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不動産オーナー探訪記 第11話 サッポロ不動産開発

サッポロビールと言えば恵比寿。恵比寿といえばサッポロビール。そんな説明で良いでしょうか。怒られそうですが、今回は恵比寿ガーデンプレイスの運営母体ともいえる。サッポロ不動産開発についての探訪です。

企業概要と業態

まずサッポロ不動産開発の母体と言えるのはサッポロホールディングス株式会社。こちらの出資会社になります。

サッポロホールディングスといえば、ビールメーカーのサッポロビールや清涼飲料水メーカーのポッカサッポロフード&ビバレッジなどを傘下に持つ純粋持株会社である。2003年7月1日に、サッポロビール株式会社から商号変更しています。

この説明の前段として軽くサッポロの説明もしておきましょう。ここに関わってくるのは有名な「大倉喜八郎」と「渋沢栄一」です。

でてきますね。渋沢栄一氏

北海道庁から札幌麦酒醸造場の払下げを受けたのが大倉喜八郎でした。大倉は二度の洋行で西欧ビール事業を実見した経験がありました。
1886(明治19)年11月、官営ビール事業は民営化され「大倉組札幌麦酒醸造場」として新たなスタートをきりました。

しかし翌年、大倉は醸造場を政財界に多大な影響力を持つ渋沢栄一、浅野総一郎らに事業を譲渡してしまいます。大倉はビール事業をより確実なものにしたいと考えたようです。

1887年12月、大倉自らも経営に参画し、新会社「札幌麦酒会社」が設立。渋沢らの加入により、大きく飛躍する基礎が確立したといえます。

もともとは官営事業だった酒造業を民営化し札幌麦酒会社が設立されたものがスタートになり、その本拠地として恵比寿に醸造場があったのがサッポロビール(札幌麦酒会社)の成り立ちとなります。

その後この地で約100年間にわたるビール造りが行われます。

サッポロ不動産開発の成り立ち

さて約100年間稼働したビール工場である、恵比寿工場は1988年6月に閉鎖。ヱビスビール醸造場が竣工してから100年、この地でのビール造りをしていました。その跡地に出来上がるのが現在の恵比寿を象徴するシンボルともいえる恵比寿ガーデンプレイスです。

この閉鎖とともに1988年(昭和63年)6月 星和不動産管理株式会社(現 サッポロ不動産開発株式会社)が設立。当初は恵比寿ガーデンプレイスの建築に関わる大プロジェクトを担う存在として動き出します。

その後1994年 10月恵比寿ガーデンプレイスが開業します。

恵比寿ガーデンプレイスタワーは、地下5階、地上40階、高さ167mの超高層インテリジェントビル。銀行・郵便局などの業務系施設、カフェテリアなどの生活利便施設、さらにクリニックや歯科などの医療系施設もそろえ知的生産活動の場をバックアップします。
最上階の38,39階は、優れた眺望を誇るレストラン街です。

さて1998年 1月 恵比寿ガーデンプレイス株式会社に商号変更しますがグループの再編が幾度となく行われ2003年 事業再編によりサッポロビール(株)(現サッポロホールディングス(株))の不動産事業を承継、2003年にはサッポロビール開発(株)を合併し、グループの不動産事業を一本化します。

2007年には、入居テナントであるモルガン・スタンレーが恵比寿ガーデンプレイスの持ち分を取得、サッポロの手がける不動産開発や賃貸事業に対して、モルガン・スタンレーがアセットマネジメントや、プロパティマネジメントのノウハウなど提供するといった事業シナジーがありました。

その後、2011年にはモルガンからガーデンプレイスが再度持ち分取得しています。そして、2012年にサッポロ不動産開発株式会社としてスタートします。

この間にも多くのプロジェクトは進行しており、サッポログループの恵比寿での不動産の地盤固めは着々と進行しています。その後モルガン・スタンレー社は大手町へと移転してしまい、約1万坪という空室を抱えますが、サッポロが学んだノウハウを駆使して満室近い稼働率に上げていきます。

また、ガーデンプレイスも都度ごとにビルのリニューアルを行い古さを感じにくい設備改修を行っていました。

サッポロ不動産開発及びサッポロの手掛ける物件

さて、2014年 恵比寿ファーストスクエアが竣工しています。恵比寿エリアでは珍しいコンセプトありきの高級なオフィスビルです。また商業施設ベースだとサッポロの商業店舗があった銀座の地**に2016年 9月銀座プレイスが開業しています。

**1970年(昭和45年)建替えて「サッポロ銀座ビル」として開業。

商業施設:他にも恵比寿ガーデンプレイス商業部分、ストラータ銀座などがあります。

オフィスビル:恵比寿ガーデンプレイス、恵比寿ファーストスクエアといった自社開発やシエルブルー恵比寿EASTなどの新規取得とどれも恵比寿にゆかりのある物件など

住宅:恵比寿ガーデンテラスやカルチェ恵比寿、 シェビア恵比寿といった恵比寿エリアにちなんだものを運営しています。地元に密着した運用方針は手堅いです。

企業概要

企業名: サッポロ不動産開発
創立 :1988年6月28日
所在地 :東京都渋谷区恵比寿 4-20-3 恵比寿ガーデンプレイスタワー4階
代表者 :代表取締役社長 時松 浩
業種  :不動産の賃貸管理、不動産開発、ホテル運営等

主な賃貸オフィス:恵比寿ガーデンプレイスタワー、恵比寿ファーストスクエア、スリード恵比寿ビルなど

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主にオフィスに関する不動産知識や趣味で短文小説を書いています。第1作目のツボ売り、それ以外も不動産界隈の話を書いていければ良いなと思っています。 サポート貰えると記事を書いてる励みになります。いいねをしてくれるだけでも読者がいる実感が持ててやる気が出ます