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キャンプは全然ゆるくないけど

キャンプに行ってきた。
一昨年だったか、夫が『ゆるキャン△』というドラマを見て、一人用のテントを買ってソロキャンを始めた。
キャンプ先から緑の気持ちよさそうな景色の写真がスマホに送られてくる。
きーっ!!ズルい!!
わたしも山の景色を眺めながら焚火をして、コーヒーを「あちっ」と言いながら飲みたい。
そして、アウトドアチェアに座って心地よい風に吹かれてボーっとしたい。
わたしも行きたいと言い続けてやっと3~4人サイズのテントを半額の時にゲットして、ついに5歳の息子と夫と3人でのキャンプにこぎつけたのである。

朝10時前出発。
コンパクトカーの後部座席のチャイルドシートに座る息子の隣まで荷物が詰め込まれている。
夫がよく行くキャンプ場まで片道1時間半の道のり。
途中で、食材や薪を買った。

キャンプ場に着くと、夫は慣れた感じで、ここら辺が平らだからと言ってテントの設置を始めた。
だけど大きなテントを張るのは初めて。
ときどき強い風が吹く。
わたしも手伝って、時間がかかってなんとかテントとタープを張った。

タープの下でアウトドアチェアに座り、念願のボーっとが…できない!
風が強くなってきて体がどんどん冷えていく。
ブランケットにくるまっても風の刺激が強すぎて疲れてしまう。
一旦、テントの中に避難した。
はぁ、ホッとする。
テントの入口から切り取られた景色を眺めた。

日が暮れてくると、早々にチェアやバーベキュー台(風が強いので少しだけ焼いてあきらめた)を片付けた。
3人でテントの中に入る。
寝袋に入って風の音を聞きながら、ネコバスが何台通っているんだろうねと話した。
しばらくして夫と息子は寝てしまった。

遠くでゴーゴーいっている。
風って強いと雨みたいな音がするんだな。
眠れない。
テントが飛んで行ってしまうんじゃないか。
スマホで検索すると、キャンプをするのは風速7メートル以下までが目安のようだ。
今何メートルなんだろう。
天気予報アプリでは現在地4メートル。
山の上の方にいるからちょっと違うかもしれないし、体感だと強く感じるかもしれない。

そのとき、バタバタバタ、パキーン!
やってしまった音がした。

夫が目を覚ます。
外を見に行くと、タープが倒れていた。
タープをとめておくロープを地面に固定していたペグが取れた音だったのだ。
夜11時、夫が黙って何か考えている。
風はおさまらない。
11時30分、夫から発表。
「テントを撤収します!」

スースー寝ている息子をブランケットで巻いて、そっと車の中に寝かせた。
テントの中の荷物を車に積み、暗闇の中わたしが明かりを照らし夫がテントをたたむ。
なんとか解体できた。
車へ乗り込む。

そして、自宅へと向かって走り出したのである。

車の中で夫に聞いた。
「これはキャンプ失敗でしょうか?」
「う~ん、でも今まで朝ごはん食べるまでキャンプできたことってあんまりないんだよね。」
雨が降ってきて早めに帰ったり、霧が出ていてキャンプ場の人にやめとけと言われたり、何かしら起こるらしい。
夫もこんなに風が強いのは初めて、風も気をつけなくちゃいけないことが分かったとのこと。
キャンプに成功も失敗もないのかもしれない。

自然の中へ行くとはこういうことなのだろう。
レジャー施設のように約束された娯楽があるわけではない。

キャンプ場ごとに自然の条件も違うだろう。
季節でも違うし、気温や風、雨、いろんな条件で安全にできるか判断しないといけないんだなと学んだ。

だけど息子は楽しそうだった。
近くの丘までわたしと散歩したり、外を走りまわったり、テントの中を走りまわっていた。
ニコニコしていた。

キャンプは全然ゆるくないけど、なぜかまた行きたい。

息子の安全第一で。




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