Webディレクターよ、その「1」の意味がわかっているか?。
こんばんちは、スーパー太っちょWebディレクターです。
スーパーは太っちょにかかります。
今日は、はっきりいって自分があとで読み返すためのnote記事ですw
自分の原点というか、必ず振り返りたい。振り返れば織田裕二はいないけどワイのブログ記事はある、そういう話です。古い。我ながら古い。
まあ、誰しも「この仕事を始めようと思った理由」とか「続けている理由」とか、あるじゃないですか。無いかもしれないけど、いい、あることにする。そういうことにして読んでほしい。
僕にとってはそれがタイトルに込められているというか、もっというと「おまえわかってなかったな、バカタレ」という想いになったやーつ、ですね。
そんなわけで、うぇぶぎょうかいのむめいでぃれくたーのお時間です。
CPAとかCVRとかコンバージョン数とか、あるじゃん
そう、あるじゃん。
もうみんな嫌っていうほど見ていると思う。
CPAにせよCVRにせよimpにせよ、なんにせよ。
僕は10年以上、受託制作側でWebディレクターとして勤務していたんだけれども、いまは割と大きめな事業会社におりまする。このCPAとかCVRとかその辺の数字周りは、ぶっちゃけ今の方が見る機会が多い気がしますやね。
実際に各種分析からサイトに手を入れて、A/BテストをこれでもかというほどまわしてきてCVRを改善したこともある。何度も。
はっきりいって、めっちゃくちゃ嬉しい。
もちろん、受託時代にクライアントのサイトで成果を出した時も嬉しかったけど、事業会社で「なかのひと」として出す成果は、その何倍も嬉しい。
やっぱり、自分ごととして捉えて、なんなら生活かけてるものに良い結果が出るというのは嬉しい。そして何よりも、それを一緒に喜ぶ仲間が社内にたくさんいる。これがまた嬉しい。
その「結果数字を追い続ける」というのは、とくに事業会社の人間としてとても大事だし、今だってその意識を持ち続けないとこっち側ではやっていけないです。そのへん、納品したらお金がもらえるビジネスとは一線を画すシビアさがあるわけです。
つまり、べつにそれが間違いというわけでは無い。
たったその「1」に出会った日
あれは、たしか僕が事業会社に転職して半年ぐらいのころ。
制作会社から転職してきて、初日からいきなり大型自社サイトのリニューアル案件を持たされるという、地獄w。しかも、ひとり。
もちろん、サイト構築には開発会社が入っていたし、サーバなどインフラ周りも別の会社が入っていたけど、それを社内で切り盛りするのは僕だけ。
・サイトに不具合が出てるってー、担当だれー?ワイやー!
・新しい広告でサイトにタグ入れるってー、担当だれー?ワイやー!
・CDN入れるってー、担当だれー?ワイやー!
っていうのを、リアルにやっておりました。
ヒーヒー言ってた。
その会社は、人材派遣会社だったんですけども。
人材派遣会社の、大型自社サイト。
つまり、自社求人メディアですやね。
旧サイトからサイト名もドメインも変えたので、URLリダイレクトを設定したわけですが。
突貫で(しかも自分ひとりでw)対応したため、ぽろぽろと設定に不備があり、リニューアルして少しした時に自分で見直したわけです。
自社求人メディアであり、基本的に自社の求人案件しか扱ってないサイトだったんですけれども。
求人系に限らず不動産系でも何でもそうだけど、「自社の案件や商品しか扱わない検索システム」というのは、基本的に「0件」が頻発しがちなんですよ。リクルートさんとか、大手媒体みたいに日本じゅうの案件を掲載しているわけでは無いので、どうしても起きてしまう。
だから、そもそもURLリダイレクトしようにも、過去にはあったその求人案件が今は存在しない、ということも多々ある。
僕はその日、URLリダイレクトの設定を見直しながら、サイトへの影響をはかるために、GoogleAnalyticsも見ていました。
すると、たったひとつ、とても細かく絞り込んだ検索結果のURLに、アクセス数「1」がついていました。
はっきりいって、それだけカテゴリや特徴をつけて検索されると、自社求人メディアでは厳しい。そんなピンポイントの求人案件、そうそうないから。
でも、旧サイトのときは、まだその条件に合致する案件があったんですね。
だから、リダイレクトされて新サイトに来るんだけど、そこにはもうその案件はありません。
みなさんよくご存知の、これですね。
404 Not Found。
アクセス数たった1だけど、リダイレクトの漏れであることに変わりはないし、僕は新たなリダイレクト先を検討しました。
もうその検索結果とまったく同じものは用意できないけど、似たような案件の一覧に飛ばすか、または似たような案件が出た時のために、メールアドレスの登録を促すか。
たったその「1」に絶望した日
答えを導き出すために、僕はそのアクセス「1」の、彼か彼女かわからないけど、その人になったつもりで考えてみました。
そして、絶望しました。
僕は、なんてことをしてしまったんだ。
Web制作会社でそれなりの地位を得て、自信満々で事業会社に飛び込んで、そこでも評価されて、数字もそれなりに出して。
調子にのってたんだと思います。
そのとき本当に、何か重いもので頭をガツンと殴られた気分でした。
彼か彼女かわからない「その人」は、もしかしたら人生が変わるかもしれないと思って、そのリンクをクリックしたかもしれない。だって、自分が求める条件がそのテキストに書いてあったのだから。だから、そんな自分に合った求人があると思って、クリックしてくれたのかもしれない。
そんな「その人」に対して、僕がつくったサイトは、僕の設定したリダイレクトは「404 Not Found」をつきつけた。何のフォローも、違う提案もせず、ただただ機械的に「そんな案件は存在しない」という回答をつきつけた。
これ、大げさな話じゃないんです。
当時、僕が勤めていた人材派遣会社は、明日食べていくのもしんどい、そんな求職者がたくさん応募してきてくれていた、そんな会社だったのです。
どう表現して良いのか、すごく難しいんだけど、いまWeb業界やIT業界で手に職を持って働いている人には想像もつかない世界だと思います。
なかなか良い職につけず、就いたとしても心無い上司や先輩にいじめられて長く続けられず、貧困から抜け出せない。自分に自信も失ってしまって、面接に来てもうまく喋れなかったりして、面接官がむしろそれを救うように丁寧に話すのを心がけたり。
そういう世界の求職者に対して、僕のサイトは「Not Found」を返した。そもそも、自分たちが「こういう条件の求人はこちら!」ってリンクを張っていたくせに。
なんて酷い仕打ちをしたんだろうと、僕は自分の行いが本当に嫌になりました。なにが"笑顔を創りたいWebディレクター"だと、聞いて呆れる。その「1」の本当の意味も理解せずに、せっかく訪れてくれて、期待して仕事を探してくれた人に対して、何の人間味もない回答を返したくせに。
そしてそのとき、僕は「これが、事業会社に来るということなんだ」と初めて自覚しました。
僕らが戦っているCPAもCVRも見た目には「ただの数字」なんだけど、その裏には必ず、一人一人の「その人」がいる。
ついつい数字としてだけみて、何%改善できるか、できたのかを毎日追ってしまう。でも、絶対に忘れてはならないんだと。その求人に対する応募の「1」も、求める案件がなくて離脱してしまった「1」も、そこには人間がいるんだということを、僕は忘れてはならない。
Web制作会社だって、その「1」と向き合ってるんだけど。でも事業会社の場合、その会社の人間として名刺を持ち、そのサイトに責任を持ち、その「1」と本気で向き合わなければならない。
自分は、とても恐ろしいところに来てしまったんだ、覚悟をしなければ、と思いました。
すごくヘコみながら。
たったその「1」に救われた日
そこからまた半年ぐらいたった頃だろうか。
それなりに大きな事業会社にいると、実は「ユーザーの声」を聞く場というのはまあまあそれなりにある。それは、お金をかけたアンケートだったり、ユーザーインタビューだったり、(人材会社の場合)入社した後の状況報告だったり。
ただ、どれも(これまた)数字としてまとまってるものだったり、入社前の画一的なアンケートだったりで。本当にちゃんと入社後にどうなったかを、一人一人のレベルで聞くことはそうそう無いんですね。
あるとき、スマホで録画した「なにげない、現場の風景」の動画を見せてもらう機会がありました。
そこで、現場のマネージャーがちょっとしたインタビューをしてくれたんですよ。
そのとき、ある人がたった一言、こう言ったんです。
「あのとき、●●●●(僕がつくった求人サイト)を見て、人生が変わった」
僕は、現場で働いてくれる方々の、日頃の姿を見せてもらうつもりで動画を見たので、びっくりしました。突然、自分が立ち上げたWebサイトの名前が出てきて。
そのあと、彼はこう続けました。
「うん、あのときなんか画像(たぶん広告バナーのことです)をクリックして、●●●●を見て、なんか良さそうな仕事見つけて。本当にこんな仕事あるのかなって応募したら、受かって。いまこうやって毎日、みんなと働けて。すごく楽しい。あのとき、画像クリックして、●●●●を見てよかった」
恥ずかしながら、僕、泣いてました。
周囲に人がいないのをいいことに(笑)
ああ、そうか。僕が作ったサイトで、こんなに喜んでくれる人がいるんだと、そのとき強く思いました。僕が作ったサイトを見て、辛かった毎日から抜け出せて、人生が変わったと言ってくれる人が、たしかに存在するんだと。
もちろん、僕の力だけじゃ無い。広告を出してくれた担当、バナーを作ってくれたデザイナー、そして何より、求人案件をとってきてくれた営業さんや、入社してからサポートしている部署の人たちすべての力。
でも、とにかく、僕が作ったサイトを誰かがみてくれて、クリックしてくれて、その仕事に魅力を感じて応募してくれる。
やっぱり、そうなんですよね。
CPAだってセッションだって応募だって購入だって。
その「1」には、まちがいなくそこで動いてくれた、接してくれた人がいるんですよ。
それが、Webを仕事にするってことなんですよね。
僕はいま別の会社にいて、自社ECの部門にいるんだけど。
でも、どこだって関係ない。
インターネットの向こう側には人がいて、僕がつくったり、ディレクションした何かを、顔も知らない誰かが触ってくれて、楽しんだり、もしかしたら人生を変えたりしてるかもしれない。
その「1」の意味を忘れずに、これからもWebの仕事をしていこうと思います。
とかいいながら、すぐ忘れちゃうんですよねw
だから、いつでも思い出せるようにnoteにしました。
さー、またがんばるぞう〜。