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るーこ(ネコ)だけが知る秘密

るーこは、完全室内飼いを条件に譲り受けた保護猫。
家から出たことはない。
なのに、家の中で消えることがある。

朝方、夫がトイレに行くときに開けたふすまから、
るーこが出ていくところを見た。
そのあと姿が見えない。

我が家は祖母から譲り受けた築80年ほどの一軒家。
部屋数だけはある。
物置きになっている部屋もあり、夫もわたしもくまなく探したのだが、
いない。
4歳の息子も探したが、こども目線でも発見できない。
ベッドの下も、カーテンの下も、押入れの中も、棚の上も後ろも、入れそうな隙間はかなり丁寧に見たつもりだ。
だけど、いない。

前にも同じようなことがあった。
家中探しても、いない。
そのときは、洗濯物を干すときに、外に出ていったのではないかと思い、
家族3人で近所に探しにでかけた。
るーこ!るーこ?るーこ〜〜!!
名前を呼びながら歩いても出てこなかった。
暗くなってしまったので、泣きながら帰った。
別れは突然訪れるのか、と。
家に帰ると、いつもの部屋に普通にいた。
なんでやねん。
るーこは潰されそうなくらい3人になでなでされた。

なんてことがあったので、家の中の何処かにはいるんだろう。
ちゅーる(おやつ)をお皿に出し、みんな仕事や保育園へでかけた。

わたしと息子が帰宅すると、
廊下に仕掛け(?)ておいた ちゅーる はきれいに食べられて、お皿は洗ったようになっていた。
いる。
ふすまを開けると足元で るーこ がゴロンとしていた。
よかった、いるとは思ったけど、ホッとした。

だけど、どこにいたんだろう?
帰ってきた夫が言った。
そうなのだ、あれだけ探していなかったのだ。
どっかから天井裏とかに行けるのかな?
外につながる出入口があるのかな?
古い家なのでありえなくない。
ネコにしか通れない道があるのかもしれない。
ネコにしか見えない場所があるのかもしれない。

息子が2歳くらいのときだったろうか、
いつもは開けない押入れを開けたとき、
息子が からっぽの押入れの中を指さし、にゃー、と言った。
わたしと夫には何も見えない。
ネコがいるの?と聞くと、息子はうなずいた。
るーこ と同じような色のネコ?と聞くと、うなずく。
こて だ。
わたしと夫は、るーこ と一緒に我が家にもらってきた こて というネコだと思った。
こて は生まれつき心臓が弱くて、ドクンドクンのスピードが るーこ と全然違った。ゆっくり、人間と同じようなリズムだった。
冬のある日、お空のお星さまになってしまったネコ。
こて は神様となって我が家を見守っているのだ。

こて神様と遊んでいたんじゃないか?
るーこ と こて は仲良しで、
子ネコの頃は昼も夜もどったんばったん走りまわり、一緒に寝ていた。
るーこ がひとりになって5年経つが、
実はこっそりふたりで遊んでいるのかもしれない。
この家の見えないどこかで。
だとしたら、ちょっとうれしい。

でも、ほんとのことは、
るーこ しか知らない。




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