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(メンバー紹介)ロボットは技術の総合格闘技。自然に囲まれながら切磋琢磨の日々

トクイテンの魅力の一つは、開発したロボットを自社農場で実験できることにあります。
 奥野さんは現地現物で開発を進めるエンジニア。ロボットを動かすために必要なことは全てやる意気込みで、日々の実験に取り組んでいます。
 ハードウェアからソフトウェア、AIに電気回路といった技術の集合体と言えるロボットと日々向き合う奥野さんに、トクイテンでの仕事内容や思いを聞きました。

【プロフィール】
山口県出身
研究所とベンチャー企業でロケットエンジン開発に7年従事
2022年6月より業務委託契約でトクイテンに参加

ー今の仕事内容を教えてください
今はトマトの吸引収穫ロボットの開発に携わっています。農場で実際にロボットを動かしてトマトを吸い込む収穫実験をしています。トマトの向きや大きさやロボットの収穫動作などの条件を変えることで、収穫にどの程度役立てることができるかデータを集めています。
 ロボットのハードの設計ではなく、試作したロボットを農場で実験したり、ロボットの動きを制御するためのソフトウェアを開発したりするような仕事です。

(ロボット吸引装置)

光防虫器を載せて農場を自動走行するロボットの開発にも関わりました。走らせるために農場で実際に手を動かしてやらなければならないことは全部やりましたね。自動走行するために必要なマーカーを設置したり、夜間走行試験を繰り返したりしました。制御するためのプログラムを書くこともしました。

自動走行させるまでに苦労したことはなんですか?
いかにマーカーを認識して走らせるか、という技術の確立には時間がかかりました。マーカーを農場内に取り付けてただロボットを走らせるだけでは上手に走ってくれません。マーカーの大きさを調整したり、ロボットが読み取るマーカーの情報が良くない時には使わなかったりと工夫しています。

どの程度の地面の凹凸なら問題なく走行できるか調べることにも時間をかけました。今のロボットは多少の凹凸なら問題なく走行できるように足回りが上手く設計されていますが、限界はあります。あえて大きな凹凸がある地面を走行させてみて許容できる凹凸の程度を調べています。凸凹すぎて走行できないときは、私が土木作業で通路を平らにしています。

ーこれまでもロボット開発の経験があったのでしょうか?
ロボット開発はトクイテンが初めてです。
博士課程のときに某研究所でロケットエンジンの研究開発をしていました。その後、宇宙輸送系のベンチャーでロケットエンジンの開発に関わっていました。
 主に実験畑ですね。現場でモノを組み立て、実験してデータを集め、開発することが主にやってきたことです。

ーロケットエンジンとロボットの開発にはどのような違いがありますか?
ロケットエンジンは最終的には空高く飛んでいきますが、実験中は固定治具に固定されていて、ロボットみたいに動き回らない部分は似ていないですね(笑)。開発の実務は何をするにしても一緒だと感じます。Trial and Errorのサイクルをすばやく回していくことが重要です。

そのために、実験の時間的コストと信頼性のバランスに気をつけています。もちろん何もコストを伴わないならデータの信頼性が高いことに越したことはありません。ただ、論文が書けるくらいに精密に実験しようとすると開発が進みません。ですので、開発ではある程度は感覚に頼る部分も必要です。
 
論文を書くためには、何度も実験を繰り返し、統計処理によって誤差を明らかにし、信頼性を高めなくてはなりません。誰がみても納得できる数値を示す必要があります。
 開発ではそこまで追い込むことはなく、チーム内で同意が取れるレベルの信頼性で実験してます。開発のフェーズや影響度により求められる信頼性は異なりますが、この匙加減はロボットもロケットも似ている部分です。

ーなぜロボットに関心を持ったのでしょうか?

ロケットの実験に関わっていて、私自身のスキルとして電気とプログラミングの分野が弱いなと感じました。実験装置の自動化をできるようになりたいとずっと思っていました。
 一方で、私は囲碁が趣味なのですが、人間のトッププロに勝利した「アルファ碁」の登場に強く衝撃を受け、AIに興味を持つようになりました。このAIブームに乗り遅れずついていきたいなと思い、AIとロボットによる自動化をしようと心に決めました。

自動化だとファクトリーオートメーション(FA、工場の自動化)もあるのですが、工場内だと息が詰まってしまいそうだなと思ってしまいまして(笑)。開放感の高さから農業分野が面白そうだと思ってトクイテンで働かせていただくことになりました。

 私は田舎の出身なので、周りに植物が欲しいですね。コンクリートジャングルでは生きていけないタイプです(笑)。近くに植物があったり、鳥が鳴いていると「いいな〜」と思っちゃいますね。

ートクイテンでジョインした後に、想像以上だった発見はありますか?
エンジニアのレベルの高さには驚きました。すごく刺激になります。こういう課題にぶつかった時には、こういう方法で解決すればいいんだ、といった具合ですね。
 穏やかな人が多くて、怒っている人がいないのも仕事がしやすいです。

 それに農場でのロボット開発は想像したよりもいいですね。私は平日に休日を取り土曜日に勤務するようにしているのですが、土曜日に出勤すると農場に誰もいない時があります。誰もいない農場で植物に囲まれ鳥のさえずりを聞きながらチャットGPTと会話してロボット開発するのもなんだか不思議な感じがして楽しいです(笑)。夏はとても暑いですが(笑)。

あと、農業が私にとって新鮮で面白いですね!
 これまで農業に縁がなかったのですが、社内の会議などに参加する中で農業の知識も得られます。今までのロケットエンジンでは味わえなかった分野が新鮮で楽しいです。土や植物の化学は面白いです。農作業も楽しいですよ!オススメです!

ー普段の働き方を教えてください。

開発リーダーは研究畑の出身で共同経営者である森さんです。研究者を管理するようなマネジメントのため働きやすいです。がちがちに細かくタスクや進捗を管理するのではなく、メンバーが自ら課題を見つけたりするようなイメージです。自分のタスクをどうするかを自分で決められるので働きやすいです。

 チームにはいろいろな人がいます。ハードウェアを開発する人や、ソフトウェアの設計全般を担う、操作画面を開発したり、マイコンで便利な装置を作ったりする人もいます。AIやロボットの研究室の大学生、ロボコンチームメンバーや電気回路の専門家といった多種多様な人たちが集まっています。

ー奥野さんはどのようなエンジニアの分類となるのでしょうか。

農場ガテン系エンジニアですかね?(笑)。ソフトウェア開発も手がけるのですが、農場で実験したりとか、ロボットが動きやすくするための土木工事もするのでガテン系です。

ーどんなメンバーと働いてみたいですか?

穏やかであることは大切ですね。陰口とかだらだら文句を言わなかったり、不機嫌を人にぶつけないとかです。トクイテンは方針の一つとして「心理的安全性の確保」を掲げているのですが、実際にトクイテンで働いてみて「心理的安全性の確保」を明文化することは大切だな、と感じました。

心理的安全性を明文化して守っていくと、みんなが自分の発言に責任を持つようになります。ちょっとした発言で誰かが嫌な思いをしてしまわないようにする、そうした点を含めて仕事となります。これを守れる人と仕事をしたいです。

 あとは技術を広げることが好きな人がいいですね。ワークショップに参加したり、マイコンで何か作ってみたり、趣味でモノづくりをしていたりです。社内には編み物をしたりする人もいます(笑)。やはり、趣味でモノづくりしている人は面白いですね。

ー一人のエンジニアとして、どのようなスキルを伸ばしていきたいですか?
 
プログラムの設計ができるようになりたいです。「この機能を実現してください」と言われて実装することはできるのですが、「こういうロボットを作りたいです。どういう構成にしたらいいですか」となると経験不足を感じます。

ー奥野さんが仕事で力を入れる点は何でしょうか?
 
ロケット開発では一つ間違えると爆死するような危険に囲まれていたこともあり、安全に対しては非常に意識が強いです。会社の安全を引っ張っていきたいという意識があります。安全基準をしっかりして、誰も怪我人を出さないようにしたいです。

ー最後に、トクイテンをどのような会社にしていきたいか教えてください!

技術面で言えば有機農業の全自動化ができる会社にしたいです。会社内に関しては、働いている人みんながやりがいを持って楽しく働ける会社であり続けるようにしたいです。

トクイテンでは現在、新しい仲間を積極募集中です!
「興味がある!」という方は、氏名・ご連絡先を明記の上、下記からご連絡ください。