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抱っこの決意

コロナの時代になる前は、毎年お正月には夫の方の親戚で集まっていた。
いつだかのお正月、夫のいとこ夫婦が5歳の男の子を連れてきていたときのことだ。

男の子はお母さんにべったりくっついていた。
長い大きなテーブルにみんなで並んで座るときも、お母さんの膝に座ってお母さんに抱きついていた。

まわりのおばあちゃんたちは「もう、大きいんだから自分で座りなさい」と言ったりしていた。
だけど男の子は膝をおりない。
お母さんも降りなさいとは言わない。

わたしはそのときまだ息子も生まれていないし、子育てのことなんて考えたこともなかった。

お母さんは何を言われてもニコニコして抱っこしている。
男の子の気持ちに応えているんだと思った。
受けとめているんだと思った。

華奢でおっとりして優しそうなお母さんだけど、きっとこの人は見た目と違ってすごく芯が強くてどっしりとした安心感をくれる人なんじゃないだろうか。
そんな気がした。

抱っこされている男の子の後ろ姿はとってもかわいかった。
このお母さんの抱っこは世界で一番安心できる場所なんだろうなと思った。
こうやって元気をためていつか一人で何でもできるようになるのかもしれない。

もし、将来子どもが生まれたらわたしもこんな風に抱っこしようと思った。
誰に何を言われようといっぱいいっぱい抱っこしようと思った。


そして、息子が生まれた。
あのときの男の子と同じ5歳になった。
わたしはいっぱい息子を抱っこしている。

抱っこしているんだけど、どうやら息子のためだけに抱っこしているわけじゃない。
わたしが抱っこしたくて抱っこしている。
息子が「だっこ」と言って来たら喜んで抱っこしている。
「ちょっと抱っこさせてくれない?」とこっちから抱っこに行くこともある。
元気をわけてもらっている。

出かけた先で場所見知りする息子を長時間抱っこするときはさすがに腕がちぎれそうになるので、一旦おりてもらって休憩したりする。
パパに抱っこされるときもあるが、「ママがいい」とご指名いただくのでまた頑張る。
たぶんもうカウントダウンは始まっている。
来年は小学生だ。
いつか抱っこ卒業がやってくる。

そりゃあもう駆け込み乗車のように抱っこしてやろうと思っている。
その後のことは分からない。
抱っこさせろ〜抱っこさせろ〜と言ってくる抱っこオバケにならないように気をつけよう。




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