてくれると思います。
上咽頭部で増殖しやすいウイルスや細菌性疾患の予防にもなりやすい。

しかし間違ったやり方だと逆に上咽頭部の組織を壊して治癒を遅らせてしまうのです。

あと鼻うがいだけをして上咽頭擦過療法をしない場合は残念ながら慢性上咽頭炎の治癒は難しいと思います。
あくまでも治療のメインは病院で受ける上咽頭擦過療法だからです。

<鼻うがい液は自分で作ってはいけない>

鼻うがい用の液体はサイナスリンスなどの市販の物を必ず使って作ってください。
メーカーを名指しするのは避けますが、市販の鼻うがい薬の中には「刺激があってこれ駄目だろ」ってのもありますので、サイナスリンスを選ぶのが良いでしょう。

自分で食塩だったり重曹などを入れたりして独自の鼻うがい薬を作るのはやめておきましょう。

体液に似た塩分濃度の鼻うがい薬にしないと、浸透圧の違いによって「上咽頭部の細胞が少し破壊されてしまう」という現象を起こしてしまうからです。
上咽頭部の組織を少しでも早く治していかないといけないのに、逆に破壊してしまったら駄目なのは理解できますよね?

自分でブレンドした鼻うがい液の場合は適切な塩分濃度にならない事もあり、それを使って鼻うがいしてしまうと上咽頭部の組織を少し壊してしまうのです。
プールに入って鼻から水を吸い込むと、鼻の奥がすごい痛くなってしばらくズキズキしてしまうのは、あれは上咽頭部やその周辺の組織が浸透圧の違いで一気に破壊されて起きているのです。
(プールの場合は塩分入ってないのでより浸透圧の差が大きくて破壊性が強いとも言える)


またサイナスリンスなどの市販の鼻うがい薬の粉を使う場合もその際の水分量に注意を。
水の量を間違うと体液と鼻うがい液の塩分濃度が異なってしまい、これもやはり上咽頭部の組織を少し壊す鼻うがい液になってしまうので、水分量は軽量カップなどできちんと計って鼻うがい粉と混ぜましょう。

市販の鼻うがい粉を使って鼻うがいをよくする人は、だんだん水分量を杜撰な感じに軽量してしまう人もわりといます。


<綺麗な水を必ず使う>

日本の水道管は敷設されてから何十年も経過しているところが多く、一般家庭の水道水は結構雑菌が混ざっています。

雑菌が混ざった水で鼻うがい液を作ると、鼻うがい後に雑菌が上咽頭部にそこそこ残り、それを自分の免疫が攻撃する際に活性酸素などが発生して、その活性酸素が上咽頭部の組織を少し破壊してしまう事になります。

水道水を煮沸してからきちんと冷まし、殺菌した水を鼻うがい薬と混ぜて鼻うがい液を作るようにしましょう。

「水道水そのままでも大丈夫ですよ」とか言ってる医師もいますが、あまり真に受けないように。

<やけどに注意>

煮沸した水が冷めるのを待ちきれず、まだ結構熱い温度で鼻うがいをしてしまうと、上咽頭部に軽度のやけどを起こして細胞にダメージを与えてしまいます。

これもやはり上咽頭部の組織の治癒を遅らせてしまいます。


<ボトルやノズルの清潔さにも注意を>

鼻うがい用のボトルやそのノズルもこまめに殺菌消毒するようにしましょう。

また長期間使ったボトルとノズルは新しいのに交換するのをおすすめします。
同じボトルとノズルを何か月も使いまわすのは衛生面でおすすめできません。

不衛生なボトルやノズルは結局鼻うがい液に雑菌を混ぜる事になり、その雑菌は鼻うがい後に上咽頭部に多少残ってしまい、自分の免疫が攻撃する際に活性酸素を発生させて上咽頭部の組織を少し壊してしまうというのは先にも解説した通りです。

<鼻うがいをやりすぎない>

鼻うがいについては鼻うがい薬の用法用量の説明をきちんと見て、一日にやりすぎないようにも注意を。

<その他にも上咽頭部の組織の治癒を早めるために大切な事>

新型コロナウイルス感染後やワクチン接種後に長期間後遺症で苦しんでいる人は、上咽頭部の組織の修復を少しでも早く進める事が何より大事です。

上咽頭擦過療法をきちんと受けて、また家庭で正しい鼻うがいをするだけでなく、それ以外にも細胞の治癒力を高める事をやるのが大事です。

・きちんと栄養バランスの取れた食事をする
・睡眠をしっかり取る
・体調がそれほど悪くない時は少し軽く体を動かしてみる(血液やリンパ液を流す)

などをする事が細胞の治癒速度を高める事になります。

甘い物を良く飲食すると血液中の血糖値が上昇し、血液の流れが悪化して細胞の修復速度を遅らせてしまうので、甘い物もあまり飲食しすぎないようにしましょう。
血糖値がよく高くなる人は本当に傷の治りが遅くなりがちなのです。
細い血管もつまりやすくなります。

また「綺麗な空気を日常的に吸うようにする」なども大事です。

自宅に空気清浄機を導入したり、掃除をきちんと家族にしてもらって空気中を舞う埃などが減るようにすると、呼吸で鼻の奥の上咽頭部に入ってくる細菌やウイルス、その他の量が減る事になります。

人は常に呼吸の際に上咽頭部に色々な細菌やウイルスが付着するようになっています。
その細菌やウイルスの量が増えるほど自分の免疫はそれらを壊すためにより活発になって多くの攻撃をし、免疫が使う活性酸素の量も増やして細菌やウイルスを壊してしまおうとします。
免疫の活性酸素攻撃はウイルスや細菌にきちんと当たる事もあれば、外れて自分の細胞(上咽頭部の組織)に当たって壊してしまう事もわりとあるのです。

空気清浄機だったり、掃除をきちんとしてもらって部屋の中の空気を綺麗にする事は、呼吸で入って来る細菌やウイルスの量をずいぶんと減らし、上咽頭部での免疫の撃退行動を抑える事で、活性酸素の発生量も減らして上咽頭部の組織の余計なダメージを減らすという事になります。

慢性上咽頭炎ではない普通の人も日常的に上咽頭部では呼吸で入ってきた細菌やウイルスと免疫の戦闘が行われています。
そのため、普通の人でも軽度な上咽頭部の炎症(細胞の荒れ)は常に起きているのです。

エアコンもきちんと掃除しないとカビが発生してばらまかれ、それが呼吸によって鼻の奥の上咽頭部に吸い込まれる事になります。
古くなったエアコンは自分ではなくきちんとした業者に掃除をしてもらったり、あるいは空気清浄機などで空気中のカビの量が減るようにしましょう。

花粉や黄砂、車の排気ガス、タバコの煙などにも注意を。

<興奮とか怒る事も細胞の治癒を遅らせる>

興奮したり怒ったりする事も実は生化学的に血管中に活性酸素をどかっと増やす事がわかっています。
交感神経優位な状態(興奮や怒りの状態)から副交感神経優位な状態(おだやかな状態)に戻る際に、全身のあちこちの血管内でぶわっと活性酸素が増加してしまうのが分かっているのです。

その増えた活性酸素は体のあちこちの細胞を傷つけるのですが、上咽頭部周辺の血管内で増加した活性酸素は上咽頭部の組織に当たってこれらの細胞を少し壊す事になります。

「興奮する」や「怒る」みたいな事はそれをよくやるほど上咽頭部の組織も壊す事になり、上咽頭部の細胞の治癒を遅らせる行為だという事はよく理解しておきましょう。
もちろん体の他の細胞もどんどん壊していきます。
興奮したり怒る事は実は体には良くないのです。