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すごいぜスミフ/令和の陣取り合戦

いつも速報ばっかりやっているのですが今回は戦うとめっぽう強いけど自分たちの弱みを強みに変えている住友不動産の手法について書きたいと思います。

多分デベロッパーにとっても、住友不動産の戦いかたは街づくりや都市設計の思想とはそぐわない独立した競合デベロッパー扱いだとおもいます。

が、彼らは唯一都市や建物ではなくて「陣取り合戦」をしていると思うのです。そう、戦国時代のように自社の領地をどれだけ拡大するかについてとことんこだわっていると思います。

なにがそんなにスゴイの住友不動産

こちらの方が記載していますが住友不動産のオフィスは特徴的です。自分も個性的なフロアの使い方が好きですが、ここまで研究されているとは思いませんでした。都内200棟だったビルがあれよあれよと210棟、220棟となり現在では230棟。それほどオフィスビル投資に仕込んでいます。

2020年の決算資料を確認すると以下のキーワード

キャッシュフローは賃貸ビル投資へ優先配分する方針を継続する

つまり、今後もオフィスビル開発は止めないし、今後もオフィスビルへの開発を優先してくという方針です。

相変わらず建て続けるオフィスビルすごいですね。

賃貸オフィスビルと賃貸マンション

多くのデベロッパーがマンション開発と商業開発、大規模倉庫などの開発や運営を行い事業を分散しています。

住友不動産は商業施設にはあまり投資せずあくまでマンションとオフィスの二軸で、なおかつオフィスビル賃貸(あくまで自社運営で売却を目的としない)で収益を上げ大きく成長させていっています。

もちろん戦略上売却にいたるものもありますが彼らは変わることなく大型のオフィスビル開発の手をとめていません。

新規

新規オフィスビルの開発、大型なんです。6万坪、4万坪の10万坪です。

森ビルの「虎ノ門・麻布台プロジェクト」でもオフィスの床に関して6万4千坪です。ここまでの大規模開発をしますしそれ以外にも空室を抱えていても彼らは手を止めません。そして通常リスク分散させるようなスモールオフィスや小振な開発・サービスオフィスのような収益性の低いものもやりません。

また、オフィスに付随させて賃貸マンションラトゥールの区画もあるわけでこの手の開発すれば賃貸マンションの価格も少し増えます。

高級住宅として社長や役員といった経営層、ハイクラス層から支持されていますが、同規模の開発になればその分賃貸マンションも増えても大丈夫なもんなのでしょうか?

本題すみふの陣地戦略

まずはこちらをみてください

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渋谷駅周辺の航空写真。これは2019年の渋谷です。

だいぶ雰囲気変わりましたよね、ここ5年で。いまではヒカリエやストリーム、スクランブルスクエアと大規模ビルが開発された駅前。

すっかりと商業大丈夫かムードはありますが、渋谷駅は再開発の余地はまだまだ残っていたので現在どんどん開発されています。今は桜丘が目下開発中です。

個人的にはカオスで若者の街だった渋谷が面白みのない街になっていく気がしますが、やはり旧五島グループの意地なのか、東急や東急不動産、そして周辺の渋谷地権者一丸となって渋谷を新しい街へと生まれ変えようとしています。

現在の勢力図

戦力図

さて、現在の渋谷エリアの勢力図です。

領地・地頭である東急電鉄(現在の東急)がやはり駅上の立地を占領しており【赤色】は東急の戦力下です。渋谷ヒカリエ・スクランブルスクエア・マークシティ、セルリアンタワーなどの大規模なものを大きく抱えており戦力的には100万石大名クラスに強いです。

ここに二番手についている旧家臣でもある(というと語弊がある)が東急不動産の陣地が【緑色】です。この2社は東急の冠をつけていますが実質は同エリア内でのライバル同士です。東急不動産は広いエリアでオフィスの開発をしており領地としては渋谷・恵比寿・五反田など広域に手を出しています。その分渋谷の領土は狭いのですが十分に駅近いオフィスを複数所有運用しています。


東急不動産の領地はフクラス・ソラスタ・渋谷南口・新南口東急、道玄坂周辺の小ぶりなビル各種といったところで兵力は強いのですが敷地やランドマークとなる強固なオフィスビルが少ないです。フクラスは東急プラザ跡地にできた新ビルGMOがオフィスビルは一括して借りています。

対して鉄道会社であった東急は田園都市線沿線の開発の方を手掛けており、大型に商業やホテル一体型が主戦で、重装備。陣営としては守り切らないといけないのはこの【渋谷城城下町】なのです。

第3勢力他渋谷エリア、そして住友不動産

第3勢力としては三菱地所グループの渋谷クロスタワーであったり、三井不動産で運営している渋谷ガーデンフロントなど大型ビルはありますが如何せん戦力としてはこの東急関連2社に真っ向勝負するにはオフィスの床面積や規模感的にも兵力不足で難しいです。それ以外には東京建物が古いビルを複数所有していたり野村不動産が土地を買い上げて小ぶりのPMOを開発などしていますがあくまでも領地としては少ないです。

そして以下の図が住友包囲網です

包囲網jpg

巨大な三角形で街を囲んでいます。

なんと住友不動産のオフィスビルとは、主要の駅から全部遠いのです。しかしその分大規模なビルの開発を行い、尚且つ独自の営業力でこの渋谷エリアをまるっと包囲しています。

住友不動産渋谷ガーデンタワー、住友不動産渋谷ファーストタワー、インフォスタワー、あたりの中規模大規模ビル、そして住友不動産渋谷タワー(abema tower)などの1棟活用ビルといったラインナップを持っており大型誘致を成功させています。エリア内での移動や都内230棟のオフィスから拡張に応じて誘致するなどの手腕もぬかりないです。

ラインナップは住友不動産青山通ビルやインフォスタワーといった120坪から130坪でも入居できるレベル感のビルがあります。そして、成長企業向けに1フロア500坪以上の大規模ビルを周辺に3棟保有している能力の高さ、そしてお隣の池尻大橋にも同規模のビルを2棟用意してあります。

また一駅いけばオフィス街とは無縁な原宿にも高台に高層ビル建ててます。立地は遠いですが景色は神がかっているそうです。

さて、地頭様たちが自社の土地の有効活用の一環として駅前や駅周辺をまとめて開発していくなか住友不動産は地面の形が悪いところや、少々小ぶりな土地、駅から離れた悪い立地の地主をまとめ上げてオフィスビルを開発していきます。

地主たちは駅前の開発やその後の誘致で苦労する中彼らはたくさんの兵力を分散させて周囲の包囲網からテナント誘致を仕掛けていきます。

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主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます