持病の事と今後の事

先程劇団Twitterの方から
僕が緊急入院により8月のコラボナ公演を
中止する事になったと言う事を発表いたしました。

その入院について少し詳しくご説明したいと思います。
実は先日7/5より持病の急変により入院し手術をしておりました。
入院につきましては、無事本日退院をいたしましたので、そのタイミングで発表させていただきました。

僕の病気の事に関しまして、
隠していた事では無いので、
これまでもいろんな場面で言って来ました。

それでもこれまで
細かくお話しする事はして来ませんでした。
それは、自分が舞台上で表現する人間であるからこそ舞台に立っている時に余分な感情を持って見て欲しくないと言う思いからでした。

それは悪い方だけじゃなくてもね。

だけど、今回自分の中にも考えるところがあって
公表した上で、自分の演劇を追求したい。
そう思い公表する事にしました。

これから僕のもっている病気の事を
かいつまんでお話ししたいと思います。

ちょっと長いし
だいぶ重いです。

僕の事をもっと知った上で
今後僕の舞台を楽しみたいって思う人だけ読んでね。


僕は、先天性の心臓疾患を持っています。
どんな疾患かは専門的な事になるので割愛します。

わかりやすく言うと
生まれつき心臓に病気をもっています。

僕の一番古い記憶は病院のベッドの上でした。
物心がついた頃には胸に大きな手術痕があり
僕には傷のない自分の体を見た記憶はありません。

小学校の頃から体育も満足にする事ができず
皆が楽しそうに体育をする中、
校庭の隅で見学をする事が僕の当たり前でした。

2度目の手術をして
運動制限は徐々に解除され
中学に入り運動部に所属して
体を動かす事の楽しさを覚えました。

ですが高校2年の夏
急激にした運動のせいか
僕の病気は悪化して、
病院からある日
明日にでも部活を辞めてくださいと告げられました。
その時の光景は今でも覚えています。

今まで努力して来た事はこんなにも急に無くなるもんなんだなぁ。
そう思いました。

そして、その時
お医者さんの勧めを受けて、
障害者の申請をしました。
僕の障害の階級は第一級でした。

物心ついた時から当たり前の様に付き合い続けていた
心臓病という病気が
障害という物に意識が変わる瞬間でした。

でもね、
部活を辞めなきゃいけなくなった事には
絶望を感じていたけれども、

自分の病気が悪化した事にも
障害者になった事にも
不思議と悲観はしなかったんです。


風邪のように
治るものでもないし

大人しく暮らしていれば
悪化する様なものでもない。

仕方の無いものだから
一生付き合っていかなきゃいけないもの

僕にとって、
この障害と言うものは
そう言うものでした。

それからは特に
これと言った出来事は無く
次に異変が起きたのは最近。
今から2年前でした。

初めて不整脈と言うものが起きました。
心臓の鼓動が早くなり、自分では止められない。
例えるならば、心臓だけが全速力で走り続けている時の状態になってしまったのです。

ちょうど、ある公演のマチソワ間でした。
劇団員と舞監さんにだけ何かがおかしいと言う事を告げて隠れて横になり、
その時は30分程で治りました。

それから定期的にその様な症状が起きるようになりました。

そして、その症状の間隔はどんどん狭くなり
去年に入ると1ヶ月に1〜2回のペースになりました。
本番中やイベント中に出てしまう事もありました。

そして今年に入り、寒い雪の降る日
不整脈が止まらず、初めてそのまま意識を失いました。

それから、さらに頻度は早まり
その強さも悪化しました。

先月には少し動くだけで不整脈が出てしまい
通常の生活もままならない状況になりました。

病院と相談をし、詳しい検査をしてもらい
その結果、早急に入院をして手術をしないと
最悪の事態を迎える可能性があると告げられました。

正直、高校生の時に感じた
「あの絶望がまたやって来た」と思いました。

劇団員と話し合い、8月の公演を中止にして
7月5日より入院をする事にしました。

2度の手術を行い
不整脈の原因となる部分を治療し
本日無事退院する事が出来しました。

今回の入院とこの手術により
今後の活動、特に役者としての活動に制限は出ます。

ですが、この手術により
この2年間苦しめられていた
不整脈は出にくくなるそうです。

僕はもう少し舞台役者でいる事が出来ました。

この2年間ずっと思ってた事。

役者として舞台の上に立つ事が
あと何回できるのかな?

それでも、
たぶん、もうそんなに多くは無いと思います。
出来る事も限られると思います。

それでも、出来る内に、出来る限り、
僕は舞台に立ちたいと思っています。

幸い僕は役者であり演出家でもあります。
例え病気が理由だとしても、
僕が演者として使い物にならないと客観的に判断した時、
僕は僕を板から下ろします。

それまでは一本一本
これが最後かもしれないという思いで
丁寧に、手を抜かず、手を緩めず、最大限のパフォーマンスをいたします。

どうぞ観に来てください。

でもどうか、客席から僕を見る時、
「あの人障害を持ってるんだよなぁ〜」
だなんて思わないでください。

それがこの発表をする上での
1番のネックだったからね。


でも、もう書いちゃったので
そしてあなたも
もうここまで読んじゃったので

ここから先は勝負だと思っています。
そんな事を思わせる隙のないお芝居をします。

終わった後に
そう言えばあの人
そんな状況で芝居してたんだったんだよな。

そんな状況だからこそ、
あれだけ覚悟のある芝居ができるんだな。

そう思わせる芝居をします。

それも、毎ステージ魂を乗せなきゃ面白くならない
演劇特有の表現方法で闘い方だと思うから。

あと何回舞台に立てるかわからないけど
自分の短い演劇人生全部を舞台の上に置いていきます。


最後に、
僕はこういう身体に生まれて来た事を
後悔したことや、恨んだ事は一度もありません。

むしろ感謝をしています。

これは、ずっとそう!

だって、僕は障害を持つ事で
健常者では味わえない感情や経験を
たくさん得る事ができているから。

これは僕の持論だけど
制限は選択肢を濃縮させる事。
濃縮された選択肢は
新たな選択肢を生むきっかけになる。

障害は僕の個性の一つと思っています。

この人生を歩まなければ
今の僕にはなってない。

もちろん今の僕が到達点とは思ってないよ。
だけど、過去を通らなければ現在地に来ていないのと同じで、
現在地点にいなければ未来の到達点も無いから。


今さっき最後にって書いたんですが
もう一回、本当に最後に。

8月の「CollaboナRation3」につきまして。
楽しみにしてくれていた皆様
参加表明をしてくれた団体の皆様
スケジュール確保をしてくれたキャストの皆様
スタッフ、関係者各位の皆様
そして劇団員の皆

この企画の総合演出という
一番先頭で旗を振る立場でありながら
自分事で企画を中止と言う形にしてしまった事
深くお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。

もしも、
もしも、それでもまだ
深い懐で僕にお付き合いいただけましたら
幸いに思います。

そうなっていただけます様
精進いたします。
何卒よろしくお願いいたします。

ここまで読んでいただきまして
ありがとうございました。

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