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Tohjiを通して見たピーナッツくん

今回は私の好きなものについて語ります。
私はここ2年くらい「ピーナッツくん」と「Tohji」が大好きです。

私はまずピーナッツくんの方を知っていて、そのあとピーナッツくんを通してTohjiを知りました。ピーナッツくんはTohjiの大ファンで、おそらく音楽的にも影響を受けているはずだと思われます。そういう意味でも、私の一番の推しであるピーナッツくんを多角的に理解するための一視点として、「Tohji」という観点からピーナッツくんを見ていくことには意義がありそうだと考えています。
今ではピーナッツくんもTohjiも同じくらい大好きなのですが、全体的に活動を追う熱量はピーナッツくんに対しての方が強く、音楽を聴いている回数や頻度はTohjiの方が多いです。
ピーナッツくんとTohjiのうちどちらか一方だけを知っているという方にとってもそれなりに興味深い記事になっていればいいなと思っています。
ご興味あればぜひとも楽しんでいってください!


1. ピーナッツくんとは

改めておさらいしますが、ピーナッツくんとは、
①「オシャレになりたい!ピーナッツくん」というYouTube上の自主製作アニメの主人公であり、
②妹の「甲賀流忍者ぽんぽこ」と一緒にYouTubeで動画投稿を行うバーチャルYouTuber(=VTuber)であり、
③楽曲リリースやライブパフォーマンスを行うアーティスト(ラッパー)であり(その音楽ジャンルは主にヒップホップ)、
④「ゆるキャラグランプリ2019 企業・その他部門」で見事1位の栄冠に輝いた着ぐるみキャラクターでもあるような活動者です。

①アニメ主人公のピーナッツくん(右)
②VTuberのピーナッツくん(右)
③音楽フェスでライブパフォーマンスを行うピーナッツくん(着ぐるみ)
④ゆるキャラグランプリで優勝するピーナッツくん

1-1. ヒップホップアーティストとしてのピーナッツくん

そんなピーナッツくんですが、なんと3年間で3枚のアルバムをリリースしています。精力的ですね。

1アルバムにつき10~14曲収録。しっかりしたボリューム

代表曲は、「グミ超うめぇ」「Drippin' Life」あたりでしょうか。最近だと「刀ピークリスマスのテーマソング2021」や「School Boy」といった楽曲も人気です。

また、ピーナッツくんは2022年5月21日、ヒップホップフェスティバル『POPYOURS』にも出演を果たしました。

ピーナッツくん - グミ超うめぇ (Live at POP YOURS 2022)

さらに、レッドブルマイク主催のラッパーたちのマイクリレー企画『Red Bull RASEN』にも招待されました。

018 / ピーナッツくん / Watson / eyden / prod. by Gerardparman |Red Bull RASEN (2022/06/22)

これらは衝撃的なニュースでした。ピーナッツくんファンにとっても、ヒップホッファンにとっても、まさかこの時点でそこまでの活躍を見せるとはほとんどの人が思っていなかったことでしょう。これらはピーナッツくんがヒップホップ業界で頭角を現しつつあることを象徴する二つの出来事だったと思います。
これらのインパクトもあって、どうやら現在では日本のヒップホップ好きならば、「ピーナッツくんの名前くらいは聞いたことある」という人が結構いるような状況みたいです(たぶん)。

2. Tohjiとは

Tohji(トージ)とはロンドン出身の日本人ラッパーです。gummyboy(グミボーイ)というラッパーと一緒にMall Boyz(モールボーイズ)というヒップホップクルーを組んで活動していたりもします。

経歴としてはロンドンで生まれ3歳頃に日本へ移住し、麻布高校を中退してから武蔵野美術大学に入学し、大学時代にgummyboy含む友人たちと一緒に音楽活動を始めたようです。
あまり詳しくないのですが、まずABEMAで配信されている「ラップスタア誕生!」というオーディション企画で話題になったらしいです。

Tohjiの代表曲は「Higher」「I'm a godzilla duh」あたりでしょうか。あと、Tohjiの参加している「GOKU VIBES」とか「TEENAGE VIBE」は非常に流行った大人気曲のようです。最近だと「Super Ocean Man」が新たな代表曲の座を掴みそうな勢いを見せています。

Tohjiは、ピーナッツくんの参加していた『POPYOURS』や『Red Bull RASEN』にももちろん参加していますね。
日本だけでなく海外での活動も視野に入れており、ロンドンなどでのライブもうまく行っているようです。

Tohjiは「カリスマ性がある」「独特の音楽をしている」といったことをよく言われており、ラップ内部の下位ジャンルとしては「マンブルラップ」に分類されることもよくあります。
マンブルラップとは、おおよそ、音楽としての気持ちよさを重視し、発音を崩したフロウで行われるラップのことらしいです。

たぶん、Tohjiの「プロペラ」なんかは彼がマンブルラップしている極端な例だと思います。もしこの曲を聞いて「なんて発音しているかわからない(けどちょっとノリが気持ちいいな)」と感じたならば、きっとそれがマンブルラップなんだと思います。

Tohji - プロペラ Propella

3. ピーナッツくんはTohjiのファンらしい

この節では主にピーナッツくんがTohjiについて言及している箇所を、私が覚えている限りで確認してみようと思います。他にもあればぜひぜひ教えてください。

3-1. 🥜「(Higherについて)これ、推す。僕の好きな歌なんだ」

ピーナッツくんは2019年10月6日配信の生放送で、Mall Boyz「Higher」を次のように紹介して歌い始めます。

これ、推す。知らない人も多いかもしんないけど、僕の好きな曲なんだ。ちょっと歌わせてよ。ヘェ~~~~
♪『誰も見たことのない景色だけを見る…』

ピーナッツくん Music Festival(2019/10/06)

ピーナッツくん Music Festival(2019/10/06)

この動画でピーナッツくんは完璧にMall Boyzの「Higher」を歌い上げ、ヒップホップ好きなファンに対して衝撃を与えたようです。
(私はアーカイブでこの動画を見て初めてMall Boyzを知り、それからTohjiの音楽を好きになっていきました)。

3-2. 🥜「僕が選ぶ一番オシャレなラッパーは…Tohjiさんです!」

それからおよそ2年後、2021年4月26日にアップロードされたニート東京のインタビュー動画において、「一番オシャレだと思うラッパーを教えてほしいです」との質問に対してピーナッツくんは次のように答えています。

僕が選ぶ一番オシャレなラッパーは…Tohjiさんです!

ピーナッツくん : サウナのルーティーン〜最もおしゃれなラッパーは?(2021/04/26)

3-3. 🥜「最近はね、なんだかんだ言って"Tohji"っていう方を、聴いてますよ~!」

その3か月後、2021年7月26日にアップロードされた動画「【20万人突破記念】NG無しで1年ぶりに大量の質問に答えます!!!」では、「普段どんな曲を聴いてるのか教えてほしいです」との質問に対してピーナッツくんは次のように答えています。

最近はね、なんだかんだ言って"Tohji"っていう方を、聴いてますよ~!

【20万人突破記念】NG無しで1年ぶりに大量の質問に答えます!!!(2021/07/26)

2019年に「Higher」を歌い、2021年には二度「今でもTohjiのファンだ」ということを示す発言をしているということです。ピーナッツくんを通してTohjiを好きになった自分としては、ピーナッツくんが今でもTohji大好きなのは結構嬉しいです。

3-4. ピーナッツくんは自身のワンマンライブ会場BGMでTohjiの「プロペラ」を流していた

ピーナッツくんは2022年6月の3rdアルバムリリースに合わせて、その年の7~8月にかけて「Walk Through the Stars Tour (ウォーク・スルー・ザ・スターズ・ツアー)」というワンマンライブツアーを行いました。
その大阪公演(7月11日)における会場BGMとして、ピーナッツくんはTohjiの「プロペラ」を流していたようです。その様子を撮影してくれている人がいました。(ライブの撮影は常識的な範囲内で許可されています)。

そして、会場BGMはピーナッツくんが「普段聴いてる曲をセレクトした」とのこと。

つまり、2022年7月になってもピーナッツくんはTohjiを聴いているみたいですね!
(しかもめちゃくちゃマンブルラップな楽曲を)

4. ピーナッツくんの音楽とTohjiの音楽

4-1. ピーナッツくんのマンブルラップ

①ピーナッツくんは、最近すごく発音を崩した歌い方をすることがあります。一つは、最新アルバム『Walk Through the Stars』収録楽曲の「Fulltracker (フルトラッカー)」です。

Fulltracker

二番?あたりで非常に曖昧な感じの歌い方をしていますよね。最初に聴いたときは衝撃的でした。
Fulltrackerに関する感想は次の記事で書いたのでお時間あるときにチェックしてみてください。

②もう一つは、「ピーナッツくんの "ボツ" ミュージックFestival!」(2022/08/26)という企画で公開された「Trailer(トレイラー)」という未発表楽曲。23:04から流れますが、タイムスタンプ打ってあるのでそのまま再生してみてください。

 Trailer

これボツ曲らしいですけど、結構いいですよね! 自分は何回も聴いててかなりクセになっています。

Tohjiのマンブルラップは浮遊感や神秘的な感じを表現するのに繋がっていると私は思いますが、ピーナッツくんが発音を崩して歌うと、ただ雑に歌っているように聞こえる気がしますね。このことはマイナスの評価として与えてもいいと思いますが、ただ「Trailer」に関しては”わめいている感じ”の表現としてちゃんと活きているような気もするんですよね。

ピーナッツくんがどういう意図で発音を崩して歌っているのかはわかりませんが、何か彼なりの”挑戦”を感じるので、私は応援しながら見守っていきたい気持ちを持っています。(おこがましかったらすみません)。

音楽の世界には「シャウト」や「ガテラル」といった様々な表現方法があると聞きます。もし新しい表現方法がヒップホップジャンルにおいて開拓されようとしているのならば、ここはひとつ期待をかけておきたいですよね! もし日本のマンブルラップ開拓の歴史の中で、ピーナッツくんがマンブルラップの一形態の体現者として名を轟かせてくれるのなら、ファンとしてこんなに嬉しいことはありません。ピーナッツくん、これからもがんばってください~!

4-2. ピーナッツくんのキワキワ攻め

ピーナッツくんは音の低さに関して、キワキワを攻めたいらしいです。

ピーナッツくんは少し高く濁った声をしています。あれはキャラ声であり、演じている人の地声ではありません。ピーナッツくんを演じている人を「兄ぽこ(=ぽんぽこの兄の意)」と呼びますが、兄ぽこの声はピーナッツくんの声とは違います。兄ぽこの声はもう少し低めでハスキーっぽい感じのはずです。
しかし、3rdアルバムでは結構兄ぽこの声とピーナッツくんの声が区別できないような仕方で歌われている感じも結構あります。もしかすると、ピーナッツくんはラップや歌唱において「ピーナッツくんの声」と「兄ぽこの声」のキワキワ(境目)を攻めようとしているのではないでしょうか?
もしそうだとしたら、その理由・意図が気になるところですね。単に自分が歌いやすいからなのか、それともその歌い方がもっとも音楽としてよくなりそうだからなのか、あるいは何か他の理由があるのか…。

「Walk Through the Stars」なんて、ピーナッツくん声と兄ぽこの声のちょうど中間くらいだという気がしませんか? (いや、やっぱりしっかりピーナッツくん声かもしれないですね…)。
何はともあれ、「Walk Through the Stars」のときの歌声めちゃくちゃかっこいいと思います。オートチューンの塩梅も完璧じゃないですか? 理想的な歌声に仕上がっているんじゃないかと思います。非常にかっこよくて、痺れますね。

4-3. Tohjiの音のふらつき

他方で、Tohjiは地声と裏声のキワキワを攻めがちな気がします。正直最近の曲ならどれを聴いてもわかると思うのですが、歌声が「地声っぽいところ(低いところ)」と「声が高く裏返るところ」との間をフラフラと行き来するような歌い方が目立ちます(…よね?)。
アルバム『t-mix』や『KUUGA』の収録楽曲はほぼ全部そうだと思うし、「Red Bull RASEN」でのverseも高低の行き来でフワフワしてると思います。これこそTohjiのラップの特徴なんじゃないんですかね…。知ったようなこと言って恐縮ですが。

例をひとつ挙げると「Oreo」とかどうでしょうか。
「Ore Ore Ore yeah(オリィ~↑オリ↑オイェ~)」って、ずっとキワキワの音域でフラフラ踊ってる感じがしますよね。
これに乗れるようになるとすっごい気持ちいいんですよ!

Tohji - Oreo (Mura Masa eternal mix) [Visualiser]
(オリジナルverのMVに年齢制限がついていたためmixにしました)

もし、一方でピーナッツくんが「豆濁声(まめだみごえ)」(造語)と「兄美声(あにびせい)」(造語)との境目を攻めていて、他方でTohjiが高音と低音の声が裏返る境目を攻めているんだとしたら、なんだかそれぞれの音楽スタイルの中でできることに挑戦している感じがしてイカしますよね。さらに、それでいて両方がマンブルラップを開拓しようとしているのなら、「双方がどう異なるのか」みたいなことを考えていくのもおもしろそうです。
(もちろん、並べて語るのは不自然かもしれません。正直こじつけの感が否めません。Tohjiはすでにマンブルラップの人って感じの地位を確立しているでしょうし…。まあともかくも、ピーナッツくんがどういう方向の音楽表現を目指して行くのか楽しみに見守っていきたいと思いますね)。

5. まとめ

今回はここまでにします。今日は仕事で早めに帰れたし、最近Tohjiの音楽が好きすぎて何か語りたかったので整理させてもらいました。
私は音楽の幅広い知識を全然持っていないので、かなり力不足だったとは思います。
ただ、「好きなものを掘り下げる情熱」と「できる限り平易な言葉で、それなりに中身のあることを語ろうとする姿勢」だけは持っているつもりなんです。
自分なりの創作に取り組まず、他人様の創作活動に対して安全圏から我が物顔であれこれ論じることは、やり方によっては恥ずべきことなのかもしれないとときどき思います。しかし、今はとにかく好きなものについて語っていたいのです。
たとえ拙かったとしても等身大で今の自分にできることに取り組む勇気は、ピーナッツくんを含む様々なアーティストから私が受け取った重要な資産の一つです。
何卒全部許してください…!

活動者とそのファンたちに幸あれ…!!

おわり

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