第19号:農業は環境に悪い?農業と気候変動の関係(2022年1月21日配信)
こんにちは、トクイテンの豊吉です。
最近、劉慈欣(リュウ ジキン)の「円」というSF短編集を読みました。その中に土を耕しながら土中の珪素を変換して土壌をそのまま太陽電池にするという技術が登場していました。また、ネタバレになるので詳細は書きませんが、砂漠地域に驚くべきスケールの方法で湿った空気を運ぶ技術も登場していました。
珪素耕耘機や巨大降雨マシンは荒唐無稽なアイデアにもみえますが、農業に革命を与えたトラクターの普及は1930年代ごろの発明です。(トラクターの発明によって農業従事者は一気に95%も減ったともいわれています。)ずっと長い歴史のあるように感じる農法でもまだ90年ほどしか歴史はないわけです。我々が生きている間に珪素耕耘機が発明されてもまったく不思議ではありません。トクイテンでも歴史に残るようなものを残せたらなと思いました。
農業と気候変動
さて、トクイテンは「持続可能な農業へのシフトを加速する」というのをミッションに掲げています。しかし、どうして農業を持続可能な方法に変えていく必要があるのでしょうか。今回はその理由の1つである農業が気候変動に与えている影響を紹介します。
現在気候の温暖化が進んでおり、このままなにもしなければ人類は壊滅的なことになることは広く認識されるようになってきました。温暖化の原因といわれる各種ガスは二酸化炭素換算で年間510億トン排出されており、これを減らすだけでなくゼロを達成する必要があるといわれています。(ゼロでなければ気温は上昇し続けるため 参考:地球の未来のため僕が決断したこと)
では、自然にやさしそうな農業は温暖化の原因となるガスをどれぐらい排出しているのでしょうか。
上図の下から3番目、黄緑の部分が農業です。全体の11.9%が農業から排出されています。内訳をみてみましょう
5.9% 家畜とその排泄物(Livestock & Manure)
4.2% 農業の土壌(Agriculture Soils)
家畜と排泄物は有名な話しではありますが、世界に牛は10億頭以上いるいといわれ、それらの牛のゲップやおならからメタンガスが、排泄物が分解されると亜酸化窒素などが排出されています。いくら10億頭いるからといってゲップや排泄物がそんな影響をあたえるなんてと私は思っていましたが、メタンガスは同量でも二酸化炭素のおよそ28倍、亜酸化窒素はおよそ265倍もの温室効果があると聞いて納得しました。
次にトクイテンでもチャレンジしていく農業の土壌からの排出とはなんでしょうか。慣行農法では化学肥料(主に窒素)を土にまきますが、この窒素のうち植物に吸収されなかった分が、亜酸化窒素となって空気中に排出されるのです。
さらに悪いことに窒素を固形化するときには天然ガスがつかわれ、ここでも温室効果ガスをだしています。
では、土壌からの排出をゼロにしていくにはどのような方法があるでしょうか
化学肥料を使わない
有機農法
不耕起栽培や自然農法や再生農業
化学肥料を適量だけ使う仕組み
土壌の精密なモニタリング
大気に放出されない肥料の開発する
このように、さまざまなアプローチがあります。難しいのは収穫量は落とさずに達成する必要があるということでしょう。まだまだ人口は増える傾向にあり、食糧生産のペースを落としていいわけではありません。
トクイテンがまず取り組んでいくのは「化学肥料を使わない」という方法です。これは難しく効率がわるいから少数の人しか選んでこなかった方法です。しかしここに1930年代にはなかったロボットやAIの力が加わることで新しい解決策となると我々は信じているわけです。(できない可能性もありますが、せっかく元気で健康なんだからチャレンジしてやろうぜという心意気という表現のほうが正確かもしれません)
これを読んでくださっているみなさんにもすぐにできることもあります。たとえば有機農法で育てられた野菜を選ぶとか、肉をちょっと減らしてみたり、代替肉を試してみるとかです。
目指すところはゼロです。この人類の偉大なチャレンジを一緒に達成していきましょう。
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