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SNSが変えたインターネットコミュニティ

パソコンやスマホが普及した現在、誰もがインターネットでコミュニケーションをとるようになりました。今ではネット上のコミュニケーションは日常には欠かせないという人も増えていますが、かつては一部の人しかインターネットでコミュニティを形成していませんでした。
インターネットコミュニティを誰もが利用できる場所にしたのは、SNSの存在が非常に大きいと言えます。
この記事ではSNSが変えたインターネットコミュニティについて書いていきます。


最初に注意点として、この記事でのSNSの定義は「様々な人たちがコミュニケーションをとれる場所」となっています。人によっては「これはSNSではない」と感じるものがあるかもしれないので、予めご了承ください。

アンダーグラウンドから誰もが利用する場所へ

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インターネットが一般人に使われ始めたのは1990年代前後です。この頃にはパソコン通信というものが存在していました。今で言う「5ちゃんねる」のような電子掲示板で文章のみでやりとりしていた時代です。

1990年代のインターネットコミュニティ

当時は絵文字や顔文字という文化もなかったため、純粋に文字だけでネット上の他者とコミュニケーションをとっていました。今からしたらかなり淡泊なコミュニケーションと言えるでしょう。
90年代はパソコンを持っている人自体が少なかったですし、ネット料金も高額だったため、利用していたのはごく一部の人だけだったのです。
そもそも当時にそういう世界があることを知らなかった、という人が大半だったでしょう。
そういった閉鎖的な世界観は、まさにアンダーグラウンドと呼ぶべき場所でした。

2000年代のインターネットコミュニティ

2000年代に入ると、インターネットコミュニティの世界が少しずつ活発化していきます。この頃にはパソコンや携帯電話が一般にも普及し、ネット料金も安くなっていき、またSNSが台頭し始めた時期でもあったため、人が集まり始めたのです。パソコンと携帯電話、それぞれで異なるSNSが流行りはじめ、コミュニティが形成されていました。

パソコンで流行った代表的なSNSが、「2ちゃんねる(2ch)」「youtube」「ニコニコ動画」です。

2000年代初期は2chが非常に活発だった時代です。ドラマ化もされた「電車男」や当時事件として話題になった「西鉄バスジャック事件」など、一度は名前を聞いたことがありませんか?
これらは当時2ch発として話題になった出来事です。
電車男」は2004年に2chのスレッドに書かれた物語で、電車で酔っ払いに絡まれていた女性を助けた縁から交流するようになった、というお話です。
スレッドの人たちからは応援の声や創作話だという声など様々な意見がありましたが、2chを大いに盛り上げまとめサイトなどで拡散され話題になりました。
しかし、まとめサイトから知ったという人が多く2chの知名度を大きく上げることはできませんでした。
それに加えて2chは上記の「西鉄バスジャック事件」の影響で「悪い人たちが集まる場所」というイメージがついてしまいました。
「西鉄バスジャック事件」は2chに犯行予告が書かれいたとして話題になりました。事件を起こした犯人は2chで過激な投稿を繰り返し、その中に犯行予告と見られるものがあったようです。
このような事件の影響もあり、当時の2chはまだアンダーグラウンド感が強いコミュニティでした。
とはいえ、2chがネット世界に生み出した文化は大きいです。2chでは文字の他にAA(アスキーアート)や顔文字などが使われてコミュニケーションがとられていました。これまで文字のみだったネットコミュニティの世界で新たな文化が生まれたと言えます。

youtubeは開始されてから急速に伸びたサイトであり、日本での利用者も当時からアメリカユーザーよりも平均利用時間が多いと言われていました。
日本では当時流行っていたアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」のダンス動画がyoutube上でヒットしました。
今では「youtuber」と呼ばれる人たちが登場し、youtuberが投稿した動画を老若男女問わず閲覧するほど日常的な存在になっています。

ニコニコ動画はゲーム実況やボーカロイド曲、歌ってみたなど今でも多くの人に親しまれているジャンルを日本国内で流行させたパイオニア的な存在として知名度を上げていました。
現在youtuberとして人気を集めている人たちも、かつてはニコニコ動画で活動していたという人が多く存在します。
ニコニコ動画が主催するオフラインイベントなども多数開催され、ユーザー同士の交流が活発だった時代もありました。

続いて携帯電話上で流行っていたSNSです。現在では下火になってしまいましたが、かつてネット上で絶大な人気がありました。
その代表的な存在ともいえるのが「mixi」「モバゲー」です。
携帯電話でネットを利用している人ならこのどちらかを一度は使用したことがある、と言っても過言ではないほど人気でした。

mixiは完全招待制のSNSで、利用登録するには既にmixiに登録している人から招待されないとできない、というシステムでした。
厳しいように見えるシステムですが、これは荒らしなどの迷惑行為をさせずにコミュニティを健全に稼働させるための措置でもあったのです。
招待制のシステムにも関わらず利用者は非常に多く、一時期は日本での平均利用時間がトップのYahoo! JAPANに次ぐほどだった頃もあったほどです。

モバゲーは携帯電話上で無料でゲームが楽しめるSNSとして人気がありました。基本的にはmixiとほとんど同じですが、アバターの着せ替えなどでユーザーの個性を出すことができ、無料ゲームの種類の豊富さや楽しさで多くのユーザーが利用していました。

2000年代は上記のようなSNSが登場し始めた時期で、少しずつ一般の人たちにもネットでコミュニケーションをとるという文化が浸透し始めていきます。
比較してみると、パソコンで流行ったSNSではディープなオタク層の人たちが、携帯電話で流行ったSNSでは一般的な若い世代の人たちがそれぞれコミュニケーションをとっていました。
しかしこれはあくまでも日本国内でのコミュニケーションが広まったという状態でした。それが2010年代になると、次第に海外の人たちとも交流し始めるようになります。

2010年代のインターネットコミュニティ

2010年代に入ると、スマートフォンが普及し始めてさらに一般人がネットに入りやすくなりました。
そして世界的なSNSが流行りだし、日本だけではなく世界中の人たちとSNSを介して交流するようになったのです。
その代表的な存在が「Twitter」「Instagram」「Facebook」「LINE」です。
TwitterやFacebookは2010年代に入る前にサービスを開始しましたが、日本で本格的に流行ったのは2010年代に入ってからなので、こちらで紹介しています。

Twitterは限られた文字数の中で文章を構成して人々に情報を発信していくシステムで、手軽にすぐに情報発信できるという点が評価されています。リツイートと呼ばれる機能で自分のフォロワーに他のユーザーのツイートを見せたりして、コミュニケーションの輪を広げていくことも可能なSNSです。

Instagramは写真や動画といった映像に重きを置いたSNSです。
インスタ映えという言葉も生まれ、写真写りが良い画像を投稿することが一時期流行りました。youtubeにおけるyoutuberのような存在であるインスタグラマーと呼ばれる人たちも登場し、社会に多大な影響を与えています。

Facebookは本名やリアル世界でのプロフィールをアピールできるSNSです。
SNSと言えば匿名で利用できるものが多いのですが、Facebookはリアルと同じ自分で利用できるという特徴があります。
しかしそれが日本ではあまり受け入れられず、匿名SNSの利用者が多い現状でFacebookは上記のSNSと比べると少々後れを取っている現状です。

LINEは通話が可能なSNSで、上記のようなSNSよりも「Yahoo!メッセンジャー」のようなメッセンジャーアプリとしての側面が強いです。
東日本大震災の際に家族や友人たちと連絡がとれなくなっていた様を見て開発が始まったと言われており、その背景があることから連絡を取るためのアプリとして使われています。

上記のSNSはLINEを除いてどれも世界中で多くの人たちに利用されているSNSです。海外で利用されているSNSを日本人も利用し始めたことで、世界中の人たちと交流できるようになりました。

2020年代のインターネットコミュニティ

2020年代はまだ始まったばかりでこの先どうなるかは予測がつきません。
これまでのSNSから考えてみてみると、Twitterは情報発信の速さ、Instagramは写真や動画、Facebookはリアル性など、流行っているSNSはどれも独自の強みを持っているものが多いです。
というわけで、今までにない独自の強みを持っているSNSが今後出てきたら流行るのではないでしょうか。

まとめ

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インターネットが流行り始めた時期と今を比べると、流行った要因として挙げられるものはこちらになります。

・パソコンや携帯(スマホ)が普及し始めた
・ネット料金が安くなった
・SNSのような「交流できる場所」が作られた

ネットが出始めた当初はこれらの条件が充分に満たされていなかったため、コミュニティがほとんど創られていませんでした。
それが2000年代に入ってパソコンや携帯が普及し、ネット料金も安くなって利用できる環境が出来てくると、ユーザーを集めるためのサイトが出来上がってきます。
それがSNSなのです。
自分の好きなものを他者と共有できる」という楽しさを生み出したSNSは、インターネットコミュニティを「アンダーグラウンドから誰もが利用する場所」へと変えた立役者と言える存在でしょう。

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