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日産横浜工場見学

昨日日産横浜工場へ見学に行ってきました。

日産横浜工場は予約が取りにくい人気ツアーでもあるのですが、それ以前にHPの予約ページの作りが非常に悪いのです。いつ次の募集が始まるとか全く書いてなく、ちょっとどうかと思ってしまう作りなのですが、今回は運よく予約が取れました。

現地に着くとクラシックな建物があり、そこがゲストホールとエンジンミュージアムを兼ねた建物でした。
建物は日産が創業開始時に使用されていた建物で90年前の物で、2007年に近代化産業遺産に認定されたそうです。

創業開始の1933年(昭和8)から本社事務棟として使用。
1968年(昭和43)に本社は東京に移転しましたが、登記上は現在でも横浜工場が「本店」となっているそうです。


見学は映像、工場見学、ミュージアム見学の流れでした。
到着したのが見学開始時間よりも早かったためミュージアムは先に見る事もできました。

ミュージアム入口には赤いクラシックカーが展示してあり展示の目玉でもあるようです。

1937年(昭和12)製 ダットサン16型ロードスター
2人乗り 排気量722cc 16馬力 


当たり前ですが今の車と比べるとかなり小さく、エンジン構造も非常にシンプルです。
排気量722cc16馬力で2人乗りです。軽自動車より少し大きい程度の排気量ですが現在の日産のデイズだと排気量659cc49馬力で4人乗りです。さすが90年近くも経つと技術の進歩が半端ではないです。

最初は映像からでした。その中で日産車に使用されているプロパイロットと言う運転支援システムの紹介で、急ブレーキをかけてもラーメンのスープがこぼれませんと紹介されていましたが、そこは紙コップにすれば一部の層に大うけだったのかもしれません。

パーツ製作で面白かったのはクランクシャフトはプレス加工で作っている事。

クランクシャフト
日産製ではありませんが参考として

正直どうやって作っているのか分かりませんでしたし、他のエンジンの部品は鋳型に流し込む仕組みの物もあったので同様かと思いましたがプレス加工でした。結構複雑な構造なのにプレス加工なのですね。

メインの工場見学ですが、横浜工場では車体の組み立ては行っていません。エンジンのみを組み立て、それを車体組み立てを行っている他の地方の工場まで輸送しているそうです。こんなに広大な土地があるのに車体の組み立てを行っていないのは意外でした。
工場内ではエンジンの組み立て以前にパーツの製造も行っているのでもうスペースがないのかもしれませんが、ちょっとなんだかなあと言う感じの効率の悪さです。

工場の敷地面積では小さい子供もいたせいかディズニーランドと同じ程度と言っていましたが、お馴染みの東京ドームに換算すると約11.5個分の広さになります。これだけ広くても車体の組み立てラインは無いのが驚きです。

工場内の見学の前には「触らないで下さい」と注意を受けましたが、実際に工場の見学に行くとガラス越しに見るとかではなく、工場内を歩き回ります。通路の近くには組み上がったエンジンが手の届く場所に置かれており、触らないで下さいと注意されるのも納得がいきました。

見学した場所は意外とライン的ではなかったです。もっと流れ作業的にエンジンが並んでいるのかと思いましたが、区分けされたブロック的な地区となっていて、無人運搬車がパーツを運んできてそれをロボットアームが組み立て、組み立てた物を再度無人運搬車が運んでいきます。
数ある工程の一部でしょうが、以前は人力で行っていたそうです。人力で行っているのを映像で見ましたが効率が全然違いました。

また無人運搬車ですが、接近を知らせるためにメロディを鳴らしながら動いています。この手のメロディって大抵は一種類のみなのですが、日産横浜工場では沢山の種類のメロディがありました。これは工場見学者を楽しませるためにあえてそうしているのだそうです。

最後に見た場所ではエンジンがラインで流れてくるのを人の手で組み立てていて、これぞラインと言った感じでした。それまでの場所はほとんどロボットアームだったのに対して、ここはロボットアームが全くなく全て人力でした。
色々な形式のエンジンが流れてくるので、それに合ったパーツを組んでいくのだそうですが、エンジンの乗っているラインが回転寿司のようなコンベアーに乗っていて、どこかでミスがあったらラインごと止まってしまうのかと不安になってしまいました。
もしそうだったとしたら結構なプレッシャーだと思います。

見学では見れませんでしたがスカイラインのエンジンも横浜工場で製造しています。スカイラインのエンジンに関しては「匠」と呼ばれる社員がハンドメイドで組んでいるそうで「匠」と呼ばれる社員は5人しかいないそうです。しかもハンドメイドなので1日で多くても5台ほどしか組めないとの事でした。大量生産の自動車とは真逆ですが、こうしてブランド価値を高めているのでしょう。ちなみに組み上げたエンジンには組み上げた人のネームプレートが付いています。

スカイライン(35R)のエンジンには組み上げた人の名前がプレートに書かれています。


また横浜工場ではEV車で使用されていたバッテリーを再利用して無人運搬車用にしたりポータブルバッテリーにしたりと再利用しているそうです。バッテリーを再利用したポータブルバッテリーでスマホ50回は充電できるくらいの性能ですと説明されましたが、正直かなり大きくて逆にこれでスマホ50回分しか充電できないのかと思ってしまいました。

EV車のバッテリーを再利用して作られたポータブルバッテリー。
隣の柱と比べると分かりますが結構大きなサイズです。
このサイズでスマホ50回分の充電しかできないのは、ちょっとどうかなと思ってしまいます。

これで見学は終了でしたが、ミュージアムをあまり見れていなかったので最後に見て回りました。
エンジンミュージアムと名乗っているので並んでいるのはエンジンばかりです。
車をいじったりはしないのでエンジンだけを見てもピンとは来ませんがちゃんとどの車に搭載されていたかなどの説明があります。
並べてあると昔のエンジンがいかにシンプルだったかが分かります。

昔のエンジンからレース車両用のエンジンまでズラッと並んでいます。

見学時間は約2時間でエンジンだけと少し物足りなさがあるとは思いましたが、実際に見てみると「2時間も経ったか?」と言う感じでしたので考えている以上に面白かったのだと思います。

ですがかつての実車が見たい方は神奈川県座間市にあるヘリテージコレクションを見に行った方が良いかと思います。
こちらも予約が取りにくいのが難点ですけど。
日産: NISSAN HERITAGE COLLECTION|ようこそ、日産ヘリテージコレクションへ

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